紙の本
おじさんに救いはあるか
2021/10/23 14:45
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投稿者:せきた - この投稿者のレビュー一覧を見る
それのどこがハラスメントかわからない、という時代遅れの自分に不安を感じるおじさんには救いがある。
旧弊にしがみつくのはもみっともないことだと、この作品は教えてくれる。
そして、各話で、雨はいつもほてった頭を冷まし、洗い流してくれる。
読後もやもやして、刺さるのはそこに人間の真実に触れる部分があるからだと思う。名作です。
紙の本
男の悲哀
2021/08/09 19:46
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投稿者:咲耶子 - この投稿者のレビュー一覧を見る
仕事を我武者羅にしていれば良かった時代は遠い昔。セクハラだ非正規雇用だぬれ落ち葉だと、何かと男性にも風当りが強い時代になりました。
何が間違ってるのか分からない男たちが、行き詰り悩んだ時に出会った人たちの影響で視点を変えることができ、少しの希望を得るお話。
男も大変だ・・・。
紙の本
一回休みの「その次」に
2021/08/06 22:47
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投稿者:higassi - この投稿者のレビュー一覧を見る
タイトル通り「雨」を背景にした坂井希久子さんの短篇集。中高年男性の主人公たちのダメな面・嫌な面を徹底的に描きながらも(そのへんが「雨」の風景とぴったり)、どこか愛すべきキャラクターに仕立ててしまうあたりが著者ならではの持ち味ですし、「雨の日は、一回休み」の「その次」に思いを巡らせたくなる一冊です。
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今まで長年信じてきたこと、頭でわかっていると思っていること、当たり前と思い込んでいること、身についてしまっていることを変えるのは難しい。何かの、自分が身近でないきっかけで納得できるといいね。
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オレがセクハラで訴えられるだとースコール
もうすぐ定年で残り物の惣菜ばかりー時雨雲
やりきれない思いは女を買ってやり過ごせー涙雨
派遣社員の憂さ晴らしはー天気雨
退職した男の名は世直しオジサンー翠雨
会社で働いてきた男たちが社会についてゆけなくなって苦しむお話が5編。
1本目では「え、察しわる!」と驚き呆れ読めば読むほど「そんなこと考えている非生産的なヒトなんて今時いるの?!」胸糞悪くすらなった。
2本目では「なんでそんなに不貞腐れとん?」とこれまた不快感。
3本目では「バカなん?」
4本目では「卑屈だなぁ」
5本目では「うわ、迷惑なひと!」
おおまかにはこんな思いを抱きながらそれぞれ読んだのですが、登場人物が今のよくない状況からお話によっては自分をみつめ、他者を見つめ、少しだけ違ったステージに移りホっとできる。
結局この「ホっとする」ことが快感になりどんどこ読み進めてしまいました。
いつもは手に取ることがない、良い本を読めました。
ブクログのおすすめかなんかで見つけたんですよね。
ブクログさんありがとう!
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うわー、何とまあ、つらい本。
おじさんって、本当に面倒な生き物だけど、
おばさんだって、気をつけないとやばい!
自分、大丈夫だよねぇ?とドキドキ。
ただ、おじさんだって変われるんだから、
おばさんだって変われるだろうという
ちょっとした安心感は得られたな。
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図書館で借りたもの。
40代で派遣社員。ストレス解消にネット上で女子高生を装う男がピンチに…。「天気雨」ほか、働くおじさんの日常を時におかしく、時に切なく描く全5編の連作短編集。
1話目から典型的な(といったらそれも男性差別?)昭和の男が出てきてげんなり。
“男はその点身軽なものだ。ご指名とあらばどこへでも飛べる。そう、たとえ妻が妊娠中であってもだ。”
「それが当たり前」だったんだもんね。何が当たり前かは、時代によって変わる。
私も、当たり前・先入観にとらわれず、少しずつアップデートしていかなきゃな。
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全く困ったオジサン達が次から次へと出てくる。世の中が変わっているのに、オジサンだけが変われない。悲哀、同情、憐れみ...そんな感情でいっぱいになった。
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どちらかと言えば昭和後半のサラリーマンの心情が描かれているが、このテーマの小説はけっこう有るが、これを経験してないだろう女性作家が書いてるところが凄い。
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ダイバーシティ推進が叫ばれ、男も女も平等に、年功序列も廃止、という時代に、「おじさん」を主人公にするというのは意外な盲点だと気付かされた。
ダイバーシティの対象には、おじさんも入っているはずなのに。
「男は、女は、こうであれ」という価値観に生きてきたおじさんたちも、頑張って生活している。
前時代的だと抑制されてきたおじさんたちの声が、主張が叫ばれていて、そう思っているのか、と勉強になった。
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40台で派遣社員。ストレス解消にネット上で
女子高生を装う男がピンチに…。「天気雨」ほか、
働くおじさんの日常を時におかしく、時に切なく
描く全5編の連作短編集。
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古きおじさん達よ、疑問も持たず、今までのままでいられると思ったら大間違いだ。でも気づいて変わろうとするならば応援するよ。
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五つの雨の名前がついた物語。
主人公は、おじさんだ!
