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また見つけた、台湾発のおもしろい小説
2022/02/05 22:50
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投稿者:ふみちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
台湾の推理小説、初挑戦。台湾の小説は、呉明益氏の「歩道橋の魔術師」を読んで度肝をぬかれてから目が離せないのだが、今回のこの小説も楽しく読むことができた。主人公は呉誠は、大学教授で脚本家だったのだが、酒の席での暴言を恥じて、これまでの生活をなげうって隠遁生活を始めることを決意し私立探偵を始める。呉は連続殺人の犯人に疑われることになる、ここで面白かったのは、ワイドショーのコメンテーターを腐すところ、「話題が政界の内幕だろうと、映画スターの噂だろうと、名門家族のプライバシーだろうと(中略)『猪八戒のママは誰か?』というテーマであろうと、言うことがなくて困ることがない」、こういうところは、日本も同じだなと苦笑いしてしまった
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ハードボイルド
2021/08/09 09:32
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ケロン - この投稿者のレビュー一覧を見る
ハード・ボイルド小説って、あまり読んだことがないのですが、主人公、めっちゃしゃべりますね。
一人称の小説はけっこうありますが、「主人公よくしゃべるなぁ」と思った本は初めて。
ちょっとした旅行気分になれたのは楽しかったです。
あと台北の人たちの感じ、好き。
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中国の西尾維新さんのような
2023/09/29 11:36
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投稿者:qima - この投稿者のレビュー一覧を見る
饒舌さと言葉遊びと、台湾(台北)らしさが爆発したミステリー小説。最初はちょっととまどうかもしれませんが、そのうち加速度的におもしろくなっていきます。おすすめ。
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台湾の北杜夫
2023/10/27 22:13
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投稿者:こゆき - この投稿者のレビュー一覧を見る
これはたぶんミステリーではないなと。
妻に逃げられ失業したさえない中年が市立探偵を名乗る。
というだけなのにうだうだグダグダと一人で悩み続ける。(一人称の小説だから仕方ないのだが)
小さい活字2段組みをいくら読んでも事件が起きない。
ハードボイルド小説なら三人くらい死んでいてもよさそうなくらい読んだところで、知り合いの子供に英語を仕込み始める。なんだこりゃ。
が、しかしここで転機が訪れる(読み手である自分に)。
子供に英語を仕込むのに、まずは発音記号を教え、次に長たらしい単語を教える、長い単語を最初に教えれば一般的な単語は朝飯前と錯覚するだろう…
この展開はまさに(すでに亡くなって久しい、エキセントリックな、日本文学の至宝)北杜夫的ではなかろうか。
そう、主人公は鬱気味で精神科医にかかっている。
ますます北杜夫的である。
台湾に転生したのか、どくとるマンボウ!?
そう悟ると。
なんだか面白くなってきたのだから読者(北杜夫ファン)というのは単純なものであります。
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【丁々発止の会話が痛快な台湾ハードボイルド!】劇作家兼大学教授の呉誠は鬱々として楽しまず、台北の裏路地に隠遁し私立探偵の看板を掲げるが、猟奇殺人犯の濡れ衣を着せられ……。
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台湾をよく知る小生には久しぶりの台湾の地名や道路名など出てきて、そして中国語のピンインがありで楽しい作品だったと同時に緊迫した場面もありでスリルとサスペンスで満載だ!
