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商品説明
動物たちに魅せられた若手研究者たちがその姿を追い求め、行動や社会、生態を明らかにしていくドキュメンタリー。武器を持たないチョウという動物に、なぜ闘争が成り立つのかをテーマにした研究をまとめる。【「TRC MARC」の商品解説】
チョウが互いに相手の周りを飛び回る卍巴飛翔は、縄張り争いの一種と説明される。しかし鋭い牙も爪も持たないチョウがただ飛び回ることが、なぜ「闘争」になるのだろうか。試行錯誤の末に著者がたどり着いたのは、チョウにはライバルという認識がないために縄張り争いが成り立つという“常識外れ”な結論だった。
第11回日本動物行動学会賞受賞研究。【商品解説】
目次
- 巻頭口絵
- はじめに
- 1章 ギフチョウはなぜ山頂に集まるのか
- 春の女神を追いかけた日々
- ギフチョウの配偶行動の研究
- 各地のギフチョウ
- ギフチョウの危機
- 2章 相手を攻撃しない闘争で優位になるには
著者紹介
竹内 剛
- 略歴
- 〈竹内剛〉京都大学大学院理学研究科博士課程修了。博士(理学)。大阪府立大学大学院生命環境科学研究科研究員。「チョウの配偶競争に関する理論的研究」で日本動物行動学会賞受賞。
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紙の本
チョウの雄は「雄か雌かわからないけどとりあえず求愛してみる」?
2021/08/05 11:25
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:銀の皿 - この投稿者のレビュー一覧を見る
フィールドワークでの動物研究を紹介する新しいシリーズ。本書ではチョウの研究を紹介する。研究を始めた経緯、フィールドでの苦労、研究者として向かい合う様々なことの体験談も交えて研究結果が語られる。
蝶はどうやって配偶者を探すのか。著者も子供のころから昆虫採集から「この道」に入っていった一人。しかし「採集では観察できない」行動も多くある。本書で扱う「雄が開けたところで見張りをし、雄が来れば遠ざけ、雌が来れば追いかける」という行動も、採集するだけなら「どこで見張るか」だけ覚えればよいということ。なるほど、である。
著者の結論では、チョウの雄は飛んでくるのが雄か雌かを区別しているわけではないらしい。それらしいのが飛んでくれば近寄っていき、その後雄か雌かで違う行動をする。「汎求愛説」と名付けられたようだが、要するに「とりあえず求愛してみる」というところか。格別の武器を持たないチョウの交配相手探しは、「雄が戦う」というイメージとは違うようだ。
これまでの説とはかけ離れたものなので認知してもらう苦労もかなりあったらしい。ものの見方というのは一度定着してしまうとなかなか切り替えることが難しいという人間の性質も教えられた。「動物の研究は動物の視点で」という行動研究の考え方が出てくるが、どうしても「人間の視点」で判断をしてしまうことは否めないだろう。そこにきづいていかないと視点がなかなか広がらない。
見張りをする雄の行動の視点はわかってきた。では、見張りをする雄に近づいてこられた「飛んでいる雄」はどのように行動しているのか?雌の場合はどうなのか?
見張り側の視点だけでなく、対する側の視点からの説明もゆっくり聞いてみたいものだ。
研究者となり、採集では分からない昆虫の行動を知る。そして「動物の研究は動物の視点で」と考えるようになる。研究者への成長過程も書かれていて興味深かった。