紙の本
「人体は本当によくできていて、美しく、神秘的だ。おわりにより。
2023/05/28 19:24
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:やまだち - この投稿者のレビュー一覧を見る
人体への知的好奇心が満たされる思ったら、ますます興味がわきました。
ネタバレがあります。
コンテンツは以下のとおりです。
第1章 人体はよくできている
第2章 人はなぜ病気になるのか?
第3章 大発見の医学史
第4章 あなたの知らない健康の常識
第5章 教養としての現代医療
当たり前だけど見過ごされていた人体の構造の素晴らしさや、「病気」について、医学史、医学の進歩に貢献した科学技術を紹介しています。
私が感心したのは肛門の機能です。
個体か気体かを見分け、個体は残したまま気体だけを出す、文章化すると肛門が持つ機能のすごさに気付くことでしょう。
またお産や手術前の「手洗い」が当たり前ではなかった時代、血液型の違いが発見される前、見えない細菌やウイルスを「瘴気」ととらえていた時代などがあったことを知りました。そんな医学史を遡ると、先人たちの功績に頭が上がりません。
巻末には「読書案内」のコーナーもあり、この本をきっかけに医学に興味を持たれた方はもっと深く広く学べると思います。
出典や専門医の監修もある、サイエンスに基づいた一冊でした。
紙の本
興味津々
2021/12/07 20:02
4人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:飛行白秋男 - この投稿者のレビュー一覧を見る
こんなにわかりやすい医学の本は初めてです。
いやー面白いです。
人体の不思議には幼いころから興味がありましたが、こんな本は無かったなあ。
これは作者にあっぱれですね。
この本は売れて欲しいです。
紙の本
知識欲全開に!
2021/12/20 09:37
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:pinkどんぐり - この投稿者のレビュー一覧を見る
自分の身体のことなのに、今迄知らなかったこと、気もしていなかった事柄について、
えっ!そんなに凄いことなんだ!!と医学の発展経過と共に、分かり易い解説が
次々と興味を湧き立てます。
紙の本
興味が広がる1冊
2022/12/09 13:13
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投稿者:うみん - この投稿者のレビュー一覧を見る
看護や介護系ではないが、今後のためを思い何か勉強になる本を、と探していた時に読みました。
人体って面白い!初心者でもわかりやすくてとても満足。
そして次はこの本を読んでみたい、もっと詳しく知りたいと思わせてくれる。もっと身体について、医療について知りたいと思えた。
紙の本
子供の何故?に答えてくれる
2022/11/21 22:23
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投稿者:マンゴー大好き - この投稿者のレビュー一覧を見る
子供が人体に興味があるようで買ってみました。世の中には知らない事の方が多く、親の私でも「へ〜」と思う事がいくつも書いてあり勉強になります。「知らない事を知るのは楽しいね!」を子供と共有出来る本です。
紙の本
自分の体のこと、大切に思えます
2022/02/25 13:53
2人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:コニタン - この投稿者のレビュー一覧を見る
体のさまざまな部分の役割、機能、働きをわかりやすく解説。読む気が継続する体解説でした。はるか昔、理科第二分野で学んだ基礎から最近のテレビの健康番組まで、新たな楽しみ方、楽しむレベルがあがりそうです。
紙の本
知ることの楽しさ
2022/11/18 09:51
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投稿者:ピーちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
ご自分がよく熟知なさっているので、面白いところをピックアップされ、素人にも分りやすい文体で高度なことを教えてくださったと解釈。
人体の素晴らしさと当たり前と思っていたことが、じつは相当高度なテクニックを要しつつ人体が素知らぬ顔をしてこなしているのだとよく分った。。
手術機器の器具名は開発者の名にちなんでいて、日本語で言うなら、「鈴木」「山田」etcと呼び続けているようなもの、などは思わず笑ってしまった。
紙の本
医学には旬がある
2023/04/06 22:20
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投稿者:安堵 玲 - この投稿者のレビュー一覧を見る
