紙の本
縄文人が身近な存在になった
2021/04/29 17:02
5人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:奥村 - この投稿者のレビュー一覧を見る
土偶の謎解きに、知的好奇心を大いに刺激され、ワクワクしながら読みました。
縄文人に寄り添うようにして、縄文人の気持ちになり、土偶に込められた思いを現代に甦らせてくれます。
縄文人を身近なご先祖様と思えるようになりました。
大いにおすすめの本です。
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縄文人を知る手がかり
2021/07/01 16:31
3人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:nekodanshaku - この投稿者のレビュー一覧を見る
とても面白い。縄文時代に数々産み出されたであろう土偶について、1.土偶は何をかたどっているのか、2.なぜ造られたのか、3.どのように使われたのかをテーマに、解読を試みた研究成果である。特に1について、食用植物(木の実や稲系植物)と貝類をかたどっているという仮説をたて、検討している。古代の未解読文字を読み解くような内容に、ワクワク感が止まらなかった。土偶を、植物資源の利用(採集・半栽培・栽培)に伴う呪術的儀礼において使用されることを目的に制作されたと著者は考える。五穀豊穣を祈願する農耕儀礼と同源であろう。
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素晴らしい本です
2021/05/14 21:06
5人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:F - この投稿者のレビュー一覧を見る
とても面白くて一気に読んでしましました。昔から不思議に感じていた土偶の造形に関する考察は充分に説得力があると私は思いました。
著者は自分の考えを本にして出版するのにかなり苦労したようですが(頭の固い権威や専門家には困ったものです)、出版できて本当に良かったです。
今後、この分野において真摯な議論が活発に行われることを願っています。
この本は多くの人が読むべき本だと思います。何しろ縄文の文化は我々日本人の宝ですからね。
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一気に読んだ
2023/08/26 00:47
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:良庵 - この投稿者のレビュー一覧を見る
非常によくできた、フィクションです。
ウルトラマン研究序説とかサザエさん家の謎とは、また違ったトンデモ本で、一気に読んでしまった。
ついでに縄文を読むを読むまで買ってしまった。
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圧倒的説得力がある。
2021/12/12 21:44
3人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:FA - この投稿者のレビュー一覧を見る
「縄文人になろうと思った。」
この姿勢が、歴史の謎を解いていくのだと思う。ほとんどの人がその時代に寄せていくことが出来ず、今の自分の立ち位置や価値観で判断し、解釈してしまう。酷い時には断罪さえしてしまう。こんなことでは歴史学はやっていけないことをこの作品は余すことなく、提示してくれている。
この作品を読んだ後は、土偶を見たとき、作者の主張しかあり得ないと思ってしまう。それだけの圧倒的説得力がある。
それに対して、学会では作者の説を無視を決め込み、挙句、発表することをやめさせようと脅しをかけてくる者もいたそうだ。そんなことだから、結論を出すことが出来ないのだ。いや、結論が出てしまっては、おまんまの食い上げになってしまうって思っているんでしょ。学者が官僚化してどうするんだ。
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「俺の土偶論」
2021/11/24 22:08
6人中、6人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:6EQUJ5 - この投稿者のレビュー一覧を見る
読んだ印象として、正直う~む、という感じです。
著者の主張は、土偶は食用植物や貝類を型どったフィギュアである、というもの。遮光器土偶など9タイプを挙げ、自説の植物や貝との類似性を述べています。しかし、出土している土偶のデザインからスタートして似た植物や貝類を連想するという手法には違和感がありますし、仮にそうだとして、では獣や魚を写した土偶がほとんど無いのはどう説明するのか?とか様々釈然としません。ツッコミ所満載のような。
ある程度は注目を集めている一冊のようですが、「時の洗礼」が必要と思います。
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土偶とは…と教科書で習った内容とは全く違う着眼点で展開する「土偶の形状のルーツ」を辿る本。
九つのとてもよく知られている土偶の形の解明をしているのだが、なるほど…の連続で面白い。
今後、土偶を作って、活用していた時代の人びとの生活の様子や社会について、もしかすると新しい解釈が出て来るやもしれず、それもまた楽しい期待を膨らませてくれる。
今の私たちがモノ作りをするときに何を根拠に新しい形を生み出すのかにつながるようにも思います。
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#土偶を読む 読了。
土偶の造形に対する考察を書かれた本で、個人的にはここまで説得力のあるものは読んだことがない!読み物としても面白く、特に筆者の発見に対する考察検証が、読んでる自分も一緒にフィールドワークをしているように感じられて面白い。あと「アシスタントの池上」氏が非常にいい味出してる。
