紙の本
ジョブ型雇用に対照させて見えるもの
2021/12/19 16:00
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:第一楽章 - この投稿者のレビュー一覧を見る
雇用契約に労働者が遂行すべき職務(ジョブ)が明確に規定されている「ジョブ型」(日本以外ではこれが普通)と、雇用契約の中身はその都度遂行すべき職務が書き込まれる空白の石板で、むしろ雇用の本質が成員(メンバーシップ)になることという日本独自の「メンバーシップ型」を対比させ、それぞれの特徴と、日本の労働が抱える固有の問題をその歴史と合わせて簡潔に解説してくれています。「ジョブ型雇用」についての解説というよりも、むしろそれを鏡として、日本の「メンバーシップ型雇用」の持つ課題と矛盾を描き出しているところが、本書のポイントと言えます。
筆者がこの本を執筆するモチベーションとなったのが、マスコミも含めて、あまりに「ジョブ型雇用」の本質を外した言説がはびこっている現状で、それを軌道修正したいという思いからだそうです。「ジョブ型雇用とは何か」については本書をお読みいただきたいのですが、「ジョブ型雇用とは何ではないのか(どう誤解されているのか)」を挙げてみますと以下のようにいえます。
・職務遂行”能力”はジョブ型では関係ない
・ジョブ型が成果主義ではない
・ジョブ型は解雇しやすいわけでもない
・ジョブ型は新しくない
え?と思われたら是非本書を読みいただければと思います。
紙の本
コンパクトながら内容の充実した良書
2022/04/10 00:58
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投稿者:アンカー - この投稿者のレビュー一覧を見る
コンパクトな新書サイズながら、ジョブ型雇用やメンバーシップ型雇用に関して詳細に論じている良書だと思います。認識を改められ、またとても考えさせられました。日本独特のメンバーシップ型雇用が成立していく経緯や事情はあまり論じられることがないので、興味深く読ませてもらいました。ただ、ジョブ型雇用とメンバーシップ型雇用は、中身も社会的背景もあまりにもかけ離れているようで、転換とか移行がそもそも可能なのかどうか、不安しかありません。
紙の本
ジョブ型とメンバーシップ型の理解の誤りと日本の雇用の問題を問う
2021/12/05 19:48
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:雑多な本読み - この投稿者のレビュー一覧を見る
今や雇用者の4割近くは非正規と言われ、統計的に見ても間違いないように思える。高度成長期や1990年頃のバブル崩壊までの低成長期は、正規社員、正規公務員が普通であったが、ここ約30年は国内での経済成長はなく、世界に大きく遅れ、非正規が増えるばかりであった。
また、労働組合の組織率もこの状況を反映するように低下していき、50%以上が10数パーセントまでに落ちっていっている。当然、非正規職員に組織に対する忠誠心はほぼない。日本企業の強みと言われる長期雇用、企業内組合、労使協調も崩壊していきつつある。
これをどう解釈するかというのは、企業サイド、労働サイドから諸説あるが、筆者はメンバーシップ型が後退し、ジョブ型雇用社会を構想する。
しかし、これに対して社会的に誤解が多いと説く。これまで、企業で長期雇用の下で、徐々ではあるが、確実に上がる賃金、社宅等の福利厚生で、不況期には解雇を避け、残業の削減等で対応される。最後は退職金、企業年金を含めて、日本の社会保障は企業が一定担ってきた。それが崩壊しつつある。しかし、これは大企業社員や公務員等に限られ、中小企業では別の世界があることも指摘する。法的に解雇規制が強いという俗説も排除する。
つまり、大企業社員や公務員はメンバーシップ型で、基本的に男性社員(一部で総合職の女性)に適用されており、他はジョブ型に近い実態があるとも指摘する。
筆者の論によると、ジョブ型が多数派になり、これに合わせた枠組みの必要性を説く。これまで言われている産業別や職業別とも違う枠組みでもある。
企業や労働組合自身が対応できていない中で、筆者は従業員代表制等の検討も行いながら問題提起を行っている。
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ジョブ型雇用社会とは何か(岩波新書新赤版)
