紙の本
気持ちがざらつく感じ
2022/06/25 14:48
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投稿者:mk - この投稿者のレビュー一覧を見る
久しぶりに読んだ著者の作品でしたが、とても描写が繊細で、気持ちが動かされました。特に「子供おばさん」は生きていくということについて、つらくて諦めつつも、やはりそれでも生きていかなければならないのだと思わされました。
電子書籍
惜しい作家さんを亡くしました
2021/11/05 22:21
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投稿者:ななこ - この投稿者のレビュー一覧を見る
最後の短編集。
私と同じくらいの年なのに、今の若者目線で今の世界を鋭く描写して、さすがだと思いました。
ますます冴えていたのに、もうあの独特のひねりの効いた作品は読めないのかと思うと残念でたまりません。
山本文緒さんのご冥福をお祈りします。
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冴えない僕の初めての恋人は、バニラアイスみたいに白くて冷たい
日常の風景が一転! 思わず二度読み!
痛くて、切なくて、引きずり込まれる……。
6つの物語が照らしだす光と闇
島清恋愛文学賞、本屋大賞ノミネート『自転しながら公転する』の山本文緒最新作!
伝説の直木賞受賞さく『プラナリア』に匹敵るす吸引力! これぞ短編の醍醐味!
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登場人物がリアルに浮かび上がってくるような物語たちである。そして、先の展開に興味津々で読み進めていると、さらりとまったく別の世界に連れて行かれる。数ミリの段差もなく、滑るように視点が変わるので、ぞくっとさせられる。人間の思い込みの怖さをも思い知らされて、うなるしかない。人間の本質まで透けて見えてきそうな一冊である。
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文緒さん最期の書籍。
短編集。
好き。
心地よい。
わかる。
もっともっと読みたかった。
新作が読めない、って悲しい。
この本の最後に「子供おばさん」をもってくるのは編集者さんの仕業?
文緒さんがこの世に存在しなくても、私は生きているし、他の作家さんの本を読んでいる……
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短編集。山本さんの遺作らしい・膵臓がんで亡くなったんだって~「ばにらさま」冶金協会の使い走りをしている冴えない僕に擦り寄ってきた色が白くて薄着でヒンヤリしている女性との交際を絶ったのは彼女のSNSを見たからだった。「わたしは大丈夫」幼い娘を抱えて稼ぎの良くない夫と貧乏暮らしをしているのは,不倫を承知で妊娠して結婚し,夫が前妻に二人の息子に25万円の養育費を払っているからだ。「菓子苑」舞子は胡桃との同居に乗り気になれないのは,やがておんぶにだっこの状態になることが分かっているからだが,やがて胡桃の妊娠が発覚し稼ぎの悪い中学の同級生であった男の実家で暮らすことになり回避したが。「バヨリン心中」浜松のホテルで出会ったポーランドの音楽青年と良い仲になって男児を産んだが,東日本大地震で危ない日本を離れた夫はバイオリンを置いていき,彼の孫がそのバイオリンを探しに来た。「20×20」原稿用紙1枚を平均5千円で売っている私は高原のリゾートマンションで自主缶詰で原稿を書いている。「子供おばさん」47の独身女の私に中学生同級の同じ独身女が遺したのは雌のゴールデンリトリーバー,引き取る条件として武蔵野のテラスハウスを手に入れて,生活が一変した~女と男,家族。物語作りに限界を感じ始めていたのだろうか?