土偶の造形に関して大概は、女性や出産に対する神秘性を模したものとするところが多いが、確かに造形に関してなぜあそこまで極端なディフォルメを付ける必要があるのかに対する納得する解釈を得られることはあまりなかった。往々にしてそれらは当時の刺青であったり、仮面であったり、髪型であったりともっともらしく書いてはいるが、果たしてほんとにそうなのか?あんな奇抜な恰好を当時の縄文人はホントにしてた?と思っていた疑問を、この本の筆者による土偶と植物への相似性(イコノロジー)が解き明かしていってくれる。
ざっくり言ってしまえば、土偶とは縄文時代に発生したゆるキャラグランプリだったのだ。
この本を読むと、いままで古代人の表現技術不足による極端なディフォルメだと思っていた(思い込まされていた?)縄文土器に対する自分の感性というものが、とんでもない過ちだったことに気付かされる。そして縄文人がいかに自然造形に対して深い洞察と表現力をもっているか。そして縄文土器がいかに写実的でかつアノミスムを持っているかがうかがい知れるのだ。確かに日本書紀、古事記などを読んでも、日本における神というものは、何かしらを象っている。それは1万5千年前の縄文時代から連綿と続いていたのである。
残念ながらこの本の内容は考古学的な学説としてはいまだ受け入れられていないようであるが、これを読んだ読者は、間違いなく新たな縄文土偶への視点を得られることになるだろう。
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「土偶を読む」竹倉史人著、晶文社、2021.04.25
347p ¥1,870 C0021 (2022.09.22読了)(2022.09.19借入)(2021.05.30/3刷)
この本が出版されたころ話題になりました。興味を持ったのですが、忘れていました。
図書館にあったのを思い出し借りてきました。面白かったです。350頁ほどあるので、あるのでちょっとひるみますが、写真が入っているのと、活字が大きめの様で、どんどんページが進みました。
土偶は、豊穣と多産の祈りのための女性像というのが、一般的な解釈かと思いますが、実際見てみると、それに合致しなさそうな不思議な形のものが多い。
著者は、その謎に挑んでみました。結論として「土偶は食用植物と貝類をかたどっている」ということです。
・ハート形土偶は、オニグルミ
・合掌土偶・中空土偶は、クリ
・椎塚土偶(山形土偶)は、ハマグリ、サルボウ等の二枚貝
・みみずく土偶は、イボタガキ
・星形土偶は、オオツタノハ
・縄文のビーナスは、トチノミとマムシ
・結髪土偶は、稲
・刺突文土偶は、稗
・遮光器土偶は、里芋
最後の里芋以外は、土偶が出土している地域で食料(マムシ以外)にしていることは裏付けられている。
【目次】
はじめに
序章 人類学の冒険
第1章 土偶プロファイリング1 ハート形土偶
第2章 土偶プロファイリング2 合掌土偶・中空土偶
第3章 土偶プロファイリング3 椎塚土偶
第4章 土偶プロファイリング4 みみずく土偶
第5章 土偶プロファイリング5 星形土偶
第6章 土偶プロファイリング6 縄文のビーナス(カモメライン土偶)
第7章 土偶プロファイリング7 結髪土偶
第8章 土偶プロファイリング8 刺突文土偶
第9章 土偶プロファイリング9 遮光器土偶
第10章 土偶の解読を終えて
掲載土偶一覧
おわりに
☆関連書籍(既読)
「大系日本の歴史(1) 日本人の誕生」佐原真著、小学館ライブラリー、1992.08.20
(アマゾンより)
第43回サントリー学芸賞 社会・風俗部門受賞!
日本考古学史上最大の謎の一つがいま、解き明かされる。
土偶とは――「日本最古の神話」が刻み込まれた植物像であった!
「考古学×イコノロジー研究」から気鋭の研究者が
秘められた謎を読み解く、スリリングな最新研究書。
・縄文時代に大量に作られた素焼きのフィギュア=「土偶」。
日本列島においては1万年以上前に出現し、2千年前に忽然とその姿を消した。
現代までに全国各地で2万点近くの土偶が発見されている。
・一般的な土偶の正体として
「妊娠女性をかたどったもの」
「病気の身代わり」
「狩猟の成功を祈願する対象」
「宇宙人」……
などの説がこれまでに展開された。が、実はいずれも確証が得られていない。
・本書では〈考古学の実証研究〉(データ)と
〈美術史学のイコノロジー研究〉(図像解釈学)によって
ハート形土偶から縄文のビーナス、そして遮光器土偶まで
名だたる国内の「土偶の真実」を明らかにする。
そこには現代につながる縄文人たちの精神史が描かれていた。
日本、5000年の歴史。
現代人の心的ルーツを明らかにする人文書の新しい展開へ。
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図書館から本が来る前に色々ブログとか読んでしまい、案の定ですが途中で胃液が込み上げて放棄しました(笑)
ハート型土偶がオニグルミと力説されるが、二次元漫画ならいざ知らず立体で見ると似つかないし、北海道唯一の国宝カックウが栗に比定されているが、頭頂部の二つの穴(欠けている)も無視されていますな☺️
写楽別人説とか本能寺の変黒幕説に多くみられる「自説を導くために」証明される条件設定がいつの間にか作られていて、上手に当てはめていくから読者はストレスなく心地よい読後感に満たされる詐術だと感じた
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<目次>
第1章 ハート形土偶
第2章 合唱土偶・中空土偶
第3章 椎塚土偶
第4章 みみずく土偶
第5章 星型土偶
第6章 縄文のビーナス
第7章 結髪土偶
第8章 刺突文土偶
第9章 遮光器土偶
第10章 土偶の解読を終えて
<内容>
専門は何になるのだろう?社会学者かな?考古学が専門ではないが、シロウトの思い付きでもない。かなり踏み込んで分析をしているが、いわゆる専門書でもない。そして論理がわかりやすく、説得力もある。土偶は、縄文~弥生の食べもの(クリ・貝・ヒエ・サトイモ)の精霊化である、とする。これに対して、考古学界から反応が欲しい。よくある「無視」ではまずいであろう。著者は、ちゃんと考古学的な分析も、植物学、魚介へもかなりのアプローチをかけている。
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すごく面白かった! ワクワクした! なんでこれまでこういう発想を誰もしてこなかったんだろう?