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原題は<Private Eyes>。私立探偵を表す「プライベートアイ」はふつう<Private Eye>と単数扱いだ。語り手は別の説を挙げているが、あまり説得力があるとは言えない。小説の終わりに、主人公である呉誠(ウー・チェン)の手助けをするタクシー運転手が、正式に相棒になり、私立探偵の仲間入りをしたことが書かれているので、複数形にした、と考えてもいいだろう。台湾の実質的な首都といえる、台北という魅力的な都市を舞台にした、一風変わったハードボイルド小説、と一口には言えるだろう。
なぜ語尾を濁すのかといえば、ことはそれほど簡単じゃないからだ。もし、純然たるミステリファンの読者がこの本を読んだら、腹は立てないにしても、何がハードボイルドだ、と呆れるだろう。なにしろ、この呉誠、私立探偵の看板こそ掲げているが、推理小説を読んだだけのズブの素人。もとは大学教授で劇作家。それが五十歳を前にして、突然大学教授の席を投げうち、劇団仲間とも一切関係を断って、修行のやり直しとうそぶき、臥龍街(ウォロンジェ)の洞窟めいた安アパートで隠棲を始めたのだ。
しばらくは退職金その他で食べていけても、長くは無理。そこで人助けも兼ねて、私立探偵稼業を始めることに。興信所組合に行くと何かと面倒な手続きが必要らしく、組合にも入る気もないので、それはパス。看板と名刺だけを頼りに仕事を開始した。拳銃も持たず、自動車にもバイクにも乗れない、チャリンコ探偵の登場である。はじめのうち、これはハードボイルド小説のパロディかと思って読んでいったのだが、どうやらそうでもないらしい。ちゃんと謎解きもあり、羊頭狗肉の気味はあるもののミステリにはなっている。
ある女性から夫の素行調査を引き受け、不可解な密会の謎を解き、探偵料も頂戴し、尾行の際に手足となって働くタクシー運転手の添来という仲間も得て、幸先の良い出発をしたはずが、青天の霹靂。マスコミが「六張犁(リョウチャンリ)の殺人鬼」と名づけた連続殺人事件に巻き込まれ、重要参考人として警察で事情聴取される羽目になる。しかも、ことはそれで収まらず、ついには容疑者扱いされ、逮捕されてしまう。著名な演劇人で元大学教授ということもあり、マスコミは大騒ぎ。母や妹にも心配をかけ、呉張は落ち込む。
瞬く間に街のあちこちに監視カメラが据え付けられ、常時誰かの目が市民の行動を監視しているという、オーウェルの描いた未来社会がいつの間にか常態化していることに今更驚きもしないが、それは台湾も変わらない。警察が収集した監視カメラの映像に、呉張と二人の被害者が偶々一緒に映りこんでいたのだ。そんな偶然が重なるはずがないことは素人にも分かる。どうやら、犯人の狙いは、呉張その人にあるらしい。ところが、呉張が留置されている間に新たな殺人が起こる。犯人がおちょくっているのは警察か、それとも呉張本人なのか?
羊頭狗肉と言うには訳がある。帯に「台湾生まれのハードボイルド探偵日本初上陸!」と派手派手しく謳っておきながら、主人公にハードボイルド探偵の気迫が感じられない。ハードボイルド探偵といえば、腕と度胸を頼りに、他人を頼らず、権威におもねらず、悪と対峙する孤高のヒーロー���いうイメージがある。ところが、呉張ときたら、妻に見捨てられたせいで酒浸りになって、芝居の打ち上げの夜に泥酔し、海鮮料理店亀山島にいた、ほぼ全員を罵倒したあげく、一切合切を放り出して、臥龍街に逃げ込んだ情けない男。
おまけに、これは本人の責任ではないが、鬱病やパニック障害のせいで夜は満足に眠ることができず、精神安定剤が欠かせない。それだけでなく高所恐怖症や対称強迫神経症にも悩まされている、病気のデパートみたいな存在だ。しかも、あろうことか事件の捜査に警察の協力を仰ぐとあっては、ハードボイルド探偵の名折れ。いつの間にか警察小説みたいになってしまっている。しかも、犯罪自体はサイコパスによる見立て殺人で、犯人は早くに見当がつき、小説は見立ての意味を探る、ホワイダニットの謎解きミステリとなっている。
実は、呉張のモデルは作家自身。戯曲がが上手く書けなくて、このままでは駄目だと思いながら、街歩きをしているうちに、推理小説の構想が浮かんできた、と訳者あとがきで紹介されている。「書き終わってみたら(略)実は推理小説の形で、日記を書いていたんだ」とも書かれている。俗にいう「中年の危機」もあったのだろう。ある程度、やるべきことをやり、それなりのところに来ると、自分を高い位置に置き、周囲の至らなさが目に付きはじめ、苛立ちを覚える。それでも何とか抑えつけるが、そのうちそれが手に負えなくなって、いつか爆発する。