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短編集。
う~ん、読み終わっても特に印象に残らなかった。
ただ最後の話はちょっとグッと来た。
決して同じ立場ではないけど、ラストの2行は自分のようだと思った。
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表紙に惹かれて手にとった遺作となる6編の短編集。「ばにらさま」好きでもない男とつきあい、本心をさらけ出すのはSNSのみ。いたい白い女。「わたしは大丈夫」わたしって誰?ともう一度読み直してしまった。「菓子苑」胡桃と舞子の関係に気づいた時はやられたと思った。「バヨリン心中」祖母の言葉は名言だ。恋とは生き物になること。「20×20」作家としての自分を投影しているのではないかと思った。「子供おばさん」大人になりきれず幼稚さと身勝手さが抜けることのないまま。確実に死ぬ日まで。痛いところを突かれた。
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学生時代に山本さんの本に出会い、大好きになり、愛読していた。
山本さんが描く女性の人生の多様さや強かさ、切なさは他の作品には無く、私にとって唯一無二の作家さんだった。
遺作となった短編集の本作も、女性の強さや弱さ、切なさ、強がり、プライド、ズルさなど色んな表情、感情を教えてくれる。
「ばにらさま」と「菓子苑」は、ちょっと不思議なユーモアがある現代風小説、もしくは現代風刺なのかもしれない。
時代の波に乗ろうとして頑張る女性、それをちょっと羨みながらも冷静に眺め、自分はどう生きるべきかもがく女性。
生きやすくなったようで、昔と違う生きづらさ、窮屈さもたくさん感じる今の世の中。
山本さんは何を想い、何を表現したかったのかなと思う。
好きなのは「子供おばさん」。
山本さんの作品が好きな人はみんな好きだと思う。
大人になった自分の中にいる子供の自分。
大人や女性として生きる葛藤や戸惑い、自分の感情と向き合う不安。
そういう感情も色んな生き方もあって、みんなありのままでいいんだよと改めて感じさせてくれる山本さんならではの作品だった。
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冴えない会社員の広志にできた彼女は色白でとびきり可愛い“ばにらさま”。彼女は、バニラアイスみたいに冷たい…。痛くて、切なくて、引きずり込まれる。日常の向こう側に見える心のあり様を捉えた6篇。
気持ちがすっきりしない。
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レビューの評価が高いけど、僕には合わない。もう一本目の「ばにらさま」で嫌気がさした。救いの無い話だ。
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図書館にて。
働いていたころ、たくさんこの人の本を読んでいた。
やがて本はドラマ化されたり、山本さんが直木賞をとったり、しばらく小説が出なかった時期があったりして、しばらく読んでいなかった。
久しぶりに手に取った山本さんの本だった。
そうだ、そうだったという衝撃。
等身大の女性について毒をもって描くような小説は多々あれど、どうしてもこの人にしか書けない世界がある。
怖い。幽霊もゾンビも出てこないけれど、そんなものより本当に怖い世界。
どうしてこんなに怖いのか。
それはそれぞれの物語で顔を出す一番怖い部分を自分も持っているからだ。
ラストの作品「子供おばさん」。
辛辣な題名ではあるけれど、救われる作品だ。
昔とっても仲が良くて今は疎遠になっているたくさんの友達を思い出す。
山本さんがこの本の最後で見せてくれた世界を思い浮かべて、やっぱりもっと生きていてほしかったなとじんわり思った。
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いずれも何か生きづらそうな人間を取り上げた6つの短編集。著者の遺作となった。
良い意味で意表を突かれる展開のものが多かった。「わたしは大丈夫」と「菓子苑」が特に印象的だった。
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これが遺作だなんてどうしても受け入れたくなくて、読んでしまったら本当にお別れな気がしてしまい、積まれたこの本になかなか手が伸びなくて、読むのに時間がかかってしまった。
あぁ、そうだ。
わたし、若い時、この人の作品が好きだった。
そのことを思い出した。
この六つの短編を読んでそれをもう一度おもいだしたし、若くない今も好きだなとおもう。
個人的には菓子苑がお気に入り。
山本さんは、中央公論文芸賞受賞のお言葉の中で『ただ腕を伸ばして届く範囲にある絵の具で作品を描くような仕事の仕方をしてきてしまった』と仰っていたが、山本さんの手にした絵の具は単純な色ではなかったし、描いた作品も決して凡庸なものではなく、かといって私を突き放すような偉大なものでもなく、包み込んで赦してくれるような、それでいて叱ってくれるような、とにかく素晴らしい『絵』でした。
最後の作品をこんなにも早く手にしなければいけなかったことがくやしい。
山本さんが残してくれた作品は消えてなくなったりしないから、わたしはこれからもプラナリアや恋愛中毒を何度も読み返して、山本文緒という作家を決して殺すことなく生かし続けてみせるよ。
読者が忘れなければ、いつまでだって生きていられる。今はただそう自分に言い聞かせてる。
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全ての章のタイトルに惹かれる。
表題作「ばにらさま」
ひらがなで書かれているのはどうして?
なぜを探しながら読み進める。
「子供おばさん」
山本文緒さんと重ねてしまい
悲しくて寂しくて。
山本文緒さんのことを全て知るはずもないのに
勝手に親近感を抱き
作品からかけらを探し、著者も好きになっていた。
寂しくなったら今までの作品を読み返すのがいいかもしれない。
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短編集6編
愛という皮をかぶった打算執着、勘違いのままひっついたり離れたり、不毛な対人関係を描いている。あるいは勘違いのまま結婚した先に虚しさが漂う。