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イチマツ痣
2023/12/11 05:47
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投稿者:エムチャン - この投稿者のレビュー一覧を見る
この巻の秀逸なエピソードは、何といっても、イチマツ痣のある婚外子の出現でしょうね。いろいろあった挙げ句、わかった真相がなんとまぁ…でした。DNA鑑定ない時代ですからね。豊子は彫り師に痣を彫られた。母から、この痣は金持ちの印と言われ。
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神生島を舞台にしたサーガの中巻。上巻よりは薄いものの、566頁の大作である。本巻では昭和の始まりから太平洋戦争終結までの島の様子が描かれる。上巻同様、一ノ屋一族の末裔たちが主人公だが大分薄まった印象だ。中心となるテーマは選挙、隠し子、心中、第六感、そして戦争と硬軟取り混ぜた内容で、そこに活き活きと描き出される人間模様に圧倒された。
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【目次】第八部 第一回男子普通選挙/第九部 ご落胤騒動始末/第十部 人死島/第十一部 超能力対科学/第十二部 勝ってくるぞと勇ましく/第十三部 子供たち
第一回男子普通選挙から太平洋戦争終結までを描く。初めての普通選挙に翻弄される島の人々の姿を描く第八部から始まり、島の経済を支える一橋平太の死と隠し子騒動、心中のメッカとなった島を憂える役場勤めの男と警官の行動、千里眼の見世物の仕掛けを見抜こうとする大学教授の執念と、戦争の足音が聞こえるなか、島の生活は流れて行く。
そしてついに、子どもたちまでが出征し、征子は考える。「子供を戦争に送り込む国に、先はない。日本はもう、戦争に負けたのだ。勝つ見込みがないなら、子供を死なせる前に降参すべきである。それができない政治家は、日本を潰すつもりなのだろう。そんな政治家を担いでしまった国民が、国を滅ぼすのだ。」と。
最後の一文は、今に通じる。大人は自業自得だ。
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上巻に比べるとストーリーに占める『イチマツ』の血の感じはかなり薄まっているが、血縁の話を抜きにしても、当時を偲ばせる文章の迫力が秀逸。
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第8部~第13部で構成され、変わらずイチマツの子孫らが大きな時代の渦に巻き込まれていく。12部、13部は戦時中の話で胸が締め付けられた。当時の人の思想や心情がひしひしと伝わる物語だった。
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国民に選挙権と参政権。一松の男が立候補。町長から呼び出される。立候補予定町長から素人に政治は無理だからやめろ。足しげく通い、話を聞く。気に入られる。時期町長が早死にした。町長から立候補するように言われる。
ライバル登場。小学校の教師。地域住民に賄賂(ノート、鉛筆、塩、小銭)合戦
選挙に負けるが一安心。
一松の子、会社社長が死んだ。その直後に9才の少女が「私は娘です。母から聞いています」痣がある。女は不細工ではなく、美人になる顔だった。
社長の娘と母から聞いた9歳の可愛い女の子、豊子が島を訪ねてきた。
母が死んだ。親戚は震災で亡くなり一人
イチマツ痣があるので親戚。母は銀座の女
弁護士が知っていたが愛人にはみえなかった
父の隠し子を受け入れて評判をあげる
美人になるのは確実なので政略結婚に使う
豊子は母に連れて彫り師につれて行かれて痣を彫られた。母から、この痣は金持ちの印。
絶対に誰かにも言ってはならない。
島の火口で無理心中するアベックがいた。自殺の名所になり、観光地になる。警察と役所で自殺対策をするが失敗。幽霊の噂もでた。
幽霊は旅館の仕業。観光地である為に、ツチノコの噂を流した。雑誌記者を利用
漁師の娘が予知能力。海の天気予報、7割当たる。今日、山で誰か死ぬ。アベックが無理心中したのを予知。カルタ当てだと2割
漁師は娘を使ってマジックを思いつく