呉張の場合、それが「亀山島事件」だった。それを契機として、自分の人生や台湾人の性向、物の考え方などにもう一度目を向け、再考を始める。その経緯が、この一作に思う存分詰め込まれている。普通ハードボイルド小説は一人称のモノローグだから、作家が自分の思いを吐露するにはうってつけの設定だ。ところが、先にも述べたように、呉張のモデルは大学教授の劇作家だから、所謂インテリ。日本人と台湾人を比較したり、サイコパスとソシオパスのちがいをあげつらったり、およそハードボイルド探偵らしからぬことを喋り散らす。
この小説の妙味はそこにある。実のところ、正味は全然ミステリなどではないのだ。行列の出きる社会には連続殺人事件が多い。秩序があるからこそ、それを乱す殺人が行われる、などといった比較社会学めいた物言いが随所に展開され、それがいちいちツボにはまって面白い。また、台湾ならではの伝統的な風習や、家族関係はじめ濃厚な人間関係がぎゅう詰めで、台湾好きでなくても一度は現地に行ってみたくなる。それもあって、欧米を舞台にしたミステリや、それを手本にした日本のミステリ、とは一口も二口もちがう、アジアン・テイスト満載の推理小説になっている。
呉張の棲む「臥龍街」だが、中国に「伏龍鳳雛(ふくりょうほうすう)」という熟語がある。「臥龍(伏龍)」は、池の中に伏して、昇天の機会をねらう龍のこと。そこから、世に知られずにいる大人物を指す言葉だ。ならば、呉張を助ける警官の陳や助手の添来たちは鳳雛(鳳凰の雛)、つまり将来が期待される若者ではないか。原題の<Private Eyes>にはその辺の意図があるのかもしれない。小説の末尾、呉張に新たな事件以来の電話がかかってくる。シリーズ物にする気あり、と見たがどうだろう。
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「ああ言えばこう言う」的な会話が小気味良かった。作者の蘊蓄もたっぷり楽しめたがそこにページを割きすぎて、事件そのものへのテンポが緩いのを感じた。後半の犯人を探す場面が生き生きと描かれていて初めから素早い展開なら☆4つだったのに残念。台湾や中国のミステリーの翻訳が増えてきて楽しみだ。
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kuma0504は、2017年1月3日(火) 台湾旅行最終日の6日目の午前中、当てのない散歩に出かけた。台北駅前から東へ青島東路を歩く。日本統治時代の古そうな家屋を眺めながら、やがて中正区の斎東街を過ぎて昔も今も高級住宅地だったところを過ぎる。文化里の公民館には掲示板があり、「寒冬送暖(お茶会)」や「農民暦・月暦」の無料配布の案内チラシなどが貼られていた。金山南路と仁愛路の交差点を過ぎて、kuma0504は永康街に入った。庶民の台所たる賑やかなところを通り過ぎると、和平路にぶち当たり大安森林公園に入った。公園には時々リスがいるのだが、今日は出会わなかった。南の出口からお粥街に入り永和豆漿店で遅い朝食を食べて、地下鉄大安駅から台北駅に帰った。
台北の地理に詳しい人が読んだのならば、kuma0504がどのように歩いたのか、手にとるようにわかるだろう。特にあらゆる道路は名前がついているので、どの道とどの道との交差点かを言えば、誰もがその場所を特定できる。台北は台湾という国の首都ではあるが、その中心部の中心地は、このように朝の散歩で一回りできるほどの広さなのである。本書には目次の後に台北市地図がある。それを見ると、終了地点とした大安駅から、もし30分ほど更に東へ足を延ばしたならば、kuma0504は本書の主人公呉誠の散歩コース、臥龍街周辺にたどり着いただろう。そうしたら、それまでは碁盤の目のように道路が交差していたのに、突然迷路のような昔ながらの町の中に入ったに違いない。本書は臥龍街を舞台にして、突然迷路のようなサスペンスが始まる探偵小説である。
呉誠(ウー・チェン)は、プライベートアイ(私立探偵)ではあるが、一方では台北という新しくて古い街を縦横に歩き回るプライベートアイズ(秘密の目)を持った男であり、その目を通して魅力的な街を散歩した気分になる本でもある。元刑事とか、華々しい迷宮事件を解決したとかの過去があるわけではなく、まぁ離婚したて大学教師辞職したてで、精神病疾患を治すために趣味で探偵業看板を掲げたばっかしの「素人」ではある。でも素人は侮れない、というのも古今東西の真理ではあるだろう。これも立派なハードボイルド探偵小説に入れてもいいんじゃないか。
台北は、DNA捜査を当たり前にやっているし、日本ばりに監視カメラ社会になっている一方で、文明によって飼い慣らされることを拒否する都市だ。紙銭に火をつけ飛び越えて猪脚麺線(豚足入り煮込み素麺)を食べれば厄落としが出来ると皆んな信じていて、呉誠がある事件に巻き込まれて容疑者になって、なんとか釈放された時には二つの家族が別々にそれを用意していた。事件は起きて解決するのだけど、kuma0504が楽しんだのは、台北プライベート日記だった。←おゝとうとう「事件」の内容は一言も紹介しなかった!