著作者:濱口桂一郎
発行者:岩波書店
タイムライン
http://booklog.jp/timeline/users/collabo39698
正社員体制の矛盾と転機。
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ジョブ型雇用によって労働時間ではなく成果で評価する、最近良く聞くフレーズだが、これはジョブ型がなんたるかを全く理解していない
経営層に近いハイエンドのジョブになれば話は別だが、ジョブ型の大原則は成果主義ではなく賃金固定。日本人に理解し易い例えでいえば、職務が決まっているアルバイトのような雇用。
日本の雇用形態 メンバーシップ型
情意考課で安易に用いられがちな意欲の微表としての長時間労働が槍玉に挙げられ、労働時間ではなく成果で評価する、というのが最近流行りの千篇一律のスローガン
素人を育てて鍛えるメンバーシップ型
知識やスキルよりもコミュニケーション能力を重視
人件費抑制を目的に成果主義を導入し、短期の成果で評価していくことになると、評価されるように表面だけジョブ型風に行動することがその側面では合理的になる。ところが、職務/ジョブの明確化が進んでいるわけでもなく、職務構造は曖昧なままで、自己中心的なナルシス型が、それは私の仕事ではない、と言い出すと、実際の職場では回らなくなる。
日本特有のメンバーシップ型の弊害がまさに今の時代になって溢れ出ている
・職業訓練に寄与しない大学教育
・働かない中高年
年功序列=下がらない能力という幻想
職務無限定ゆえに客観的に測定不可能な能力という概念、ガンバリズムなどの情意の重視
・生活給という概念
・女性の社会進出
・外国人労働者
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自分なりの気付きは二点。
一つは、いわゆる日本型雇用のメンバーシップ型が成立していく戦後からの歴史的な流れ。当初は、政府・経営は職業訓練を高等教育に求めていたとは全く意外だった。
教育界が乗らないため、仕方なく企業は自ら養成する体制を整える。これが定期異動によるその企業に完全にマッチした(逆に言えば他では使えない)育成が進む。
ここで何よりも求められる能力は、企業内訓練に耐えられることであり、それは上司・同僚との人間関係を円滑に進められることを指す。学校教育には何も期待していない…というか、元々期待させないようにしたのは教育界。企業としては何もできないことが前提なので、多少手荒にでも鍛えてあげなきゃという意識が働き、善意でハラスメントもやってしまう。これを乗り切った人たちが、高度経済成長と併せて、生活費の向上のために年功賃金でお給料が上がっていく仕組みだった。
が、バブル崩壊でその前提が崩れ、露呈した給与に見合わない貢献度のために足枷になっている。そして行き場もない。泣けてくる。
二点目は、その後の政府のジョブ型施策も廃止されてきたという点。メンバーシップ型の従来の標準的職業人生コースではハローワークに関わる余地がない。政策を考えているのはこのコースの人たちであり、その重要性が分からない。中小企業で実はバンバン行われている解雇についても何も検討されていない実態。
自分もメンバーシップ型の人生と言えるだろうから、自分には見えていない世界があることは肝に銘じなければならない。
「ジョブ型雇用」という言葉を生み出したという著者の解説と嘆きが聞こえてくる本ではあるが、ではどうするかというところももっと聞きたいと思ってしまう。
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ジョブ型雇用にしても、成果主義にしても資本側からは人件費削減のための方便としてその本質を無視して言葉だけ導入しようとし、労働者側からは「正社員」の既得権を守るための理屈で反対する。どちらもジョブ型雇用について正しい理解をしていない。
ジョブ型雇用とは何か、を正しく理解させる本。
しかし、本書を読み進めるにしたがって、資本家も「正社員」もジョブ型について理解していないのではなく、分かっているけど、あえて曲解しているんではないかと思えてくる。実際は利害が一致しているのではないか。自分たちの既得権を守るという・・・。