早大生の島民、物理学専攻。教授に千里眼の少女の話する。少女はイチマツの血筋。毎週のよくに通う。イチマツ本家わ訪ねると当主はインチキだと言う。教授は48種類の合言葉だと見破る。漁師は教授にバラされる前に教授に告白。娘は千里眼は苦手。予知能力が得意。雪の日に人が大勢死ぬと娘が予言。教授は調査をやめた。226事件を予言。
幼馴染と山に探検に行き怪我をさせた一磨。怪我したのはイチマツの孫。一磨は高校まで登下校が一緒。スポーツ万能の一磨は甲種合格で出兵。戦死の訃報が届いた。
一磨の両親は教師、アカ。戦争反対。
嫁に行くが子供ができない島の雑貨屋の妻、イチマツの孫。他のイチマツの子を自分の子のように世話した。スポーツ万能の少年、相撲部屋のスカウトを断り、プロ野球を目指す
出兵する。右腕を失い帰国。昆虫に興味のある少年。家の仕事を継ぎ研究者になれず。出兵すると戦死。病死だった。約束した珍しい蝶を捕まえる。男まさりの少女。男は何故料理をしないのか?幼馴染と結婚。夫が出兵。直ぐに戦死。病死だった。
島の造船所が空襲。住宅街も爆撃。
夫が死んだ。少子を助けてにいく。片腕の男が手伝った。逃げる途中に男は家屋に押し倒され死亡。日本の政治家が夫を殺した。
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明治維新頃から始まったイチマツの系譜の大河物語。
序盤は前巻から引き続き面白おかしく、やがて戦争の悲劇を残酷なまでに描写する。
どう下巻に繋がりどう展開していくのか心がぞわぞわする。
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一の屋の血筋も孫時代、男子普通選挙から始まってとうとう戦争へと時代は進む。愉快な御落胤騒動、自殺の名所から幽霊、幻の生き物と振り回される人々。
だが戦争の残した爪跡は島の人達も同じ。これからの再生に期待する下巻。
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幕末から始まる150年分の大河小説なので、避けられない絶望的なできごとがある。戦争をテーマにした作品でなくても、これを避けるわけにはいかない。
本巻を通して少しずつその気運は高まっていく。
読んでいてもとてもつらいが、これまでに登場した人物たちが下巻でこの後活躍してくれることを願う。
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関東の離島での人々を描く大河小説。
中巻は時代背景は普通選挙開始から終戦日まで。
各部の一ノ屋一族、内容、時代背景は以下の通り。
第八部 第一回男子普通選挙、孝太郎(孫)松次郎
(本家孫)直人(一橋家孫)、島内での選挙戦、大正14年
第九部 ご落胤騒動始末、平太(一橋家子)直人 百子 正人 圭子(一橋家孫)、平太の死と庶子騒動、大正末
第十部 人死島、直人(一橋家孫)、心中騒動から幽霊騒動を経てツチノコ騒動による観光発展と造船所誘致、大正末
第十一部 超能力対科学、康夫(孫)ハル(玄孫)、予知能力騒動、昭和11年
第十二部 勝ってくるぞと勇ましく、正一 功吉 糸(孫)、戦時下の友情、昭和13年ころ
第十三部 子供たち、征子 君子(孫)尊通 創平 メイ子(玄孫)、昭和20年まで
第12部の梅子や小百合についてのその後が気になりました。
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関東近海に浮かぶ島の明治から近代に至る人々の歴史を描いた三巻にわたる長編小説。島に住む一ノ屋一族を中心に物語は展開する。この本を読むと近代の日本の歴史を辿ることが出来て興味深い。読んでいてガルシア・マルケスの「百年の孤独」を思い起こさせる。短編の連続となっているので、長編だが読み進めやすく、後半は一気に読んだ。
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大正デモクラシーから戦後まで!時代のせいもあり、重すぎてほんとに何も感想が出てこない…。戦時中でもお腹は空くし恋をするし喧嘩をするし、非常事態と日常が同時にあってすごく変な気持ちになった。名作すぎるなぁ。
そしてこちとら明治維新からこの島を見守っているので、島の発展にいちいち感動する!笑