他にも土偶の種類はあるんだろうか。あるなら、何がモチーフになるのか。逆から考えて、食べていた証拠などが残っているもので土偶と結びつけられていないものはあるのか。など、広げていきたくなります。
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トンデモ本に見えるのも無理はないと思うが、決してトンデモ本ではない。
トンデモ本というのは、もっと独善的で妄想的で、己の主観から出て来られずにいる物を指すのであって、本書は違う。客観視のための手段を講じている。
自分の仮説が、そのままでは単なる個人の妄想でしかないと言われることを自覚して、どうすれば自分の仮説に説得力を持たせられるかを模索し、人類学や先行考古学研究からの検証を行い、「いかに客観的な説得力を持たせるか」を意識している点で、いわゆるトンデモ本とは一線を画している。
一般読者に向けた説明として嚙み砕いてあるからか、とても分かりやすく、また時々入るエッセイ的な語り口が軽妙で読みやすい点も、「ちゃんと作られた本だな」と思えた。
そもそも私は、土偶が妊婦像だという教科書の説明には、納得できずにいた。
あんな凄い造形スキルをもっていた人達が、自分に似せたフィギュアを作ろうとしたら、もっとちゃんと、「人間」の姿を作れただろうと思う。いくらデフォルメしたとしても、アレは「人間」じゃないだろう、と。
そんな定説に対して本書の説は、私は、すんなりと納得できた。「これだ!」と思えた。
しかも、「食べていた植物・貝類がモチーフだった」という例が次々解説される。その土偶が出土するエリアでは、そのモチーフ元の植物・貝が食べられるなり活用されるなりした形跡があることも、次々と説明される。一つ二つなら「たまたまじゃないの」と言えるが、これだけ列挙されれば、仮説の説得力も増す。
正直に白状すると、実は私も出版社からの新刊チラシを見たときは「ん?トンデモ本か?」と思ってしまったのだが、プルーフを読み、発売後に購入して全章を読みすすめる中で、いくら「トンデモ仮説かも」と思おうとしても、次々に紹介される事例が持つ説得力に抗いきれなかった。脳みそで「トンデモ本に騙されてるのかも?」と踏みとどまろうとしてみても、「縄文人の心はコレだよな」という気持ちが消しきれず、抗えなかった。
もちろん、ネットで他のかたが指摘しているように、やや無理矢理なように感じる部分もある。ただ、一部分の土偶に対する考察に多少の無理矢理感があるからと言って、「植物・貝類がモチーフ」という新説の説得力が陰ることは無い。
本書の著者は人類学者で「神話」の研究者とのこと。
「神話」という、人間の精神文化を扱う学者であることと、考古学の学閥的なしがらみがなく、先入観無く土偶と向き合えるポジションだからこそ、縄文人の心にたどり着くことができたのではないかと思えた。
センセーショナルすぎて考古学の学界では扱いが難しいのかもしれないが、本書によって一般社会の「通説」が「植物・貝類がモチーフ」ということになれば、やがて教科書の記述も変化せざるを得なくなるのではないかと思う。まさに「世に問う本」と言える。
そして、考古学界はこの新説に真剣に向き合わないと、「土偶の研究は人類学の研究ジャンル」などということになりかねないのではないだろうか。
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そもそも土偶とは何なのかについての独特な見立てを展開している一冊。
人間を模した人形という説を脇に置き、著者は土偶は植物を中心とした自然を擬人化したフィギュアなのだと断言します。
その後に理由を補完していくのですが、一般に向けての読みやすい筆致で非常にわかりやすいものでした。
個人的には土偶を巡る謎に対する一つの仮説なのだろうという認識に留まりましたが、遺物の研究とは奇抜で良いと思うのです。
失われた文明や文化の残影に様々なロマンを持ち寄ることで、混沌としながらもいずれは仮説が洗われ磨かれて収束する気がします。
まだまだ研究の余地が残る分野であり、今後の進展に期待します。
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著者の竹倉史人さんは会社関係の知人の弟さんだということもあり、本書が出版されたときから気になっていました。
従来タイプの“考古学の専門家”ではない立場から、日本古代史上の大きな謎に学際的立ち位置で相対し、「ゼロベース」からの発想で大胆な仮説を提示しそれを丹念に検証していくチャレンジングな姿勢は、とても魅力的だと思います。