しかもいわゆる昭和的なおじさんばかり。
リベラル、フェミニストを自称する私には、イライラポイントがちょこちょこ出てきて…イライラしつつも面白かった!
1話目は、セクハラで社内通報されたおじさん。
セクハラを訴えた部下が一体誰か、という謎解き要素もある。
本人はハラスメントをしている意識は皆無!
妻のことは、「好みの外見ではないが、うるさく言わず必要なことだけをしてくれる申し分のない女」とな!
子供が小さいのに、早く仕事に復帰する女なんて、だってさ!
男に育休なんて、この国を破綻させる気か?だと笑笑
はいでたテンプレのハラスメント祭り。
あまりにあるあるすぎて、国のハラスメント防止パンフレットとか、会社の教育用事例集かと思ってしまった。
一方、「涙雨」は、悲しみと嫌悪感でゾワゾワ。
女は若さが一番、そう言って買ってきた女たちは、自分の娘と同い年だ、ということに気づく。
力で征服してやる。
痛がろうが、なんだろうが、関係ない。
彼にとって、「商売女」は「人」じゃない。
でも、彼は気付く。
彼が金と力で屈服させた「便器」は、誰かの娘。
その唇は、「パパ大好き」と言ってくれた我が子と同じものだった。
本書を読んで、ここに登場するおっさんたちを私は「可愛い」とか、「しょうがないなぁ」なんて思えない。
リアルにいたら、マジで、嫌悪しか覚えない。
許すことなんてできない。
でも、登場人物たちは、ちょっとだけ立ち止まって考える。
そのことに、少しだけ、安堵する。
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おもしろかった。
おじさんといってもいろんな世代のおじさんのいろいろが描かれている。共通しているのは、昔はパワハラ、モラハラとかセクハラとかは当たり前で、夜の付き合いも仕事のうちっていうくだり。
行き過ぎた圧力はどうかと思うけど最近の風潮は人間がさらに弱くなる元にもなってるとも思う。イジメと教育は違うんだ〜と言いたい。オヤジ達もいろいろ大変だと同情する。
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再生…というほどではないが、変わろうとするオジサンたち五人の物語。
私自身は作品に登場するオジサン世代に近いので、彼らの価値観や思考が理解出来なくはない。私が新入社員だった頃はお茶出しや食器洗い、社員の机を拭いたり灰皿の掃除など当たり前のようにやっていた。
今考えれば当時勤めていた会社は割と早い段階でお茶出しは無くなったしコピーも各自でやるようになったが、それでも女性社員がやる雑事は多かったし女性の総合職は非常に少なかった。
年齢を重ねれば重ねるほどそれまで堆積してきた価値観や思考は簡単には変えられない。悪意どころか思いやりの積もりで言ったことやったことが何故相手に嫌な思いをさせるのか理解出来ないのだろう。
私が若い頃、既婚者の男性社員が子どもがいないことを下ネタで弄られているのを不快な気持ちで見ていたことを思い出す。弄っていた上司たちは男性同士のそれがセクハラだなんて思いもしなかっただろうが、ご本人はどうだっただろう。
セクハラ被害を訴えられた管理職、定年退職を前に夫婦関係が逆転することに不安を感じる部長、役員定年により平社員に降格した途端かつての部下に嫌がらせを受ける孤独な男、ストレス解消に女子高生になりすましてSNSを楽しむ派遣社員、『世直しジジイ』という名の身勝手な正義を振りかざす老人。
男らしさを押し付けられてきた世代、必死に闘って歯を食い縛って頑張ってきたことを今になって足元から引っくり返されれば戸惑いもする。
彼らが自分たちの頑張りを認めて欲しいと思う気持ちも理解出来る。だがだからこそちょっと周りも見て欲しい。家族や職場の人々の気持ちや価値観も気にして欲しい。
事が起きてオジサンたちの生き方考え方が一気に変わるわけではない。でも何とか変わろうとしたりきっかけを掴んだり、押し付けられて仕方なくではなく自分で気付いて一歩踏み出したのだから心地好い。
第一話の喜多川進の極端さが面白い。