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商品説明
1998年に起きた和歌山カレーヒ素事件。被告人は科学鑑定のみを根拠に死刑判決を受けたが、現在も犯行を否認し続けている。その鑑定不正の実態をわかりやすく解説し、冤罪事件であることを明らかにする。【「TRC MARC」の商品解説】
(著者より)本書は、刑事裁判の鑑定書を一つひとつチェックする作業の中で見つかったゴマカシをまとめた本です。不正をあばかれた一審鑑定人たちの言い逃れや、それを擁護する裁判所の決定文を対比して引用したところ、不本意ながら裁判の滑稽さを際立たせる本になってしまいました。鑑定不正の真実を知ってほしいと思います。
1998年に起きたカレーヒ素事件。被告人は分析化学鑑定を根拠に死刑を言い渡されました。被告人の夫がシロアリ駆除業に使っていた亜ヒ酸と、事件の亜ヒ酸とが異なることを知りながら、「同一」に見せるため、濃度比を百万倍して対数を計算した図を示した鑑定書がありました。3価ヒ素(亜ヒ酸のこと)が検出できない分析方法を使って、被告人の頭髪に亜ヒ酸が高濃度に付着していることを検出したとする鑑定書もありました。2021年の現在でも分析化学的に不可能な鑑定を、二十年以上前にできたことにしていた鑑定書もありました。ゴマカシはまだまだあります。化学が苦手でも理解できるように解説しました。
「還元気化」と呼ぶヒ素鑑定法では、ヒ素が「還元されることはなく(い)」と裁判官は判示しました。還元の有無は死刑判決を左右するカギです。「還元」と呼ぶ方法なのに、還元されないという判示はスゴイ判示です。「還元」は化学用語なので説明しましたが、化学を知らなくても、裁判所の論理が破綻していることがわかります。こうしたスゴイ判示はほかにいくつもありました。判決や決定は開示されているので、出典を明記しました。
虚偽の鑑定書は、事件の被害者やそのご家族から真実を知る機会を奪いました。2021年6月には、冤罪死刑囚の娘さんと2人のお孫さんが命を落としました。鑑定不正は、事件とは無関係の人たちを二十年以上も苦しめ続け、3人の命まで奪いました。【商品解説】
目次
- はじめに
- 第1章 カレー毒物混入事件(1998年7月25日)
- 第2章 2017年地裁決定における重大な転換
- 第3章 亜ヒ酸は同一ではなかった
- 第4章 科警研鑑定と中井鑑定の関係
- 第5章 第2審から再審請求まで
- 第6章 頭髪鑑定の問題点
- 第7章 職権鑑定
- 第8章 世界の動向と裁判の問題点
- おわりに
著者紹介
河合 潤
- 略歴
- 〈河合潤〉1957年生まれ。東京大学工学部工業化学科卒。同大工博。京都大学大学院工学研究科教授(材料工学専攻)。著書に「熱・物質移動の基礎」「蛍光X線分析」など。
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