限られた紙面上 筆者も歯がゆい思いもされていることだろうと思われるが、ノーベル賞とはいかに名誉のためだけのものであって無意味なものであるのか、思い知らされるものである。本文中にも、医学史上において、あっさりと記載されているだけである。それはさておき、2021年8月発行でありながら、コロナの話題は限定的である。医学とはいかに日々進歩、変化しているのかが感じられる1冊である。本書が気になる方には、お早くお読みいただくことをお勧めする。
電子書籍
親子で読める
2023/01/11 19:21
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投稿者:エムチャン - この投稿者のレビュー一覧を見る
人間の身体については、知らないことばかりです。ドクターだからこそ書けるのか、または、作者が常にこういう視点を持っているのか……。親子読書にいいと思いました。読みやすいです
紙の本
コラム程度の内容かな
2022/02/13 16:43
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投稿者:UMA1001 - この投稿者のレビュー一覧を見る
タイトルがよく、皆さんの評価も高かったが、少し物足りない感じがした。内容は非常にわかりやすく、そうなんだとためになることではあるが、もう少しワクワクしてくるような内容を期待していた。
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投稿者:6EQUJ5 - この投稿者のレビュー一覧を見る
外科医がまとめた、人体の精密さ、医学の進歩の歴史等に関する一冊。期待して読んでみたのですが、あまり革新的な内容はありませんでした。教科書を詳しくした感じ。
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分かりやすくて、オモシロイ!
第3章なんて、夢中で読んでしまった♪
「おわりに」の、「一見混沌とした人体と病気のシステムが、すべて理路整然と」科学的に説明できるというのも、ホントに嘘みたいな話だなと思う。
よくできてるなぁ、人体。
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人体がいかに素晴らしく出来ているか、色々なトピックや器官が取り上げられて余すところなく解説されている本です。技術面の話、医学としての進歩の話も織り混ぜられており医学に関して知見が深まりました。そういう目的で読む方には教科書ともなり得るような本ではないかと思います。
私はタイトルの通り人体がどれだけ素晴らしいかを知りたくて手に取ったので、もっとその辺の話を多く知りたかった感もあります。個人的には期待していたようなものは第1章だけだったかなという印象でした。
ここからは別の感想です。
私は人体の素晴らしさを考える時、どうしても不思議な気持ちになります。それは、多くの人はこんなに素晴らしいものがひとりでに、長い時間をかけて偶然に出来上がったと考えているという事実です。例えばこの本でも、重要な血管である動脈は表面から遠いところにあることが解説されていますが、そうしたほうが「有利である」ことを著者も認めています。問題は、その「有利」と判断されそういうシステムになったのは偶然なのか意図的なのかということです。
私はこの本のタイトルを見て、古い言葉であるこの言葉を思い出さずにはいられません。
「私はあなたを賛美します。 私は,驚くほどに素晴らしく造られているからです。」詩編139:14
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9月29日新着図書:【日本人がパルスオキシメータ(血中の酸素飽和度を測定する機器)を発明。この本で知りました。なるほど、そうなんだとワクワク読んでいける本。おススメです!】
タイトル:すばらしい人体 : あなたの体をめぐる知的冒険
請求記号:490.4:Ya
URL:https://mylibrary.toho-u.ac.jp/webopac/BB28192653
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■読んだ動機
身体のことについてもっと知識をつけたいと思って、読みやすそうなこの本を選んだ。
■感想
知らなかった知識が多く得られてよかった。
目や臓器、血液などの知識が薄くだが得られた。
また医学の歴史を知れた。昔は当然ながら、麻酔がなかったり、レントゲンがなかったり、ウイルスやワクチンがなかったり、といった時代。それがつい100-200年程度で整ってきたと思うと、現代は恵まれているなと。
■気になったことのまとめ
何も考えずに立ち上がってみてほしい。おそらく、最初に頭を思い切り前に突き出して、その後ようやく腰を浮かせるはずである。
椅子から立ち上がるためには、まず「前屈する」という動作が必要なのだ。 なぜだろうか?
