花の本

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県内を旅行するともらえるクーポン。
TSUTAYAでも使えたので、ふだんはちょっと手が出ない本を購入した。
花の解説から、生花店の裏側、花の生け方と花にまつわるすべてのことが
書かれている。
我が家にもある花瓶も登場して、ちょっとうれしい。
一生大切にしていきたい本。

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著者は、現在第一園芸のトップデザイナー。随分昔のことであるが、第一園芸には、実にお世話になった。第一園芸がなければ、組織培養の会社が成り立たなかった。その時の小野さんは、どうしているのだろう。「苗は高くなくちゃいけない。そうするとチカラのある生産者がそれを買うことで上手く回るのだ」と諭された。その頃の私は、いかに苗を安くするかだけを考えていた。あれ。横道にそれた。
著者は、花の生産者としてブラジルへ移住。その後、サンパウロの花屋で働いた経験から、花で表現することの喜びに目覚める。フローリスト日本一を決めるジャパンカップで内閣総理大臣賞を受賞した。この本を読みながら、花に対する深い愛情が感じられて、心地よかった。また、画像も実に花の表情が出ていた。
5万年前のはるか昔、ネアンデルタール人が花を死者にたむけていた。1950年代中頃、イラク北東部の巨大なシャニダール洞窟で、遺骨数体の周りの土から、花からこぼれ落ちた花粉や枝が発見された。セイヨウノコギリソウ、ヤグルマギク、ムスカリ、キオン属、 タチアオイ属の花だった。
花を贈ることで、人間になったという岡倉天心の言葉がある。
著者は、「花は人の一生に起こる出来事に欠かせない存在」と言い、「花の魅力を最大限引き出して作り上げた『モノ』や『コト』をお客様に提供し、想定されている以上の感動を生み出すことが私の職業であり使命」と言う。「花中毒」とさえ言う。うん。ステキな仕事だ。
まずは、花屋の空間に行って欲しい。そして、その空間を楽しんで欲しいという。
花は進化の過程で多種多様な個性を育んできた。花を選ぶ場合には「季節」「香り」「色」で選んで見るのがいいという。季節をイメージする花、そのことで生活にアクセントができるという。花の特徴は、香りだ。甘酸っぱい香り、スパイス系の香り、甘くこなっぽい香り、柑橘系の香り、香りには、鎮静作用、免疫力の向上、美肌効果、リラックスしたり、睡眠の質を上げるなどの効果がある。色は、季節、朝と夕方、戸外、室内の光の種類によって変化する。
第１印象で心惹かれた花を一輪選び、その色に合わせて、選んでいく。簡単なのは同色系統でまとまる方法だ。カラーサークルの反対側にある色を少し選ぶのもアクセントとなる。
花のいろは、無機質な色ではなく、生命の色であり、生まれてから、枯れ朽ちるまで日々変化していく。そして、葉をどううまく選ぶのかも重要で、メインの花についている葉の色と同系統のものを選ぶことが必要だ。花の主張を妨げない選び方もあるし、葉はバライティがあるので、葉をうまく使えたら、花束や花飾りは成功したと言える。
器については、花が主役なので、器は花を引き立てる役割に徹することが重要だ。器はあまり際立って主張がない、花の個性を幅広く受け止めてくれるものが好ましい。花の色、形、線に会う透明な器であるガラス、土もの、かご、皿、石、お椀、白い器、ジャンクなど選ぶ。
花を生けるとは、空間で考えることだ。
花の魅せ方は、色で考える。季節で考える。部位で考える。物語から考える。
実に細かいところまで、神経を行き渡らせて、花を活け方と魅せ方を伝授する。
花に対して、遠���昔から、思いや願いを込めてきた。多種の花を使えば、自ずと物語ができるが、自分の思いを込めて、花と対話することで、紡がれる特別な時間を作るのは、至福の時間だ。
千利休の一輪のアサガオが、宇宙を形作るように、花は物語を表現する。
良い花屋とは、店の入り口付近の手入れが行き届いている。入った瞬間に店内がひんやりしている。葉物や枝ものなど花以外の副素材が充実している。花の品揃えを２色相から、三色相くらいの色味で抑える。知識の豊富なスタッフがいる。今日のオススメの花を聞かれて即答できる。清潔感があり、笑顔で花が大好きなオーラを出しているスタッフがいる。そういう店を自分で選ぶといいという。
いま、花屋とはなにか？を考えていたので、大きなヒントがもらえた。ありがたい本だ。