紙の本
次の標的はあなた自身、或いはあなたの"推し"かもしれない…
2022/09/13 21:27
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投稿者:いふくん - この投稿者のレビュー一覧を見る
週刊誌や暴露屋からの醜聞一つで、著名人への評判が揺らぐ今日このごろ。だがその根拠となる証言や写真が「偽(フェイク)」だったとしたら… 映像技術が進む現代においては、動画さえも捏造が可能になりつつある。
「フェイクニュース」(事実と異なる偽のニュース)、「ディープフェイク」(AI[人工知能]から生成される精巧な偽の画像や動画)への関心から購入。作品ではこれらの偽情報が世間の失望や正義感を煽ることで、インターネット、SNS上で爆発的に拡散される様子が描かれている。また週刊誌も、内容の話題性や記事がもたらす金銭的利益からGOサインを出してしまったのだろう。
作中でも言及されているように、「ディープフェイク」は顔などの画像や動画データがより多く出回っており、加えて話題性も高いことから著名人が標的になりやすい。私には応援している著名人、いわゆる"推し"がいるのだが、その人が作品のような偽情報を伴う事件に巻き込まれたら…と考えるとゾッとする。
証言があるから、証拠の画像や動画があるからと思考停止してはいけない。我々一人ひとりがこの社会問題を認識し、情報を吟味、取捨選択する必要があることを確認できた。
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過去、生徒間の問題を体を張って解決した事から「鉄腕先生」と呼ばれ、テレビのコメンテーターとして活躍していた湯川。
ある日、女生徒とホテルで密会していたと言うネットニュースが出回り、更に生徒に暴力を振るっていたと言うフェイク動画まで流れ始め、身に覚えのない容疑とSNSの誹謗中傷で大炎上し始め…
出てくる人が味方なのか敵なのか、いかにも怪しいも思われる人は果たして真犯人なのか?ドキドキしながらページを捲る手が止まりませんでした。
最終的にあのSNSのつぶやきは、やってしまったのかとヒヤヒヤしましたが、思いとどまってくれて良かった。でも、自分の家庭より先生を優先したのは壊れても仕方なかったのかもしれないですね…
湯川に救われた森田と穂乃果が付き合ったのは、救いのないラストに対して少しホッコリしました。
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いじめられていた生徒が報復の為にいじめた生徒に切りかかろうとしたところを、身を挺して守ったことからマスコミに「鉄腕先生」と呼ばれ、テレビ出演さえするようになった中学教師の湯川。
そんなある日、新宿のホテルで転校した元教え子と密会していたと週刊誌に掲載される。
その記事は全くのデマ。しかし、そのデマはどんどん拡散し、他にも男子生徒を殴る動画も拡散されるが、湯川には恨まれる覚えがない。
悪意に満ちた巧妙な罠にどんどん陥っていく様子を描く前半は読んでいて気分が悪くなる。
全然見えない希望。誰が湯川を陥れようとしているのか、分からないので、登場人物誰もかれもが怪しく思える。
主人公の湯川でさえ、本当に自分が言うほど善人なのか?と思うほど。
そこまで思わせるのは、作者の力量のなせる業だろう。
個人的にSNSをやらない自分には、SNSに詳しくはないが、タイトルにもなっているAIを使用した「ディープフェイク」はとても恐ろしいと感じた。
最近のニュースも、一般人の情報から拾ってきたものも多く、ネットニュースにおいては誤字脱字のチェックしかない。そんな情報をすぐに信じる人間の多さも怖いと思った。
前半のただただ主人公が追い込まれていく様子が、とてつもなく怖くて、全然関係のない人まで巻き込まれる様子は読んでいるのが辛かったので、評価は低めで。
後半の伏線の回収は見事だったけど、作者の得意なシステム系の話がもう少しあると、もっと面白かったと思う。
誰もが湯川と同じ被害に遭うかもしれない世の中に、何だかとてつもない絶望感を感じる。
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新聞の「書評欄」を眺めるのが
楽しみの一つです。
そして、気になる「一冊」があると
行きつけの図書館に行って見る。
ここまでの「作業」がとても楽しい。
この「ディープフェイク」も
その一冊。
小説はお気に入りの作家しか読まないので
どうしても読み方が偏ってしまう。
この福田和代さんも初読になります。
フェイク・ニュース、AI、ネット
(私の)日常からは遠いところにある
モノたちばかりなので
読み始めた時には
どうかなぁ
と思っていましたが
いゃ これは なかなか
時々 へぇ 今はそんなことまでできるのだ
とか思いながらも
その方面音痴の私にも
物語の巧みさに操られて
最後まで しっかり読ませてもらえました
そして
改めて 現代の新聞の今の書評に
取り上げられた一冊であることに
しみじみ納得させてもらいました。
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ディープフェイク(AIによる画像合成技術)で精巧につくられた動画がネット上で拡散され、見に覚えもない教師が追い詰められていく…
そういうくだりから始まり、ネット上の中の自分が自分なのに自分でない…訳がわからないまま名声も仕事も家庭も失われて。
追いつめられる恐怖感は半端なくこちらちも伝わってくる。
読むスピードが止まらない。
早く、早く解決してほしい一心で一気読み。