労働のみを対価として評価して賃金を払うジョブ型雇用。それ以外の価値を認めるように、あるいは全く属人的でない通勤手当や家族手当まで求めてしまうメンバーシップ型雇用。著者は言う、「世界で日本とそれ以外」に分かれてしまう資本と労働者の関係。
この国の労使関係はいびつで、労働者は分断され、結局それがこの30年間給与が上がらない社会を作ってしまったんだーな。
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欧米的なジョブ型も日本的なメンバーシップ型も、どちらの雇用形態についても何十年という歴史があり、それを長年見てきた著者の視点から解説している本。
最近ニュースやらなんやらで聞き始めたジョブ型といってもただ流行り言葉で数年もすれば消えていくようなものだと思っていたが、ジョブ型という雇用形態自体は歴史があるのだと知った。ただ日本がジョブ型になっていくかどうかは微妙で、新卒一括採用をしているうちはジョブ型にはならなそうだと思った。
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いつも利用している図書館の新着書の棚で目に付いた本です。
「ジョブ型雇用」は、新型コロナ禍対策のひとつであるリモートワークの進展に伴い、日本企業においても導入が加速されつつありますが、私としてもその概要程度は頭に入れておこうと手に取ってみました。
労働法・社会政策の専門家である著者濱口桂一郎さんによる「本来のジョブ型/メンバーシップ型雇用」の解説に加え、昨今世間を闊歩している「似ても似つかぬジョブ型論」への“反駁”はとても面白く勉強になりました。
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1985年のME化では、メンバーシップ型が賞賛された。
日本型では若者が得をした。中高年が再雇用時に損をした。
氷河期時代の若者が取り残された。
ジョブ型では採用権限は職場の長にあり、人事部にはない。
メンバーシップ型では、全員最初は素人、が前提。
値札はヒトに貼る、か、椅子に貼る、か。
三菱樹脂事件で、思想が不採用の理由になる、=人物が大事=採用の自由を認めた=メンバーシップ型は仲間を選択する仕組み。
メンバーシップ型では、仕事ができないのは会社の教育せい、なので許されるが、やる気がないのは本人のせい、で許されない。
高学歴詐称は、許される。低学歴詐称は許されない。
学歴とは、学校の偏差値のこと。身に着けている技能ではなく、素材がいいかどうか、が大事。
日本でリカレント教育が盛んにならないのは、新しい知識をOJTで身に着けることが予定されているから。
年功序列と職能給制度は、生活給を正当化したもの。
ジョブ型では、リストラによる解雇は正当、能力不足による解雇は不当。そもそも雇ってはいけない。
メンバーシップ型は逆。
金銭解決が規定されていないので、中小企業労働者は解雇に対しては結果的に泣き寝入りになる。
権利濫用法理を最初から持ち出して正当事由を必要としているため、金銭救済の道が塞がれている。実際には地位確認の後に金銭解決をする。
契約自由の原則からくる解雇事由を封じる理由として、権利濫用法理を用いたことが問題の根源。
海軍工廠の生活給思想がスタート地点。それを賃金統制で共通の制度となった。戦後、労働組合が生活給を押し出した賃金体系を作った。
その後、経営側が職務給に変更しようとしたが、能力主義との統合で、職能給制度ができた。実態は生活給制度と同じ。能力主義を取り入れた形をつくっだけ。能力が下がらない、という幻想。能力査定は、忠誠心を計る道具になった。
家族手当は、給料が生活給である証拠でもある。
成果主義は、中高年の高給を下げるためのものさし。
本来は、ホワイトカラーは月給制休日出勤も当たり前のはず、戦後、労働法政策の対象となり、ブルーカラーと同じ給与体系になった。
同一労働同一賃金はジョブ型では当たり前。正規非正規の違いもない。
日本では、エリートとノンエリートを入り口では区別せず、頑張ったものを引き上げる、という仕組み。欧米では単なる労働者になるものでも、猛烈に働く。その結果長時間労働とワークライフバランスが崩れる。
正社員に転勤拒否権はない。
メンバーシップ型はパワハラの培養土。
障碍者雇用は、ジョブ型にならざるを得ない。できることは限られているから。
留学生雇用で矛盾が生じる。