その理由は単純で、重い 臀部 を持ち上げるためには、頭の重さでバランスを取る必要があるからだ。頭を前に突き出し、重心を前方に移動させることで、重い臀部を持ち上げるのである。まさに、「重い腰を上げる」ためには頭を使う必要があるのだ。
私たちが景色を認識するのは、網膜に映った映像が脳に伝わるからだが、実は網膜全体ではっきりものを見ているわけではない。網膜の中心部分の、ほんの一点だけで見ているのだ。 この一点とは、 黄斑 と呼ばれる部位の、さらにその中央、「 中心 窩」と呼ばれる点である。この部分の直径はわずか〇・三ミリメートルしかない。ここから少しでも外れると、視力は大きく低下する。私たちの視力は、この狭い部分に依存しているのです。
明るいところから急に暗いところに入ると、最初は何も見えないのに、徐々にものが見えるようになってくる。このことは、誰もが経験的に知っているはずだ。この現象を「暗順応」と呼ぶ。主に働く細胞が、錐体細胞から桿体細胞にゆっくりと切り替わるのである。 逆の経験もあるだろう。暗いところから急に明るいところに出ると、最初はまぶしくてものが見えにくいが、徐々に普段の見やすさを取り戻す。これは、「明順応」と呼ばれる現象だ。暗順応と逆の作用が起こっているのである。 明順応と暗順応は、完了するまでにかかる時間が大きく異なる。明順応は約五分とすみやかに起こるが、暗順応は三十分ほどかかるのだ。
ここでまた一つの実験をしてみよう。この本を両手で左右に細かく揺らし、その状態で文字を読もうとしてみてほしい。文字が左右にぶれて、とても読み進めることはできないだろう。当然のことだ。 では逆に、頭のほうを左右に細かく揺らすとどうだろうか? 先ほどと同じ幅で、かつ同じ速度で左右に振りながら、文字を読もうとしてみてほしい。本を揺らすのと比べると、はるかに読みやすいのではないだろうか? 頭を左右に振っても、意外に視野はぶれないのだ。 これには、私たち動物が持つ「 前庭 動 眼 反射」という機能がかかわっている。耳の奥にある前庭や半規管という器官が頭の動きを感知し、瞬時に逆方向に(打ち消す方向に) 眼球を回転させ、視線のブレを防いでいるのだ。
映画館で感動的な映画を見ていると、あちこちからズルズルと鼻をすする音が聞こえることがある。涙を流すと、同時に鼻水も出てくる、というのは経験上誰もがよく知っていることだ。なぜ鼻の調子が悪いわけでもないのに、涙と一緒に鼻水があふれるのだろうか?
実は、目と鼻は繋がっていて、涙は鼻に流れ込むからである。「鼻の粘膜から分泌された液体ではない」という意味では、鼻炎などで出る鼻水とは性質が異なる。その証拠に、泣いたときに出る鼻水はさらさらしていて、あまり粘り気がないはずです。
泣いたときに涙が目からこぼれるのは、一定時間に排出できる量より、分泌される量のほうが上回るからである。
あくびをしたり唾を飲み込んだりすると、この不快感は解消される。このとき、普段閉じている耳管が開き、空気が鼓室に出入りすることで外気圧と等しくなり、鼓膜の位置がもとに戻るからだ。
味覚は味を感じる感覚のことだが、その機能をより正確に書くなら、「水に溶けた化学物質を検出する力」ということになるだろう。
一方、空気中に含まれる化学物質を検出するのは鼻であり、これを「におい」と呼ぶ。
味覚は、塩味、旨味、甘味、酸味、苦味の五つの味を識別できる(辛味は痛覚として受容されるため、味覚には含めない)。 塩味は、生きていくのに必須となる電解質(ミネラル) を認識し、旨味や甘味は栄養のあるものを認識する。一方、酸味や苦味は、腐ったものや有毒なものを識別し、体内に入れないようにするための「水際対策」を担う。これらを識別することで、私たちは自身の命を守ることができるのです。
