陰謀論はどこまで真実か 増補版

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投稿者：オタク。　-　この投稿者のレビュー一覧を見る

時節柄、トランプとQアノンなどが出て来るが、何故トランプのような男を支持している支持者について軽視しているように思える。まるで質の悪い陰謀論にたぶらかされたように思っているのだろうか？トランプのような南部の福音派とは接点がなさそうなドイツ系の不動産王の御曹司が、何故、共和党に君臨したのか？、何故「フェイクニュース」を連呼するアジテーターが共和党の支持層は惹かれるのか？、という発想がないのだろう。
　日本でのトランプ崇拝者について、旧統一教会系のサンクチュアリ教団と幸福の科学という反共ぐらいしか共通点のない教団が関わっている、と書いているのに、チラッと出て来る法輪功について、どこかへ行っている。
　「ホロコースト否定論」に対する批判について、大筋はいいのだが、例えば「ヒトラーは改選前（開戦前？）の指示書で「政治将校のうち、不服従な者を処分せよ」と命じただけだった」というのは、おそらくコミッサール指令だと思うが、政治将校は基本的に殺せ、というあからさまな命令だったのではないか？また、この前に「独ソ戦は空前の民族絶滅戦争となりナチスはソ連市民を無差別に大量虐殺したが」というのは、大木毅の「独ソ戦」の受け売りだろう。
　大木毅は赤軍の「作戦術」を過大評価しているのか、それとも「独ソ戦は絶滅戦争だった」という粗雑な理解があるのか、かは知らないが、「第二次大戦の〈分岐点〉」でレニングラード解囲を目指した赤軍の動向を書いた際に、ヴラーソフ将軍の名前を書かない人だ。ドイツ軍の捕虜になるまでは赤軍の輝かしい英雄だったヴラーソフ将軍に触れないのは、第2突撃軍がヴォルホフで壊滅した背景を描かざるを得ないし、またドイツ軍に協力した人々について触れざるを得ないからだろう。
　あと、独ソ戦の「開戦前」が「改選前」と誤変換したままな個所があるが、ベルゲン・ベルゼンが「ベルダン・ベルゼン」と誤記されている。校正ぐらいして下さい。
　ダイアナ・スペンサーについての個所で、王室は元はドイツ系であり、アルバート公がドイツ出身だとあるが、エディンバラ公はデンマーク王室の分家筋のギリシャ王族で、クイーン・マザーはイングランドの貴族出身というのを見落としているらしい。しかし何故、あんな夫がカミラと不倫しているから、と自らも他の男に身を任せるような我が儘な伯爵令嬢が「人々のプリンセス」だなどと崇拝されるのか、理解出来ない。
　何となく全体的に筆致が荒くて読みづらい。