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「新しい労働社会」で提唱されたジョブ型雇用がいよいよ日本でも導入の機運が高まる中、雇用の本質的問題を改めて問い直す絶好のタイミングで出版された一冊と思う。経営者、人事担当者、人材ビジネスにかかわるすべての人は必読だ。ジョブ型はメンバーシップ型のアンチテーゼのように見えるけれど、そもそも世界では一般的な組織の在り方で、日本のメンバーシップ組織の特殊性の方が浮き彫りにされていく。(1990年代は日本のメンバーシップ型組織こそが理想と世界でもてはやされたのだが)。私たちの価値観はもちろん、児童手当等含む社会保障や社会構造のすべてがメンバーシップ型組織ありきで生成されてきた日本の社会の歴史と構造をしみじみ振り返る。自分の血肉の中にも埋め込まれているメンバーシップ型。読み進むにつれて「こんな日本の社会にジョブ型等本当に導入できるのか!?」と思いを巡らせば、「わが社はジョブ型とメンバーシップ型のハイブリット型を目指します」なんてうそぶく会社の記事がニュースで目に留まったりして。ただ言えることは、日本の雇用の本質的問題をないがしろにしたままジョブ型の導入をしたところで、それは単なるリストラの道具か研修屋を設けさせる商機で終わってしまうということだ。
本書でも前著でも、日本の雇用問題から派生する労働関係法規やガイドラインは、いかに、本質を横に置いたなし崩し的議論で成り立ってきたかという視点が目立つ。前著ではこれがどちらかというとマスコミの扇動的報道に一般市民が振り回されてきたことへの批判的視点があったが、本書ではマスコミには触れず、政策関係者の様々な思惑の入り乱れた設計過程に鋭い目が向けられている。この10年の間にマスコミは扇動力を失い労働議論の場もSNSやネットに移ってきた時代の変化も見て取れるような気がした。
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慶応大学の鶴先生の「伝統的人的資源管理施策群(≒欧米のジョブ型)vs.革新的人的資源管理施策群(≒日本のメンバーシップ型)」についての論文(https://www.rieti.go.jp/jp/papers/contribution/tsuru/51.html)を読み、改めて、昨今よく取り上げられる「ジョブ型」って本当にいいんだっけ?と思い、概念提唱者の著者の本に立ち戻った。
感想としては、まず、「ジョブ型がいい!」という、今いまの雰囲気はやっぱりヘンだということ。
上記論文で取り上げられた米コーネル大のウォルドマンのレビュー論文によると、世界、とくに、アメリカの潮流は、伝統的な「ジョブ型」から、より柔軟な「メンバーシップ型」の要素を取り入れたものになりつつあるように思います。確かに、GAFAMをはじめとした、IT産業は、その人が入社前に獲得した知識・技能を、会社が求めるジョブにあてはめるという、ジョブ型の絵姿はうまくあてはまらない。学びつつ働くのが普通の世界なので、絵姿的には、Off JT、OJTを組合せたメンバーシップ型に近い世界。これは、もともと、野中先生等の日本企業の新製品開発のやり方(スクラム)を発祥とした、アジャイル開発が、アメリカで理論化、実践の蓄積が進み、日本に逆輸入されたのと同じような構図にも似ている。
そういう意味では、今言われている「ジョブ型提唱」は、メンバーシップ型をベースにして、社員のキャリア形成に、プロフェッショナル型というキャリアパスを加えましょう程度の話に落ち着くのかもしれない。
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以下、備忘録
正社員の職能給 vs. 非正規の職務給
正社員の職能給:本音としての生活給の上に理屈としての能力主義が乗っかり、さらにそれが成果主義によって押し曲げられている身分型給与。
非正規の職務給:最低賃金に若干上乗せした程度の外部労働市場決定型給与。
生活給的な賃金の一部としての家族手当と、賃金と切り離し社会保障の一部としての児童手当(子ども手当)。企業の家族手当と社会保障としての子ども手当を対に捉えなきゃいけなんだ。
一般健診が使用者の義務となつているのは、日本独特。世界的には、公衆衛生でカバー(もちろん、特殊健診は使用者義務は世界共通)その大元は、1942年の工場法改正時の雇入時と年一回の健診義務化。戦争に備えるため。なるほど。企業のパターナリズムは、この頃に遡るんですね。
