紙の本
圧倒される
2023/04/25 09:40
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:owls - この投稿者のレビュー一覧を見る
小さな紙の舟が旅していく様子が描かれています。が、驚きました。ここまで?と思うようなところまで、細密に描きこまれた絵に圧倒されました。そして、ストーリーの謎。最後の場面が気になって、また、最初から読んでしまいました。わからないけれど、ひきこまれます。
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多分、目を見開いてあんぐりしてたと思う
次の瞬間、眉間にしわ寄せて睨むようにガン見
どのページにしてもその緻密さに指でなぞって追いながら、思わずピンチアウト
最後のページに辿りついて、また最初に戻るを何回も繰り返す
驚愕の世界がそこにある
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一字の文字も説明もない、モノト-ン基調の細密画絵本。 人間の姿をした青年と海の怪人(?)の造った折り紙の小船(?)が、大海原を漂いながら、氷山の間を、得体の知れぬ恐ろしい海の怪物たちの間を抜けて進む不思議な航海・・・波の上にも下にも広がる大自然の驚異、不気味さと神秘的な美しさに酔い痴れながら、見る者のインスピレーションを掻き立てて静かで荘厳なスト-リ-が駆け巡る・・・。
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図書館で予約をして手元に届くまでの順番待ちの間に、上野駅構内のオサレな文具屋さんで文具達の背景としていい感じに陳列されているのを見かけた。
さほどよく見かける本でもなかろうに。
こういう共時性にはほんと驚く。
さて本書は文字のない絵本。
『漂流物』で初めて文字のない絵本を読んだが、あちらは文字がないながらもストーリーがわかり易く、アテレコもさほど難しくなかったが、こちらはなかなか。
息子に読み聞かせするも、果たしてうまく物語になっていたかどうか怪しいもの。
どちらかというと、このなんとも不思議な世界観の絵そのものを音なく味わいながら小舟と共に進んでいく方が正解なのかもしれない。
想像していたのとは違った角度の独特な画風で、ともすると奇妙を通り越してグロテスクとすら感じる絵も。
それでも、息子は魚の巨人が立っている姿に「二足歩行!」とか言ってYouTubeのゲーム実況で仕入れてきたとしか思えないワードを使ってはしゃいでいました。
総じて楽しかったです。
本書を登録しようとして、訳者に岸本佐知子氏の名が。
文字ないのにどこを訳した!?と疑問に思いつつも、世界観がマッチしており、妙な箔を与えていると感じた。
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謎の人物たちが作った折り紙の小舟の幻想的な旅を描く、モノクロで統一された文字無し絵本です。
大海原を紙製の無人船が漂い、弄られ、沈み、そして…。
不思議な海洋生物たちには知性が感じられ、人間か何かによる高度な文明の存在、様々な生物の共存が実現している町、色々な世界観が盛り込まれています。
謎が多く残る内容ですが、心が洗われる感覚を得ました。
ショーン・タン著の文字無し絵本『アライバル』に通ずるものも個人的に感じました。
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白黒の世界。もひとつ違う世界にいざなわれる。
少年? と 角のかぶりものをした黒マントの男が、体より大きな紙でカブトのような船を折る。船は海に行き、大渦にのまれ、下水も通り、最後は? 戻った? のかな? 文字が無いので・・ 文字は無いけどSFを読んでいるような気分。
求龍堂の著者紹介。
ペーター・ヴァン・デン・エンデ
1985年、ベルギーのアントワープ生まれ。
芸術が大好きな子ども時代に様々なデザイン技術を学んだ。高校卒業後は生物学を学び、ケイマン諸島で2年間、ネイチャーガイドとして働く。
2019年、本書で鮮烈なデビューを果たし、2020年の〈ニューヨーク・タイムズ〉と〈WSジャーナル〉のベストブックに選ばれた。
トム・ヨークの「ジ・イレーザー」というCDジャケットを思い浮かべました。特に波。こちらの絵はスタンリー・ドンウッド。
2021.11.18初版 図書館
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大きな紙から折られた小舟が、世界中を冒険する。
圧倒的な緻密さによる美しい絵は、黒のベタ塗りに見えるところまで、すべて線で描き込まれている。クリーチャーのデザインもかわいい。
文章のない絵本で、小舟の目的や状況、登場人物の関係性、結末などは絵から推測するしかないけど、一度読み終わったあと、巻末の見返し部分の地図を見ながら読み返して想像を巡らせるのが楽しい。
原題は『Zwerveling』。オランダ語の辞書では「迷い〜」「野良犬、野良猫」という意味が出てくる。翻訳ソフトでは「渦」。
解説に岸本佐知子さん。装幀・デザインにクラフト・エヴィング商會。
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月イチ絵本。
わからん。
全然わからん。
だがスゴい。
なんかスゴい。
ストーリーはあるのかないのか?
テーマはあるのかないのか?
わからん。
最初に小舟を作ったのは誰?
神と悪魔?
小舟の旅する意味は?
いそうな生物といなさそうな生物。
小舟は小さいの大きいの?
