妹ばかり可愛がられた伯爵令嬢、妹の身代わりにされ残虐非道な冷血公爵の嫁となる ２ （レジーナブックス）

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投稿者：S910　-　この投稿者のレビュー一覧を見る

身代わりの嘘がバレた事件が落ち着き、妹アーシャを呼び寄せようとしていたところ、アーシャが公爵に気に入られていると勘違いしている父伯爵がアーシャを連れて乗り込んでくる。
父の起こす騒動に振り回される最終巻。

誤解と勘違いとすれ違いが解決した序盤の山場のヒーローのわだかまりが解けて嬉しいけど、自分にこんな恥ずかしい思いをさせてこの小娘どうしてくれよう……！って感じがすごく良かった。
妹の騒動が落ち着いた後の終盤に至るまでのヒーロー側の欲望と本能と理性の葛藤は文句なしにパーフェクト。最高でした。

魔族としての怯えて泣き叫ぶ姿が見たい、引き裂いて血しぶきを浴びたい、屈辱と絶望を味わわせながら嬲って犯したい、という人間ならあまりにもサイコパスすぎる欲求がすごく良い。
同時に主人公のために人間らしくいたいし、彼女を傷つけたくない嫌われたくない一心でその欲求を隠そうとしている姿も非常にエモかった……。

逆に主人公側は今回でちょっと評価を下げてしまったかも。
山場のヒーローを引き留める言葉が全然響かなかった。
なんていうか、私はもっと共に堕ちていくみたいなのを望んでいたようだ。
ヒーローが本能のまま人を傷つけるのは受け入れられないけど、どうしても耐えられないなら自分が受け止める、という態度ではなく。
ヒーローの欲望を受け止めるのは自分だけがいい、みたいな独占欲でもって説得してくれてたら私は百点つけてたんだけどなぁ。残念。
最後、結局恥ずかしくて逃げ回ってるのも減点である。

まぁでも、悪役だった父伯爵は最後まで自分の都合の良い話しか聞かない男だったし、主人公も自分の信じたいヒーロー像しか見てないからなんだかんだあの父にしてこの娘ありって感じで親子だったよ。