紙の本
コロナ禍…
2024/02/01 09:18
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投稿者:ママさん - この投稿者のレビュー一覧を見る
なんだか母親たちが自分と同じようで反省なのか、なんだか怖くなりました。
おんなじような事を言ったりやったりしていたなぁ、と…
電子書籍
コロナだから
2023/03/22 23:51
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投稿者:エムチャン - この投稿者のレビュー一覧を見る
コロナが発生し始めた時期が、この短編集の舞台だからか、命の危機が感じられます。しかし、どの登場人物も、あまり、好きにはなれなかったですね。その行動が、どうも納得いかなかったのが理由なんですけど……
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投稿者:かい - この投稿者のレビュー一覧を見る
今の世の中を切実に捉えたような内容だった。コロナパンデミックで人間の本能や理性などの今まで書き出すことができない精神がうまく表現されていた
紙の本
諸刃の刃
2022/02/13 09:00
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投稿者:BB - この投稿者のレビュー一覧を見る
金原ひとみさんの作品は人間の心の闇や欲望を鋭く描いていて、共感するところもあるが、時折気持ち悪くもなったりする。それだけ人間が文学としてうまく昇華されていると言うことなのだろう。
今回はコロナが流行る前後に発表された短編5編。コロナ前に書かれているものも何故かコロナ禍の世の中に1人とはまる感じがするのが不思議。短編だが全てがうまく響き合っている。
性描写や希死念慮などが登場するので、そういった内容が苦手な人にはきついかもしれない。
紙の本
コロナ禍の人間を描ききった怪作
2021/06/12 19:47
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投稿者:オオバロニア - この投稿者のレビュー一覧を見る
ストゼロ、整形、浮気、コロナショック、セックスを題材にした短編集。題材の過激さに目眩を覚えるけど、人間の虚栄心と脆さから目を背けない豪速球の現代文学って感じでかなり面白かった。特に最後のtechnobreakは、コロナ禍の人間を描ききった怪作。
感染予防意識の違いで心が離れて、収入が減り、外出しないせいで杜撰な生活になり、激辛料理の刺激で生を実感する低収入サラリーマンって設定だけでも満腹なのに、そこに金原ひとみさん流のどぎつい性の要素が盛り込まれてる。それでいて俗じゃない。むしろ人の脆さがよく見えてくるからこそ面白い。
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コロナ禍のなか、コロナを題材にしてる話はあまり好きじゃないんだけど、金原さん相変わらずもうぶっ飛んでて面白かった。精神状態が不安定な人間を描くのがやはりうまい。原発事故で家族でフランスに逃げたとあって、やはり金原さんもコロナに神経質派なのかなーとかいろいろ考えてしまった。短編集なんだけど全部好き。朝から晩までストロングゼロ飲み続ける女も、年下の離れた男と付き合い自分の顔の粗が気になり整形依存に陥る女も、旦那も不倫相手も自分も精神状態がぶっ壊れてる全ての人も、コロナで大好きなバンドのライブがなくなり心中を試みようとする幸せそうなカップルも、限界のセックスを探す中でコロナ禍になり全てが露呈する女も、全部全部ぶっ壊れてて面白かった〜。
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金原ひとみのブルドーザーみたいな文体にゴリゴリに轢き殺されるような短編集だった。ストゼロに溺れる女美容整形沼に嵌っていく女不倫に不倫を上塗りする女ザ金原ひとみ小説!いつもながら文章の速度は台風みたい、台風並みの速さで読者を轢き殺すブルドーザー小説。
表題作はちょっと冗長に感じたけど『テクノブレイク』くらいかっ飛ばして破滅していく様はやっぱり金原ひとみにしか書けないものがある。
そして『コンスキエンティア』の言い知れぬ不気味さや底知れなさは過去作『アタラクシア』に通ずるものがある。肉体だけが先行し自我なく彷徨う彼女はただ怖い。
やはりわたしは金原ひとみの書く破滅の様が好きで彼女の小説を読むのだとしみじみ思う作品集だった。
自分も隣人も多かれ少なかれ破滅している破滅に向かって生きている。その破滅の様にどうしてだか見出してしまう安らぎこそが彼女の小説なのだと思う。
彼女は破滅を肯定する、その視線に私は安らぐ。
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コロナ前と後で劇的に変わる、肉体の距離感、心の距離感、社会性の距離感。
金原ひとみの私小説イズムの真骨頂。