しかし、なぜ人は理性的な情報には動かないのに怒りや悲しみや同情などの心を揺さぶる強い感情には動かされやすいのか。
悪意に満ちた誹謗中傷を簡単にするのか。
AI技術が発展しても道を間違えない良い方向へと進んでくれたらと願う。
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主人公は有名人で多くの協力者がいたから救われたが、普通の人がこんな方法で陥れられたら、ひとたまりもないだろう。
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社会問題化しているネットでの誹謗中傷、
興味を持って手にしましたが、犯人等々が身近なところに居すぎて現実味が無かったです。
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雑誌で報道されたフェイクニュースを発端にネットで炎上、真相を究明に奔走する熱血教師湯川。弁護士や雑誌記者、同じ番組の出演者たちに助けられ、犯人を追い詰めていく。今はやりのSNSで誹謗中傷がテーマではあるが、その背景にある恨み、嫉妬などの感情や入り組んだ人間関係を描き切った力作。緊迫し読み応えあるストーリーに仕上げている。
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中学の教師がネット上で根拠のない情報が簡単に拡散された。現実に起きてない事を起きているように描かれる、実に怖い。この教師は最後までよくがんばり戦ってきたが家族は離れて行った。ネット上の事は信じるのか?本当に恐ろしい時代になった。
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こんなことが現実で起こるのか…と、もし自分が主人公の立場だったらを考えると恐ろしい。
SNSは嫌いで殆んどやらないが、より嫌いになった。(笑)
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これはすぐそばにある恐怖。
インターネット上にある様々な情報。それを私たちは日に何度も目にする。
誰々が○○と言った、誰々が△△をした、誰々が……そのひとつひとつは自分とは全く関係のないものだったりするのに、喜んだり悲しんだり怒ったりする。その情報に自分の意見を載せてまた情報の海へと流す。
どんどん広がる、どんどん大きくなる。
でも、それって本当のことなのか。自分の目の前で起こったこと以外、それが事実かどうかなんてわからないのに、平気で気軽に拡散させていく。
もし、今、自分が拡散した情報が嘘だったら。その「嘘」によって傷つく人がいる、傷つくだけではなく存在自体を攻撃され社会的に抹殺される人がいる、かも知れない。
テレビでコメンテーターとしても人気の、とある中学教師が誰かが作った「嘘」の情報によって攻撃され糾弾され仕事も家族も失いそうになる。
誰が何のためにそんなことを。どうすれば無実を証明できるのか。どうやってそれが「嘘」だと証明すればいいのか。
周りがみんな敵に見える。巧妙に隠れてほくそ笑む「犯人」。読んでいてもどかしくなる。どんどん悪化していく状況に眉間のしわが深くなる。
ただひたすらに怖い、と思う。いつ自分がそういう状況に陥るかわからない。
気軽に書き込むつぶやきが、どんなふうに使われるかわからない。ゆがめられ削られ加えられ捏造されていく可能性の、なんと大きいことよ。
目の前に流れてくる情報の、何を信じるか。試されている。今、私たちは試されているのだ、この小説に。
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【感想】
小説だと知らず人工知能の勉強にと思い開いたら小説だった。
せっかくなので読んでみると、その面白さにみるみる引き込まれていった。
読み進める中で、犯人に対する怒りが伝わってくるとともに、ネット情報のいい加減さやネット情報に影響を受けやすい人たちの攻撃力を改めて認識した。
ネットの世界は付かず離れず程度の付き合い方がよい。
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スピード感があってまあまあ良かったと思います。
ただ裏取りしない記者とか展開が浅いとかどんでん返しがないとか。
ちょっと展開が残念ではあったかなと思います。
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展開が気になり一気に読了。福田さんらしからぬ事件の構図スッキリしない部分も。「ディープフェイク。新しい技術が悪いんじゃない。悪用する人間が悪い」でも悪用する人間は後を絶たない、性だから。それをロシアで見せ付けられている、無力感と共に。“見る目”養ってどうなるものでもないけど、必要か。
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ネットの中で、自分ではない自分が生まれ、育っている。肌に粟が立つ感覚がした(p34)
ディープフェイク(AIによる画像合成技術)をテーマとした福田和代さんの最新小説。「鉄腕先生」と呼ばれ、テレビで活躍する教師・湯川が、女生徒とのホテル密会写真を週刊誌で報道され世間は大炎上、写真がディープフェイクだと分かった湯川は犯人を見つけるべく独自捜査するが、周辺でいろいろな事件が起きていく… 一人の有名人が1枚の偽造写真の拡散だけで社会的地位を失い、追い詰められていく姿がリアルに描かれる。完璧に法整備されていない現在のネット社会で誰でも起き得る話であり、最新のネット犯罪系に興味ある人にオススメの一冊。