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メンバーシップ型と呼ばれる日本的雇用システムに対して、日本以外の国々では職務をベースとした雇用・処遇システムが一般的であり、それはジョブ型と呼ばれる。筆者は、その「メンバーシップ型雇用」「ジョブ型雇用」という概念の名付け親である。筆者がこの言葉を著書に書いたのは、2009年のことであり、今から10年以上前のことであるが、最近メディアでこの雇用システムの話題が取り上げられることが多い。ところが、そこで取り上げられる「ジョブ型」の概念が、筆者の提示した概念とは似つかない、事実に基づかないものであることが多く、それを正すことが、本書執筆の目的の1つであると筆者は本書中で述べている。
「メンバーシップ型」「ジョブ型」等の雇用システムに関してのメディアでの取り上げられ方は、どちらかと言えば、ジョブ型に肩入れしたものが多いように感じる。日本企業の生産性が低いのは、ひいては、日本経済全体が振るわないのは、その雇用慣行に原因の一つがあるという主張である。
1980-1990年代には、実は日本型雇用、それをベースとした日本型経営は世界でもてはやされた。「ジャパン・アズ・ナンバー・ワン」という本がベストセラーにもなった。当時の論調では、時代の変化に応じて仕事の内容は変わっていくが、欧米のジョブ型雇用ではそれに対応できず(雇用契約と異なる仕事はさせられない)、企業の中での能力開発を重視し、また、柔軟なローテーション・配置転換を通常の慣行としてきた日本企業は、そういったことに柔軟に対応できるというものであった。ただ、これは、主として製造現場での議論であったような気がする。
ほんとうに、日本のメンバーシップ型の雇用が日本企業、ひいては、日本経済の低生産性の原因のひとつなのか、ということに対しての実証的な論文は読んだことがない。その因果関係を示したデータは見たことがないし、なぜそうなるのか、というきちんとしたロジックも見た記憶もない。それは、雇用システムだけの問題ではないのではないか。企業のガバナンスの方法や、事業開発の方法(例えばM&Aやベンチャー投資や大学・他機関との協業の巧拙など)等、日本的な「経営」システムが、トータルとしてどうなのか、という問題にような気がする。
ただし、本書は、そこを突っ込んで考えている訳ではない。雇用システムに関しての議論の前提としての、メンバーシップ型、ジョブ型の雇用システムに対しての理解が(特に日本以外の国での標準的な雇用システムであるジョブ型に対しての理解が)正しくないために、議論そのものが成立していないことを憂いているのである。
企業の人事や経営計画部署にいる企業スタッフの人たちや、実際に経営にあたられている方々、あるいは、日本の雇用システムに関する議論に関心をお持ちの方にとっては、非常に役に立つ雇用システムに関しての解説書だと思う。
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ジョブ型雇用システムとは何か?について私たちが一般的に認識している間違った(勘違いも含む)定義を正し、世界(欧米社会)標準の正しい定義を理解するのにおすすめな一冊。
そもそもメンバーシップ型雇用という日本社会独自の社会背景からくる雇用システム下において欧米標準のジョブ型雇用が成立しないという著者の指摘はジョブ型雇用ということばの意味を理解するのにとてもわかりやすい見解です。
本書を読んで私が強烈に共感したのはこの日本社会に広く根付いているメンバーシップ型雇用システムがそもそも障害者や発達障害者、はたまた海外からの高度専門職外国人労働者を活かすことができない雇用システムだということです。みんなと等しく同じことができないのがダメで、ダメなのは本人の努力不足!?と一蹴する日本社会の恐ろしいまでの同調圧力。
日本社会における多様性というものを認めない排他的思考がなくらない限りジョブ型雇用システムなんて日本社会においては定着しないと思います。
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労働法制の第一人者であり、ジョブ型のネーミングの生みの親である著者ならではの正しい理解が得られる。良書。