二本のペン先を体表面に当て、その間の距離を縮めていくと、ある距離から「二点で触れられていること」がわからなくなる。二点を判別できる最小の距離を二点 弁別閾 と呼ぶ。背中では、なんと四センチメートルほど離れていないと二点を判別できない。つまり、間隔が二センチメートルや三センチメートルだと、「一点で触れている」と認識してしまうのだ。実際に試してみると、あまりの「鈍感さ」に我ながら 愕然 とするほどである。 一方、舌の先や指先ではもっとも短く、たった三、四ミリメートルでも識別できる。点字を指先で触れて読み取れることを思えば、指先が二点の判別に優れていることはよくわかる。性行為に舌や指がよく使われることも、こうした感覚の鋭敏さゆえといえるかもしれない。
唾液の機能は非常に多く、食べかすや歯に付着した歯垢を洗い流す自浄作用や、細菌の増殖を抑える抗菌作用、粘膜を保護する作用などさまざまである。 また、溶けたエナメル質を修復する作用も、唾液の重要な役割だ。「甘いものを食べすぎると虫歯になる」のは常識だが、これは虫歯の原因となる細菌がショ糖を分解し、その反応で産生された酸が、歯の表面のエナメル質を溶かすからである。この現象を「 脱 灰」と呼ぶ。
一時的に脱灰が起こっても、唾液は「再石灰化」と呼ばれる働きで、これを修復する。だが、脱灰が頻繁に起こると、そのスピードに再石灰化が追いつかなくなり、歯が深くまで溶けて虫歯になってしまうのだ。つまり、虫歯が起こるリスクは、「おやつの量」よりむしろ「おやつの頻度」によるのである。 一方、人工甘味料のキシリトールや、非糖質系甘味料のステビアなどは、細菌が分解できないため脱灰が起こらない。「歯にやさしい」といわれるのは、それが理由である。
「タンコブ」は、正確には「皮下血腫」という。つまり、打撲後に皮膚の中の細い血管が破れ、血液が溜まった状態だ。頭にタンコブができやすいのは、頭皮は血が出やすい上に、すぐ下に頭蓋骨があるために溜まった血液が内側に広がれず、外側に広がって皮膚がふくらんでしまうからである。
心臓は、安静時に毎分約五リットルの血液を送り出す。一方、体全体にある血液の量は、成人でおよそ五リットルである。つまり、一分間で血液が全身を一周するということだ。ただし、この量は運動時に大きく変動する。心拍数が上がるとともに心筋の収縮力も増し、最大で毎分約三五リットルまで拍出量を増やせるのである。
① 肺に流れ込んだ血液が外気から酸素を受け取る。
② この酸素は血流に乗って心臓の左心房に入る。
③ 左心室から全身に送り出され、酸素が各臓器で消費される。
④ 各臓器から 排泄物である二酸化炭素を受け取る。
⑤ 二酸化炭素は血液中に溶け込み、心臓の右心房に戻ってくる。
⑥ この血液が右心室から再び肺に送り出され、二酸化炭素を放出し、再び酸素を受け取る。
肺では酸素と二酸化炭素が交換されており、これを「ガス交換」と呼ぶ。
実は、大便の茶色は胆汁の色である。もう少し正確に書くと、胆汁に含まれるビリルビンが、腸内細菌の作用でウロビリンに変化し、これが便を茶色くしているのだ。 ビリルビンとは、赤血球の成分であるヘモグロビンが分解されてできたものである。赤血球は寿命が約百二十日で、老化した赤血球は破壊され、中のヘモグロビンが肝臓でビリルビンに変化するのだ。これが胆汁の成分として十二指腸に流出する。
「おならは腸の中で産生されるガスだ」と誤解しやすいが、そういうわけではない。おならの大半は、口から飲み込んだ空気である。
空腹時にお腹が鳴る、という経験は誰しもあるだろう。だが、実は空腹時に限らず、常にお腹は「鳴って」いる。その証拠に、お腹に聴診器を当てると、健康な人なら誰でもグルグルという音を聞くことができる。私たちが「お腹が鳴った」と思うときは、「聴診器なしでも聞こえるくらい大きな音が鳴った」というだけである。