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30.
初めての台湾作品
ハードボイルド小説
最初はロースタートだけど
途中からギアぐいぐいあげて
めくるページが止まらず
後半はほぼ一気読みしてしまった
台湾のことや
台湾から見た日本のことが書いてあるのが
面白くてちょっと意外で勉強にもなった
続編も日本語訳されてほしい!
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名前と地名がなかなか覚えられないけど、本の始めに登場人物と台北の地図があるから助かった。
主人公思考でずんずん進むストーリーで、
物語最初から全て伏線に見えるしどれも怪しい(笑)
後半から読む手が止まらず。
全体的にも面白かったです。
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これは面白い。ミッドサマーの候に、ヘニングマンケルと同じ読後感とは。普通の感覚、思考が日本でも台北でもイースタでも感じることができるとは。
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事件は3つだけど、一つ目は浮気調査からの詐欺事件。
二つ目は女性をかどわかす男をボコる。
三つめが本命の連続殺人事件。
なかなか長くて読むのが大変だった。
以下作品紹介・あらすじより------------------------------
台湾発、私立探偵小説の新たなる傑作が登場!
監視カメラの網の目をかいくぐり、殺人を続ける犯人の正体は?
劇作家で大学教授でもある呉誠(ウ―チェン)は若い頃からパニック障害と鬱病に悩まされてきた。ある日、日頃の鬱憤が爆発して酒席で出席者全員を辛辣に罵倒してしまう。恥じ入った呉誠は芝居も教職もなげうって台北の裏路地・臥龍街に隠遁し、私立探偵の看板を掲げることに。
だが、にわか仕立ての素人探偵が台北中を震撼させる猟奇事件・六張犂(リュウチャンリ)連続殺人事件に巻き込まれ、警察から犯人と疑われる羽目に陥。呉誠は己の冤罪をはらすため、自分の力で真犯人を見つけ出すことを誓う。
監視カメラが路地の隅々まで設置された台北で次々と殺人を行い、あまつさえ呉誠の自宅にまで密かに侵入する謎のシリアルキラー〈六張犂の殺人鬼〉の正体は?
探偵VS犯人のスリリングなストーリー展開と、ハードボイルド小説から受け継いだシニカルなモノローグ、台湾らしい丁々発止の会話。台湾を代表する劇作家が満を持して放った初めての小説は台湾で話題を呼び、台北国際ブックフェア大賞を受賞したほか、フランス、イタリア、トルコ、韓国、タイ、中国語簡体字版が刊行された。
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探偵物を読むことは普段まったくないが、台北や台湾に少し興味があったので読んでみた。期待したような台湾という風土を反映したユニークさはなかったが、普通にエンタテイメントとして文句なしに面白い。キャラクターの設定もよくあると言えばそれまでだが、よくできている。2段組みで400頁近くあるが、すいすい読める。すぐにでも映画化されそうな感じの作品だが、その予定はないのだろうか。
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台北を舞台にしたハードボイルド小説。
主人公は大学教授であり高名な劇作家であったが、精神的な病とそれを原因としたトラブルから、仕事を投げうって私立探偵となった。
主人公の精神状態が本書内で、語り手である本人から赤裸々に語られる。病を原因とする人間関係の悪化が、その記憶が彼を悩ます。
それでも懸命に自分の能力を活かして仕事を遂行し、理解者の協力と愛情のもとで、身にかかる火の粉を振り払う。
台湾の社会状況が語られるのも面白い。
主人公の飲んでいる薬も作品内で語られるのだが、この人、鬱病ではなく、双極性障害(躁鬱)ではなかろうか…。
シリーズ第2作も楽しみ。