「honto 本の通販ストア」サービス終了及び外部通販ストア連携開始のお知らせ
詳細はこちらをご確認ください。
- カテゴリ:一般
- 発売日:2021/09/01
- 出版社: 講談社
- サイズ:20cm/189p
- 利用対象:一般
- ISBN:978-4-06-524375-6
読割 50
紙の本
天路
著者 リービ 英雄 (著)
【野間文芸賞(第74回)】アメリカを捨て日本に移り住んだ作家は、故国に残した母の死を抱えて中国の最果て、チベット高原へと赴き…。異質な言葉との出会いを通して再生の旅を描く...
天路
天路
ワンステップ購入とは ワンステップ購入とは
このセットに含まれる商品
前へ戻る
- 対象はありません
次に進む
商品説明
【野間文芸賞(第74回)】アメリカを捨て日本に移り住んだ作家は、故国に残した母の死を抱えて中国の最果て、チベット高原へと赴き…。異質な言葉との出会いを通して再生の旅を描く。『群像』他掲載を書籍化。【「TRC MARC」の商品解説】
第74回野間文芸賞受賞!
国と国、言葉と言葉の〈間〉を旅する作家がたどりついた、世界の臨界点。世界の声が響きあう越境文学の達成!
アメリカを捨て日本に移り住んだ作家は、故国に残した母の死を抱えて中国の最果て、チベット高原へと赴く。
一千年の祈りの地でたどる、死と再生の旅。
30年前から日本に暮らすアメリカ国籍の「かれ」は、故国の母の死を受けいれられぬまま、漢民族の友人とともにチベット高原を旅する。「世界の屋上」と呼ばれるその土地は、一千年来、ひたすら生と死に思いをめぐらせてきた人々の文化が息づく場所だった。異質な言葉との出会いを通して死と再生の旅を描く、読売文学賞作家の新たな代表作。
・収録作「西の蔵の声」評より――
「喪失の痛みからの回復をこうやって異質な言葉との出会いを通して描くことができるというのは、ほんとにすごい。リービさんの名人芸」松浦理英子氏(群像2019年3月号創作合評)
「エクソフォニーをさまよい続ける作者の、母の死との対峙と開眼の瞬間が描かれている小説であり、非常に感銘を受けた」鴻巣友季子氏(同上)
「言語だけを携えて、作者は世界に立ち向かっていく。この作品は一人の人間の中に沸き起こる複数の言語と文化、過去と現在の共振として読まれるべきように思う」
――磯﨑憲一郎氏(朝日新聞2019年1月30日文芸時評)
【商品解説】
目次
- 高原の青い鳥
- 西の蔵の声
- 文字の高原
- A child is born
収録作品一覧
高原の青い鳥 | 5−36 | |
---|---|---|
西の蔵の声 | 37−82 | |
文字の高原 | 83−154 |
著者紹介
リービ 英雄
- 略歴
- 〈リービ英雄〉1950年カリフォルニア生まれ。作家、日本文学研究者。法政大学名誉教授。「千々にくだけて」で大佛次郎賞、「仮の水」で伊藤整文学賞、「模範郷」で読売文学賞受賞。
関連キーワード
あわせて読みたい本
前へ戻る
- 対象はありません
次に進む
この著者・アーティストの他の商品
前へ戻る
- 対象はありません
次に進む
紙の本
中国のさらにその先
2023/07/27 08:43
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:天使のくま - この投稿者のレビュー一覧を見る
台湾で育ったことのある、米国籍の作家、リービ英雄は、新宿の一軒家に住み、日本語で小説を書く。台湾への思い出のその先にある中国を訪れ、そして今回の作品ではチベットに向かう。中国の友人が運転する日産のブルーバードに同乗し、高地を走っていく。
チベットは中国のようで中国でないようで、言葉は漢文(中国語)ではなく蔵文(チベット語)。でも、中国政府はチベットの中国化を進めてきた。
標高3000mという高地では、簡単に高山病にかかる。それを避けるためには、酸素ボンベを用意していく。中国化されそうでいて、その標高はやっかいな世界でもある。
なぜ、主人公がチベットを目指すのかは明示されない。ただ、その中で、主人公の過去の断片が語られる。台湾で育ち、父親と別れて母親とともに米国本土に帰国したこと、その理由となった障害を持つ弟のこと、母親の再婚相手の連れ子である血のつながらない妹のこと、来日して住んだ新宿のアパートの部屋のこと、そこで灯りに照らされるチベットの本のこと。とりわけ、もうひとつの軸となるのが、母親との関係だ。妹から連絡がある。
主人公は、チベットの寺院で、高僧に受け入れられる。キリスト教的な贖罪が、祈りという形になって主人公に与えられる。でも、繰り返し表記されるチベットの文字は、遠く日本の寺院における、例えば卒塔婆に書かれる文字ではないのか。
物語はいたってシンプルで、行って帰ってくるだけ。遙か高い場所にある世界は、容易には変わらない強さを持ち、けれども人に取っては、他の世界ともつながっているし、世界の果てですらなく、来客を迎えてくれる、けれどもそれ以上には干渉しない、そうして存在する世界だということが確認される。人は転生するし、それは生きている間に何度も自分自身として転生するものであるのかもしれない。そうして子どもが生まれる。