お腹の音は、主に腸(小腸や大腸) が運動して内容物を運ぶときに出る。
腸は常に運動しているが、これには二つのパターンがある。
一つは空腹時の「空腹時収縮」、もう一つは食後の「食後期収縮」だ。
腸管の収縮力は空腹時のほうが大きく、胃・十二指腸から始まった収縮が小腸の末端まで伝わっていく。腸管内に残った胃液や腸液を下流に送り出し、次の食事の準備をするためだ。空腹時にお腹の音が聞こえやすいのは、それが理由である。もちろん、空腹時以外にお腹の音が聞こえることもあるが、いつも腸が運動しているのだから不思議ではない。腸の運動が活発であることは、腸が健康である証拠である。
食べたものが、そんなに早く便になるわけがない。ゆっくりと消化され、腸の運動によって下流に運ばれ、一〜二日経ってようやく便として排出されるのである。
では、なぜ食後に便意を催すのだろうか? 実は、「食べものが胃に入ると大腸の蠕動が促される」というしくみがあるからである。これを「胃結腸反射」という。何かを食べれば反射的に大腸に溜まっていた便が下流に運ばれ、結果として便意を催すというわけだ。
食べものが分解されてできる老廃物は、時に人体に有害なことがある。こうした物質の「解毒」も肝臓の大切な働きである。 中でも代表的な老廃物が、窒素代謝物であるアンモニアである。人間に限らず、あらゆる動物にとってアンモニアは有毒な物質だ。だが、タンパク質(アミノ酸) をエネルギー源として分解すると、どうしてもアンモニアが産生されてしまう。そこで、これを無害な形に変え、体外に排出するしくみが必要なのだ。 肝臓では、アンモニアを無害な尿素に変えることができる。このしくみを「尿素サイクル」と呼ぶ。複数の酵素がかかわる化学反応である。アンモニアを尿素につくり替えることで、尿の一部として安全に排出できるのである。
副交感神経はリラックスしたときに働く神経である。一方、交感神経は緊張感が高まったときに働く。つまり、緊張や恐怖を感じたときに勃起は起こらないのだ。
一方、食べものに対し、経口免疫寛容がうまくいかずに免疫が反応してしまう現象が、食物アレルギーである。卵や小麦、そばなどに含まれる物質に対して抗体が産生され、全身にさまざまな症状を引き起こしてしまうのである。
しばしば混同されがちだが、細菌とウイルスは全く異なる微生物である。まず大きさが全く違う。ウイルスは細菌の約一〇〇分の一と極めて小さいため、通常の光学顕微鏡で観察できない。
また、細菌とウイルスの違いは大きさだけではない。「自力で生きることができるかどうか」にも違いがある。細菌は、環境さえ整っていれば細胞分裂によって自力で増殖する。生きるために他の生物に寄生する必要はない。 一方、ウイルスは自力で生きることができない。DNAやRNAと、それを包み込むタンパク質のみでできたシンプルな構造で、自らを複製する力を持たないのだ。こうした性質から、ウイルスは生物ではないとされることも多いが、微生物学の学問領域には含むのが一般的
実は他の生物の細胞に自己のDNAやRNAを送り込み、その複製システムを乗っ取ることで増えていくのだ。DNAやRNAは、生物の設計図である。ウイルスは自己の設計図を相手に送り込み、代わりに自己をつくってもらうことができるのだ。 感染された細胞の身になってみれば、いわばプラモデルをつくっている最中に、いつの間にか設計図の途中が別の頁に差し替えられ、本人も気づかないうちにせっせと違うプラモデルを量産しているようなものである。