最後は何?
旅した小舟は人間になったの?
いや人間じゃないものなの?
迎えに来たのは誰?
何?
いったい何?
何もわからん。
だが何回も読みたい。
たぶん何回読んでも何もわからんけど。
わかる必要はないのかもしれない。
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線描画にもほどがある脅威の絵本。どのページも眺めていると感動とは違う部分で心が揺さぶられる。
トークイベントで、求龍堂さんが日本版を出すにあたっての紙質や印刷のこだわりなどを話されていたので、この作品がちゃんと愛され、大事にされて出版されたのだということがよくわかった。
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表紙と帯に惹かれて。本当に美しく繊細。
モノクロで表現される絵に魅了された。
お気に入りの絵本の1つになりました
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ものすごい密度。描かれているものがどうこうはもう関係なく、こういう根気のいる仕事そのものが大好きです。なんか信頼できる感じがして。
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まず、なんといっても、全編モノクロで構成された、幻想的で緻密な世界観が素晴らしく、絵本というよりは、アートを見ているかのような細かい描写や書き込みに、ついつい読む手を止めては、じっと見入ってしまいます。
その素晴らしさは、魚のような生物の、擬態しているかのようにも見える、丁寧で想像力を促させる、圧倒的な筆力と、様々な動物系の、恐ろしくもユーモラスで、奇妙な存在感も同様です。
物語は、二人の謎の男(?)が折り上げた小舟が、世界中を航海する内容で、その旅路は、私たちの人生同様、様々な生物たちや美しい景色との出会いに、アクシデントやハプニング、環境汚染を訴えていたりと(鳥たちの落ちていく描写は見ていて、とても痛々しかった)、波瀾万丈で興味深いです。
また、それ以外にも、絵の端々に描かれている、ふと、目に留まる興味深いものであったり、全編、文字のない絵だけの展開ということもあって、見ただけでは理解に苦しむ、不思議な出来事もあったりと、航海が人生の表の道だとするならば、それとはまた違った好奇心に溢れた裏道のような、読んだ人それぞれが思い思いの想像力で楽しめる、味わい深い要素もあります(最初の二人が再登場していることとか)。
読み直してみると、改めて、しっくりくるように思われる、モノクロの世界。
そこには確かに光も闇も存在し、まるで、往年の名作映画を鑑賞した気分だが、私の中では、それが自分の心の中や精神世界のようにも思われてきて、そこでの出来事には、幻想的な恐怖や奇妙な謎もあったが、それでも物語自体に結末をつけていることによって、先の見えない航海を続けているような人生にも、その意味を見出せる結末があるのではないかと、そんなひと筋の希望の光を感じさせられた物語でした。
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2022年ケイト・グリーナウェイ賞ショートリスト。1枚の紙で折られた小舟。港から旅立ち、海を旅します。大きな魚、謎の生き物、氷塊、巨大な人工物、深海……さまざまなものに出会い、乗り越えて、小舟は再び港にたどり着くのでした。
黒いペンだけで描かれた精緻な絵は、見ているだけで圧倒される。はじめのペーシから、小舟を作る人物が出てくるのだが、なんとも言えない不思議な人物。登場する生き物も、ユーモラスだったり(タツノオトシゴ!)、不気味だったり。特に最後の場面は不思議すぎる。謎すぎる。ショーン・タンやエドワード・ゴーリーなど好きな人ならたまらないのではないだろうか。
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水棲の生物達が想像力をかき立ててくれる
ページをめくると新たな景色が広がっていく
細部を仔細に観察したくなってくる
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文字のない絵本、というよりしっかりと芸術を見た…と言ったほうがしっくりくる。
見開きも見返しも、こんなところまで…というほどしっかりと描かれている。
カラーは一切なくて白黒の世界を描いている。
それでも色を入れてるような気になるのは、緻密なせいだろうか。想像がそうさせるのだろうか。
凄く細かな線が、精緻に執拗に重ねられていて圧倒するほどである。
まるで取り憑かれたかのようにじっと見いってしまう。
これでは次のページへなかなか進まないぞ、と何度も思いながらゆっくりと捲る。
2人が大きな紙を折り、小舟を作る。
小舟は海に放たれ、そこから独りで冒険の旅へ〜。
文字がないので想像の世界でしかない。
それも想像を絶するほどの世界である。
これは…何もの⁇という未知なるものが数多くあり、驚きや怖さ、ワクワクや緊張、など一冊の絵本にさまざまな感情がわきおこる。
不思議な体験というより、もっと壮大なものを感じた。
以下原文のまま。
岸本佐知子さんの訳によるとこの本で伝えたかったテーマは「弱さ」と「勇気」だ、と作者は語る。
私たちは紙の小舟のように非力で弱いが、それでも世界に乗り出していく勇気は大切だ、と。
象徴的なのは、海底油田の掘削現場から逃げ出したロボットを小舟が命がけで救出するシーンだ。
海も空も黒々と染める巨大な油田と小舟の対比は絶望的なほどだが、小舟の勇気はひとにぎりの希望でもある。