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- カテゴリ:一般
- 発売日:2021/07/26
- 出版社: 柏書房
- サイズ:20cm/406p
- 利用対象:一般
- ISBN:978-4-7601-5394-7
- 国内送料無料
紙の本
発明は改造する、人類を。
エジソンが電球を発明する「触媒」となった無名の発明家、電信によって簡潔明瞭になったアメリカ英語、ガラスが科学に果たした役割…。人間による発明と、その発明品による人間や社会...
発明は改造する、人類を。
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商品説明
エジソンが電球を発明する「触媒」となった無名の発明家、電信によって簡潔明瞭になったアメリカ英語、ガラスが科学に果たした役割…。人間による発明と、その発明品による人間や社会の変化の物語をドラマチックに描く。【「TRC MARC」の商品解説】
歴史上、大きな転換点となった偉大な発明はただ一人の人間によって作られたわけではない。そこには、歴史に残らなかった幾多の協力者、ライバル(足を引っ張る者も)がおり、さらには歴史的偶然や必然もあった。
これまでの書籍では、おもに発明の中心となった人物に光を当てて記述されているが、本書では、その当人だけではなしえなかった事実を明らかにしつつ、偶然の出会いや、ライバルによる競争、そこに絡む欲得も含め、歴史から欠落した陰の部分も丁寧に掘り下げていく。
また、新たな発明は、さらに新しい発明を生み出し、それまでの生活習慣やわれわれの世界についての考え方を次々と変えてしまうことも明らかにする。たとえば、時計(正確で誰でも使える)が発明される前は、暗くなったら就寝するものの、夜中に一度目が覚めて軽く仕事をしたり食事までしていた。それが時計の日常化により「時間」とともに起きることを強制されるようになった。さらに電灯の発明が夜の作業をやりやすくし、夜は寝るだけのものではなくなっていく。夜の時間に会う約束ができ、夜の時間帯に働けるようにもなった。そしてこれらとは一見、無関係に思える鋼鉄の発明はレールを伸ばし、鉄道網も格段に広がったが、それは時間を正確に測る時計の発明によって、時刻表が作れるようになったからだ。そして割れにくいガラスの発明で、信号灯の赤い色が割れることなく利用でき、列車が衝突せずに運行可能となった。これらの発明で列車を利用できるようになり、駅馬車での何日もかかる移動から解放され、他の地域への短時間の移動が可能になり、物流にも変革をもたらしていったのだ。その結果、他の地域の商品が簡単に手に入るようになった。それまでの単純な地産地消でしかない生活からの大変化をもたらし、クリスマスがプレゼントする日にもつながっていったのだ。などなど、発明の相互の影響がわかるように記述されていく。
しかし私たちの体は、そうした急速な進歩に追いつけず、ゆがみを生じる。たとえば、かつての分割睡眠に戻ろうとして夜中に目が覚めるとすぐに眠りにつけなかったり、人工照明が自然な概日リズムを乱すようになり、睡眠障害やホルモンバランスの変化を起こすようになった。その結果、夜勤労働者での癌や心疾患リスクの増加、糖尿病や肥満への影響も生じ、高身長といった成長ホルモンによる体自体の変化も生じている。そして今、ネットの発達で脳もその影響を受け始めたのだ。もともとわれわれ自身の脳にあったワーキングメモリーがネットに置き換わる変化が起き始めているのだ。シリコンバレーの富裕層がかよう高校にはパソコンが存在しない。そこで生活する親は子どもにこうしたテクノロジーを使わせないようにしている。そのことが暗示するものとは何だろうか。発明にまつわる失われた歴史を掘り起こし、驚くべき影響についても述べていく。【商品解説】
目次
- まえがき
- 第1章 交流する
- 小さな金属ばねと振動する鉱石によって時計の性能がアップしたおかげで、私たちは時間に合わせて暮らせるようになったが、貴重な何かを見失うことにもなった。
- 第2章 結ぶ
- 鋼鉄は鉄道レールとしてアメリカを一つにしたが、文化の大量生産もうながした。
- 第3章 伝える
- 初めは鉄製で、後に銅製になった電信線が、コミュニケーションの高速伝達方法を生み出して、情報を形作り、そして意味を形作った。
著者紹介
アイニッサ・ラミレズ
- 略歴
- 〈アイニッサ・ラミレズ〉1969年生まれ。ブラウン大学とスタンフォード大学を卒業。材料科学者、サイエンス・コミュニケーター。
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紙の本
発明の歴史をコンパクトに
2022/05/19 13:56
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投稿者:鳩 - この投稿者のレビュー一覧を見る
原題は「The Alchemy of Us: How Humans and Matter Transformed One Another」。電球や鋼鉄などの発明品が私たちの生活のみならず、思考や習慣といったより深い部分でも影響を与えた点を描き出す内容で、意訳された邦題が分かりやすく伝えています。
各章とも、歴史から拾った象徴的なエピソードを小説的な筆致で書き起こしつつ、その前提となった発明の歴史に踏み込んでいきます。
著者の専攻が材料科学のためでしょうか、多くはその発明の歴史の解説に筆が費やされています。そのため、本書の主題である発明の人類に対する影響についての記述が表面的になりがちに。文化史的な関心から手に取ったので、物足りなく感じてしまい、残念でした。ただ、写真と人種差別をテーマとした第4章は、本書の主題にふさわしい内容で、一読の価値がありました。
成功した発明の背景には、偉人伝には登場しない先人が残した遺産がある、というときに見落とされがちな観点が、コンパクトに描き出されています。訳文も自然で読みやすいと思います。