こないだまで君たち、魚取って貝拾ってたのになあ!?って笑
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選挙の話は、時期的に現実の選挙を想起しながら、読みました。
普通選挙黎明時の混乱ぶりが分かります。
現在の選挙は、さすがにここまで露骨ではありませんが、立候補者がどれだけ高邁な理念を抱いていても、きれいごとだけでは当選に結びつかないところは、現実にも通じるところだなと思いました。
太平洋戦争の章は、読むのが辛い物語でした。
会社のさらなる繁栄を企図して、軍需産業に手を伸ばしたことが、島を相手国の攻撃対象にし、多くの島民を死なせる結果になってしまったことに、運命の皮肉を感じました。
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中巻が対象とするのは主に昭和戦前期。当時の世相を見る上でとても興味深く読んだ。最初の二部は面白かったが、真ん中の二部、特に超能力対科学が面白くなくて、ここで読書が2ヶ月止まってしまったが、最後の二部は面白く、そこに到達してからは一日で読み終えてしまった。
第八部は第一回男子普通総選挙。これは昭和3年の出来事だが、急に選挙になり、2陣営に分かれて戦ったが、政策よりも金権選挙で島が二分されてしまった話。民主主義の基盤が無いところに制度をいきなり持ち込むとこうなるという好例。
第九部は、一橋産業社長の一ノ屋平太の臨終に際して、突如現れたご落胤の女の子を巡る騒動。イチマツ痣を持っていたが、それは平太社長の知り合いだった銀座のママが彫らせた入墨で、本能的に平太の妻は血縁でないことを見抜いたが、子供達の多数は受け入れにかたむき、受け入れることになった。入墨の話は、最後の最後で女の子の回想の形で現れる。ちょっとしたミステリーと裕福な家族メンバーの間での駆け引きが面白い異色の部だが楽しく読める。
第十部は、火山での自殺、幽霊騒ぎで島の人気が落ちることを心配した有志が幽霊騒ぎの犯人探しをしつつ、ツチノコの島をぶち上げて観光促進しようとする話。また並行して、一橋産業の後継者直人が、海軍造船所の誘致に成功。担当の海軍軍人から、攻撃されても被害が島だけに止まるという不気味なコメントが最後になされる。
第十一話は、やや勘が良い女の子を超能力者に仕立て、それを売り物にする親と見破ろうとする早稲田大学教授の話。最後に、女の子が雪の中でたくさん人が死ぬと2.26事件を事前予知する。
第十二話では、戦争の足音が聞こえる中で、仲良く育った近所の親友二人の人生を描く。片や、10歳の時に膝の皿を割る爾後で足が不自由ななるが、将来的に兵役に取られず、体格に恵まれたもう一方は、中国戦線で死んでしまう。
第十三話では、大東亜戦争が影を落とす。子宝に恵まれないが子供を愛する雑貨屋の女主人は、近所の子供を可愛がるが、男の子は軒並み兵役に取られ、一人はガダルカナルで右手を失う戦傷で帰還し、もう二人は、フィリピン方面で戦病死する。そして一橋産業の造船所を目標とする米軍の空襲で、多くの島の住民が命を失い、関東大震災に続いて大打撃を受ける。
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上・中・下巻の中巻。
大島をモデルにしている神生島を舞台に昭和初期から太平洋戦争終結まで。
上巻から引き続き、一ノ屋の一族の話。
上巻の感想で書きそびれたけど、イチマツの子孫にはなぜか必ず身体のどこかに唇型の赤いアザがある。その痣は中巻でも、一ノ屋の血筋だという証としてたびたび出てくる。
謎めいてるけど、島の人々はみんなそれを普通に受け止めてる。
中巻での話は、
普通選挙が始まり、立候補することを決めた男の話。
上巻でも面白かった平太の起こした一橋産業の子どもと、腹違いの子供だと名乗る少女の顛末。
島が心中の名所になってしまい、儲けようとする人と、何とかしたい人たちの話。
超能力者かも?と思う人と科学的に解明したいひとの話。
足を怪我した人と責任を感じてる人の物語。
子どもができないけど、自分の雑貨屋に来る子どもたちの成長を見守る女性の話。
3人の子どもそれぞれが戦争と関わり最後は悲惨な状況で終戦を迎える。
どの話も面白いけど、一橋産業の隠し子騒動がめっちゃいい。秘密のオチがあるんだよね〜
彼女がまた下巻で登場したらいいのに。