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投稿者:nekodanshaku - この投稿者のレビュー一覧を見る
人間の本質は善である、性善説を力強く押す論調に、希望に満ちた未来を感じる。性悪説の徴とされる歴史的事実らしいものの危うさや、人は状況により悪に惹かれることを示した心理実験などの欺瞞を明らかにする。後半はのような論理展開が待つのか、ワクワクする。
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人間社会に対する見方を変えてくれる本。『サピエンス全史』の批判も載っているが、その著者ユヴァル・ノア・ハラリが「わたしの人間観を、一新してくれた本」と賛辞を送るほどのことはある。
人間はもともと善人なのか悪人なのか、どうして人間がネアンデルタール人も含めて他の動物より広まることができたのか、について幅広く考察している。
特に衝撃的だったのは、「スタンフォード監獄実験」は捏造まがいだったという章。心理学の実験は再現性が低いものが多いと聞いていたが、まさか捏造とは。
本書の"人間はもともとは友好的である"というのは、実は日本人にはそんなに驚くことでは無いかもしれない。逆に西洋人の人間観が垣間見れて面白かった。
本書の価値は、人間は善人なのになぜ残虐な行為をするのかと考察をさらに進めていること。そして、最終章で、「人生の指針とすべき10のルール」を挙げていることだろう。自分には「1 疑いを抱いた時には、最善を想定しよう」というのから始めることにした。
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レビューはブログにて
https://ameblo.jp/w92-3/entry-12698854566.html
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人類の本質は利他的で善、と考えるとすべて辻褄が合う。これまでの常識がひっくり返る。https://katsumakazuyo.hatenablog.com/entry/2021/08/12/162845
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<目次>
序章 第二次世界大戦下、人々はどう行動したか
第1章 あたらしい現実主義
第2章 本当の「蠅の王」
第3章 ホモ・パピーの台頭
第4章 マーシャル大佐と銃を撃たない兵士たち
第5章 文明の呪い
第6章 イースター島の謎
PART2 アウシュビッツ以降
第7章 「スタンフォード監獄実験」は本当か
第8章 「ミルグラムの電気ショック実験」は本当か
第9章 キティの死
<内容>
われわれ人類は「性悪」なのか「性善」なのか?第7章~9章の話題は、心理学的に有名であり、専門家でない私も知っていた。しかしこの本を読むと、その事実は学者やジャーナリストが意図的にあるいはねじ曲げて仕組んだ結果(そうなるように仕組むかレポートするかしたもの)だという。また読んだことはなかったが、『蠅の王』も著者が創造したもの(実際の事件を基にしているが)だそうだ。つまり、われわれ人類(ホモ=サピエンス)が、現在地球上にはびこることができたのは、「性悪」ではなく、「性善」であったため。お互いが殺しあい、支配者が君臨してそれ以下のものを奴隷化し(一部は支配者に媚び諂うことで生き延び)、そうした結果の文明化ではないことを証明していく。下巻では、今問題の「民主主義」に視点が行くようだ。
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自分を信じて、他人を信じて生きよう。そう思うことができ、生きることに期待と大きな希望を抱けた。
そう思えたことだけでなく、人間が、いま、なぜこのように霊長類と自負できているかを理解できた気がする。
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資源の枯渇によって島民同士が殺し合ったとされてきたイースター島の歴史も、ひとは容易に権力にしたがい倫理的でなくなるというスタンフォードの監獄実験やミルグラムの電気ショック実験も、違う側面から新たな希望に満ちた解釈を提示してくれる
そして「なぜ今までそれらが人間の性悪説に基づいて解釈されてきたのか」という疑問に対して、第二次世界大戦におけるホロコーストを安易に解釈しようとしてきた結果だと論じる。特に、わかりやすい答えやストーリーを求めがちなメディアと、それを簡単に受け入れてしまう大衆によって。
歴史を学ぶ意味とそれをどう未来に活かすかを、強烈に考えさせられた。
非常に感銘を受けた。
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「万人の万人に対する闘争」は正しくない。「ほとんどの人は、本質的にかなり善だ」ということを多くの事実から証明していく。
ロンドン大空襲、「蝿の王」、「利己的な遺伝子」、銃を撃たない兵士、ジャレッド・ダイヤモンドのイースター島の物語、スタンフォード監獄実験、ミルグラムの電気ショック実験・・・信じられている多くの「事実」は実は事実ではなかったことを暴き、人間が本質的にはどれだけ善かを証明していく。
後半では、「最悪な人間を想定した現在のシステム」= 法の支配、民主主義、資本主義・・・を乗り越えていく「最良の人間を想定したらどうする」から新しい世界を構想していく。コモンズ、アラスカの永久基金配当(一種のBI)、リゾートみたいな刑務所・・。
謎は、本質的に人間はかなり善であるにも関わらず、どうしてホロコーストや野蛮な殺戮や、そしてウクライナへの攻撃が起こってしまうのか、ということである。著者は「私たちを最も親切な種にしているメカニズムは同時に、わたしたちを地球上で最も残酷な種にしている」「友情と忠誠心と団結、すなわち人間の最善の性質が、何百万という普通の男たちを史上最悪の虐殺へと駆り立てたてたのだ」と書く。それは、人類は身近な人には共感するが、1000人、100万人、70億人に共感することは不可能で、身近な犠牲者に共感するほど、敵をひとまとめに「敵」とみなすようになるからだという。つまり、共感が私たちの寛容さを損なうと。
何回も繰り返し読んだけど、ここの部分がまだよく理解できない。では、どうすればこの悲劇を繰り返さなくて済むのだ? それは「最良の人間を想定したシステム」に置き換えていくことで可能なことなのか?