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とても強烈な内容だけど、金原ひとみさんの文章が好き。
コロナ禍で世界が変わった。
付き合い方も変わった。
そういう苦悩には共感できる。
それにしてもストロングゼロを仕事中にも飲んでいるって、すご狂気。
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短編5話を収録した1冊。どの話にも、男と女の関係(恋人や不倫)をリアルに描写しており、そこにコロナという社会情勢を絡ませている。大きく括ってしまえば、5話とも同じような結末に落ち着いている気がする。
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もう、しょっぱなからけちょんけちょんにされる。
それでも読むのを止められない、全5話の短編集。
捲る度にどんどん転がり落ちてく斜面。
その淵は刃物のよう。
何かを纏ってくるまって、なんとか存在していられる。渇きを潤そうとして度が過ぎて溺れる。
ジタバタして、縋り付くようになりふり構わず掴まって。
ドロドロの泥濘だろうがヨゴれた空気を吸いながら、清く正しく自分の足で立つべき場所ですがる藁。
息をつないでどんどん「正しさ」から距離ができて、孤独から出る個毒に侵される。
内出血を撫でる様に仕様がない世界を生きてく。
流石、金原ひとみ。
コロナという時代の取り込みは早いし、切り込みはエグいし、もうほんと最強です。
第57回谷崎潤一郎賞受賞作。
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コロナ直前に付き合っていた元カレのことを思い出した。
彼は多忙から壊れてしまった。
彼は放っといてほしかった。
わたしは放っておけなかった。
関係は壊れた。
もし、あの時わたしがちゃんとソーシャルディスタンスを取れていたら、未だにうまくやれていたんだろうか。
まさに、アンソーシャルディスタンスが招いた別れだった。
金原さんは、歳を重ねることに、素敵な作品を描く。
痛みと、刹那的な衝動と、性。
それらはデビュー作から、ずーっと彼女の作品の基盤となっている。
その上に層となっていく部分が、金原さんが歳を重ねるごとに、どんどん深みを増しているのだ。
何かに必死に縋って依存して生きていく人々の、痛々しい生と性を赤裸々に描く筆致。
この作品では、生きづらさを抱える5人の女性にフォーカスをあてている。
心を患った、大好きだった彼氏との関係に直面できずにどんどんアルコールに溺れていく「ストロングゼロ」。
歳下の彼氏といるために若くありたいと願い、軽い気持ちで整形に手を出したら泥沼にはまってしまった「デバッガー」。
結婚していながら異性関係から抜け出せずに不倫を繰り返す「コンスキエンティア」。
好きなバンドのライブが中止になったことを嘆くカップルがそれぞれの視点でコロナと相手のことをみつめる「アンソーシャルディスタンス」。
激辛とセックスとオナニーで埋め尽くされた自粛生活、彼女は彼のことを愛しているのか、それとも単なる依存と執着なのか、「テクノブレイク」。
主人公がみんな生きづらくて不器用で愛おしい。
人間みんな何かに依存して生きてる、とわたしは思う。
それがたまたまお酒と、整形とセックスとオナニーと激辛と、あなたってだけ。
というかそもそも、こうやってお酒とか整形とかに依存してるのは、あなたのためなんじゃん?
いや、あなたのためと見せかけて、結局一番救いたいのは自分なんだ。
それなのに、依存と執着は、自分から「自分」というものを、じりじりと奪っていく。
そんなじりじりとした焦りと絶望的な心理描写を克明に描く。
ただのメンヘラじゃない、性欲に溺れたメンヘラ描かせたら天下一品!
こんなに、こんなに、生きている!
特に、コロナ禍がメインで描かれる、後半の2編。
いずれも、結局は生きることに執着して、主人公なりに生きていこうとする姿は、痛々しくはあるけれど、とても美しかった。
5人がそれぞれに溺れている依存対象。依存しながらも必死に生きているその姿こそがまさに生きづらさで、もうなんのためにこんなことしてるのかわからない、本来の目的なんて見失って、それでもここに行き着いてしまう。この依存と執着の表現の素晴らしさ。
ダメだよなぁと思いつつ必死で生きている人を肯定してくれる。
何かにしがみついてしか生きられない人を、その何かがなくなってしまったら別の何かに頼って生きていく人を。
西加奈子さんは、金原さんを「自分を愛さないことも認めてくれる人」と評していて、それは金原さんの作品のそこここに溢れている。こんなに生きづらくてそんな自分大っ嫌いで死にたくて、それでもわずかな光に縋って生きている人たち。
作品の中で、わずかな光を求めている彼女たちの暴走が止まらないように、ページをめくる手が止まらなかった。
夜中に読む金原さんは最高だ。
主人公が普通でマトモでってわかりやすいけど、主人公がどこかぶっ壊れてるとそこに正論が入らなくていい。
たとえば、不倫よくないよとか、知ってるっつーの!