糖尿病は、インスリンの不足や、インスリンに対する体の反応が鈍くなる「インスリン抵抗性」が原因で起こる病気だ。血液中のブドウ糖の濃度が高くなると、濃度の差に従って血管内に水が引き込まれる。それが尿になって多尿となり、異常にのどが乾き、多飲になる。過剰なブドウ糖は尿中に 排泄 されるため、尿中のブドウ糖濃度が異常に高くなる。これが「糖尿病」という名前の由来だ。 人間の体には一〇〇種類を超えるホルモンがあるが、���糖値を下げるホルモンはインスリンただ一つである。一方、血糖値を上げるホルモンは、成長ホルモン、副腎皮質ホルモン、副腎髄質ホルモン、甲状腺ホルモン、グルカゴン、ソマトスタチンなど多くある。 血糖値を上げるしくみのほうが充実しているのは、動物として食糧の不足に備える必要性を考えれば当然のことだといえる。現代の人類は、歴史上では極めて稀有な、「食糧に困らない動物」なのである。
血液型とはそもそも、赤血球の表面にある抗原の種類のことだ。細胞表面にトゲのようなものがたくさんついている、と考えるとよい。輸血のときにもっとも大切な「トゲ」は、ABOとRhの二タイプある。 A型の赤血球にはA抗原、B型の赤血球にはB抗原、AB型にはA抗原とB抗原の両方、O型にはいずれの抗原もない。一方、A型の血清には抗B抗体が、B型の血清には抗A抗体が、O型の血清には両方の抗体があり、AB型にはいずれの抗体もない。
ABOにAとBの二種類の抗原があるように、RhにもC、c、D、E、eなど、四〇種類を超える抗原がある。中でも、D抗原がある場合をRhプラス、ない場合をRhマイナスと総称する。不適合輸血で強い反応を起こすのはD抗原だからである。
エコノミークラス症候群とは、飛行機の狭い座席などで長時間じっと座っていると、足の静脈の血流が淀んで血栓ができ、立ち上がった際に血栓が飛んで肺の血管を詰まらせる、というメカニズムで起こる病気だ。足の静脈内に血栓ができる状態を 下肢 静脈 血栓 症 といい、この血栓が肺に飛んで血管が詰まる病気を 肺 血栓 塞栓症 とよぶ。
外気温よらず、体温を常に一定に維持できるしくみが備わっているのだ。 脳の「視床下部」という部分には、体温調節中枢がある。いわば、体温を決める司令室である。ここが定める温度を「セットポイント」といい、この設定温度に合うように体温は絶えず自動調節される。暑いときは自然に汗が出て熱の放散を促し、寒いときは筋肉のふるえなどで熱を産生すると同時に、血管が収縮して熱が逃げるのを防ぐのだ。 風邪をひいたときなど、体に炎症が起きるとセットポイントが高く設定される。この状態が「発熱」だ。免疫の機能を活発に働かせるためのしくみである。まさにエアコンの設定温度を想像するとわかりやすいだろう。 ちなみに、セットポイントが上がったときに体を冷やしても体温は下がらない。おでこに冷えたタオルを乗せたり、冷却シートを貼ったりしても、気分が良くなるだけで体温が下がることはない。
医療機器メーカー日本光電に勤めていた研究者の青柳卓雄は、今や世界的に用いられる「パルスオキシメータ」の生みの親である。 青柳が注目したのは、酸素と結合した酸素化ヘモグロビンと、結合していない脱酸素化ヘモグロビンで「赤い色の光を吸収する度合い」が違うことである。そのため、酸素を多く含む血液は鮮やかな赤色に、酸素の少ない血液は暗い赤色に見える。パルスオキシメータは、この吸光特性の差(赤みの差) を皮膚の表面から観測できるのである。つまり、「荷物を搬送中のトラック」と「荷台が空のトラック」の割合を知ることができるのである。
では、そもそも血液は何でできているのだろうか? 血液の約四五パーセントは細胞で、残りの五五パーセントを 血漿 と呼ぶ。細胞成分の大部分は赤血球であり、わずか一パーセントが白血球と血小板である。