ただ、人間はそう簡単ではではない、ということは間違いない。
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「世の中は希望に満ちている。」というのが本書を読んだ直後の私の感想。
まさに「希望の歴史」だと感じさせてくれる一冊。
本書では、「ほとんどの人間は本質的にかなり善良だ」ということを様々な分野を横断しながら、多くの人類に対する悲観的な意見を覆してくれる1冊。
そしてただ覆すだけでなく、処方箋まで提示してくれる。
その処方箋を読むと、理想主義者、楽観主義者と言った言葉が頭に浮かぶけど、すごく希望に満ちた優しい提案。(その処方箋だけ読むと、ふーん、って感じで終わると思うので敢えてここでは記載せず)
人間について新しい見方を提示してくれた本書。
この本を読んで現実主義となったのち、どう世の中を見ていくか、どう世の中に参加していくかを考えるたい。
以下、自分の備忘録として。
・個人所有と定住生活(農業)によって人類は良くない方向に進むこととなった
・人間は超社会的な学習機械である。その理由は赤面することや白目があること。人との繋がりを欲している。
エピローグだけでもたまに読み返したくなる1冊。
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スタンフォード監獄実験のような有名な実験に嘘があったとは衝撃的だった。今ウクライナ戦争で起きでいる事を踏まえると、ロシア軍の行動がその実験の正しさを証明しているように思えて、今のところに消化不良に陥っている。
ホモ・サピエンスはより柔和で、より若々しく、より女性的に、幼形成熟してホモ・ハピーに進化した。大きな集団で暮らし、一つの集団から別の集団へと度々移動し、模倣がうまかったことが、体格や脳の大きさでまさるネアンデルタール人を凌駕シた要因であるという点は納得できた!
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人類が本来的に善なるものか悪なるものかについて、現代の多くの考えが、ルソーの社会契約論とホッブスのリヴァイアサンに基づいている。
ルソーは人間が本来善なるものと唱え、逆にホッブスは悪なるものと主張している。
これまで多くの考え方がこの2人の説に基づき発展してきたが、昨今はややホッブスの考え方が優勢であった。
それは、文明的、科学的であるということは物事を否定的に見ることであり、またニュースは悲惨な出来事ばかり報道するからである。
ネガティビティバイアスにより、人は本能的にネガティブな内容を記憶するが、このこともさらに拍車をかけていている。
そんな人間は本来悪であるという通説に対して、作者は真っ向否定する。そして、人は本来悪であるという主張の根拠となっているいくつかの事件や実験に対して反論していく。
多くの過去の事実や実験結果が、センセーショナルになるよう誇張や操作がされており、そのどれを取っても、人間が本来的に悪であるという確証にはならなかった。
後半どういった論理展開がなされるか楽しみである。
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とりあえず上巻だけ読んだ。
人間の本質は善で、良心がある。
スタンフォード監獄実験も、ミルグラムの電気ショック実験も、キティの死(傍観者効果)も、ヤラセや曲解だった。
という調査と主張。
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スタンフォード監獄実験など、人間の悪性の証拠とされるものの嘘を明かしていく様が心地よい。価値観がアップデートされた感がある。下巻にも期待。
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人間の本性が善であることを論証するとともに、性悪説が今日の社会で通説となっているメカニズムを解き明かすことで、冷笑的な人間観から脱却し、信頼に基づく新たな現実主義を提唱する啓発書。
著者は、性悪説の根拠として有名な「ミルグラム電気ショック実験」、「キティ・ジェノヴィーズ殺人事件」、「イースター島の悲劇」などの事例を丁寧に検証し、それらの多くが事実誤認や捏造によるものだったことを突き止める一方、戦争や大規模災害といった非常事態において人々が善意に基づいて行動した数多くの出来事を紹介した上で、そもそも社会的動物として信頼・友情・愛を基盤に進化してきた人間の本質は善に他ならないが、1万年前に狩猟採集から定住に移行したことが私有財産と人口増加による不平等を生み出し、権力や階層構造の固定化、さらには自集団への共感と帰属意識が排他主義につながり、集団間の相互不信が性悪説を「自己成就予言」として定着させているのだと主張する。
性悪説は法制度や企業経営、教育といった幅広い分野において現代社会に根深く浸透しており、そのような中で性善説を唱えることはともすればナイーブで非現実的な理想主義として批判されるリスクがあることは認識しつつ、それでも著者は、今日においても信頼に基づくマネジメント手法によって成功した複数の企業や自治体などの事例を引き合いに、楽観主義でも悲観主義でもない、人間の本性=善に基づく新しい現実主義を提唱する。決して夢物語ではなく、未来への希望を圧倒的な説得力を持って語る良書。
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あの有名なエピソード、心理学実験は本当ではなかった。繰り返される反証に、人間をもっと信頼すべきなんだと価値観が変わっていく。