正論で留まることができる瞬間は、いい。
でも、留まることができなかった時、壊れ続けたまま生きていかないといけない。
正論が蔓延る世界の中で、彼女の作品は、決して正論を押し付けないし、絶対に責めない。
そこに救いがある。
金原さんの作品に対してわたしがしているのは、果たして共感なのか理解なのか。
そしてわたしは気づいてしまったのだ。
いや、今まで気づいていて気づかないフリをしていたことを、金原さんによって突き出されたのだ。
決してあいつが好きだったわけではなく、あいつとのセックスが好きだったのだと。ただの、依存だったのだと。
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この作品も期待を裏切らずキレキレだ。
無駄な言葉がひとつもなく、確実に胸を貫いてきた。
閉塞感の中、過剰に生きようとする女性たちを描く短編集。滑稽なんだけどリアルさが漂うところがおそろしい。
ストロングゼロ 評価5
アルコールに依存して崩れていく女子社員。
デバッガー 評価5
職場の若い男性と恋に落ち、自らのバグを修正すべく整形にのめり込んでいく30代女子。
彼と向き合うために美容整形に走り、自信のない自分には直面したけど、大好きな彼とはまっすぐ見つめ合うことができない…切ない。
コンスキエンティア 評価5
不倫を繰り返す妻は、夫に身体を傷つけられることで、精神の均衡を保っている、ようにも見えるけど。
この短編集の中で最も「痛い」作品。
アンソーシャルディスタンス 評価5
表題作。いや、もう、タイトルからしてすごい!
「非社交的距離」って、なんやねん!
コロナ的には安全なのか安全でないのか、どっちなんだ(笑)
こういう言語センスが金原さんはすごいと思う。
コロナ禍の恋人たちを描いた小説ははじめて読んだ気がする。去年の3月くらいは、若いやつらはリアルにロックダウンとか心配しちゃったんだろうな。
心中なんておだやかじゃないけど、好きなバンドのライブが見れないからって一緒に死ぬことまで考えてしまうなんて若くて健全だ、と思った。
ただ、
「何があっても死ぬことなんか考えないようなガサツで図太いコロナみたいな奴になって、ワクチンで絶滅させられたい。人々に恨まれて人類の知恵と努力によって淘汰されたい」
は、少しロマンチック過ぎるかなと思った。
ウイルスが擬人化されると、その恐ろしさが矮小化されてしまう感じがして、しっくりこないんだよな。
テクノブレイク 評価5
潔癖症でセックス依存症の女子の話。
「セックス」という単語が頻出し過ぎてゲシュタルト崩壊を起こす(笑)
こんなの初めて読んだ。
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「Strong Zero」
「Debugger」
「Conscientia」
「Unsocial Distance」
「Technobreak」
5編。同じピッチングフォームから投じられ同じリリースポイントから放たれる5つのボールの揺れる軌道は、それぞれ微妙に異なる。
「Debbuger」で描かれる美容整形を繰り返す女は、その自家中毒的な心理描写が著者の堂に入った感じで、圧倒的な安定感を感じる(不安定さを描くことに対する、圧倒的な安定感)。
一方で新コロナ禍の不安定さを描いた「Unsocial Distance」「Technobreak」の2編は、なんとなく手探りな印象を受けた。これは本作に対する不満を言っているのではなく、もう少し吸収浸透の時間をかけることにより、このテーマでもっと決定的な仕事をしてくれるのではないかという期待感を抱かせる、そんな作品。
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この物語五篇の女性達は皆欲望に忠実だ。よって全く嘘がない本質が描かれている。安易な世に蔓延する空っぽのような道徳や正義の念に左右されない力強さを持つ。金原ひとみはその凶器のように力強い欲望を、完成された(彼女も話題の芥川賞デビューから20年近く経ち円熟だ)文体で読者にぶつけてくる。男性現代作家で言えば村上龍や西村賢太のそれと相似する。
故に彼らがその作品でそうしてくれたように、金原ひとみは嘘偽りの無い力を読者である僕の身体に注ぎ込んでくれた。本当に強い文学だ。