- カテゴリ:一般
- 発売日:2021/11/18
- 出版社: 双葉社
- サイズ:20cm/381p
- 利用対象:一般
- ISBN:978-4-575-24464-9
読割 50
紙の本
残月記
著者 小田雅久仁 (著)
【吉川英治文学新人賞(第43回)】近未来の日本、人々を震撼させている感染症「月昻」に冒された若者。カリスマ暴君の歪んだ願望に運命を翻弄されながら、愛する女のために抗い続け...
残月記
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商品説明
【吉川英治文学新人賞(第43回)】近未来の日本、人々を震撼させている感染症「月昻」に冒された若者。カリスマ暴君の歪んだ願望に運命を翻弄されながら、愛する女のために抗い続け…。表題作はじめ全3編を収録。『小説推理』掲載を書籍化。【「TRC MARC」の商品解説】
近未来の日本、悪名高き独裁政治下。世を震撼させている感染症「月昂」に冒された男の宿命と、その傍らでひっそりと生きる女との一途な愛を描ききった表題作ほか、二作収録。「月」をモチーフに、著者の底知れぬ想像力が構築した異世界。足を踏み入れたら最後、イメージの渦に吞み込まれ、もう現実には戻れない――。最も新刊が待たれた作家、飛躍の一作!【商品解説】
収録作品一覧
そして月がふりかえる | 3−73 | |
---|---|---|
月景石 | 75−165 | |
残月記 | 167−381 |
著者紹介
小田雅久仁
- 略歴
- 〈小田雅久仁〉1974年宮城県生まれ。関西大学法学部政治学科卒業。作家。「増大派に告ぐ」で日本ファンタジーノベル大賞、「本にだって雄と雌があります」でTwitter文学賞を受賞。
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紙の本
ホラーと不思議とロマン。
2022/04/05 11:31
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:名取の姫小松 - この投稿者のレビュー一覧を見る
月とその光はいつも人類に不思議な力を及ぼしてきた。
月の夜に自分の全てが入れ替わってしまったか……?
月の光に導かれて、別の世界を夢見る女性。
満月の夜に以上に能力を高め、新月には生命力を極端に低下させる伝染病が実在する世界の異様な近未来。
なんと豊かな文章、心躍らせる創造世界。
紙の本
読み始めると結末まで止まりません
2021/11/28 08:18
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:白髪雀 - この投稿者のレビュー一覧を見る
月をテーマにした短編2作と表題作のカップリングで小田雅久仁の世界を堪能できる一冊。
短編の「そして月がふりかえる」と「月景石」はフジテレビの”世にも奇妙な物語"的な話。「そして月がふりかえる」は日常に潜む恐怖、ほとんど普段と変わらないが自分だけが違うという恐怖。「月景石」は月に潜む異世界談。どちらの作品も変わったテイストの作品だが心に引っ掛かる不思議な話である。
「残月記」はジャンル分けも難しいが、ディストピアを舞台にした恋愛小説といったところか。謎の感染症「月昂」の流行をきっかけにとんでもない管理社会となった近未来の日本、そんな中で月昂症を発症したためになぜか剣闘士(グラディエーター)となった主人公冬芽が同じ月昂症患者瑠香との愛を貫く物語。
月は太陽を対をなして、夜に存在感を示す、何となく謎めいて淫靡な香りがする天体ではあるが、そのイメージを妄想でふくらませたような作品。読み進めると現実世界からすこしづつズレながら構築された世界観に引き込まれる。ファンタジーっぽい世界なのに自分の住む世界と紙一重で裏返しただけという感覚。読み始めると結末まで止まりません。
紙の本
月
2022/02/07 00:49
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:くみみ - この投稿者のレビュー一覧を見る
2022年本屋大賞ノミネート作。
月に魅せられ翻弄された者たちの不思議な世界を描いた三つの作品集。一夜で全てを失う残酷さ。人の歪んだ快楽に踊らされ闘う愛。表題作は評価(印象)が大きくわかれそう
紙の本
月を恐れとあこがれで観る
2022/01/16 19:51
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:nekodanshaku - この投稿者のレビュー一覧を見る
凄い、豊かな物語と溢れる詩的世界観と月にまつわる魔術が、三つの物語を強く推し進める。特に「月昴」に侵された未来世界を描く表題作は、静かな恋愛小説のようであり、またデストピア小説のようでもある。この三つの物語を知ってしまうと、夜空に出る月を、どのように観ればよいのだろうかと思う。月の裏側に、恐れとあこがれの目を向けるべきか。
紙の本
月はロマンだけどホラー
2022/05/16 18:51
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:GORI - この投稿者のレビュー一覧を見る
「そして月がふりかえる」は冒頭の子供時代に自分の影に怯えて泣き叫んでいた記憶から怖い。
大人になって幸せな家庭を持って、今日も家族4人で食事と思っていたら、月に振り返られもう一つの世界へ。
ゾワゾワする怖さが良い。
表題作は新ジャンルの意欲作。
エンターテイメント色が強くて一気読み。
国政、政治家、格闘技、ロマンがてんこ盛り。
初めて読んだ作家だけど次回作が楽しみ。
紙の本
月というのは旧来魔性のものである。
2022/02/14 22:27
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:S910 - この投稿者のレビュー一覧を見る
月がぐるりと裏返るのを見たと思った瞬間同姓同名の別人と立場が入れ替わってしまった男の狂気を描いた「そして月がふりかえる」。
月の風景石を叔母の遺品を引き継いだ女性が、夢の中で異世界の月に生きる異なる自分に憑依し、あちらとこちらを行き来しながら世界が変わってしまう「月景石」。
月昂と呼ばれる不治の病が存在する架空日本で月昂者となった青年の数奇な人生を描いた表題作である「残月記」を含む三編の作品集。
他二編は救いのないダークホラーのようだが、残月記だけは美しい愛の物語でもあった。
月昂という病は、幻想小説あるある的には吸血鬼化と考えれば理解しやすい。
発症すれば月の満ち欠けで人知を越える膂力を得るが衝動が抑えられなくなるし、夜に生きるものになるし、人々に恐れられ人としての扱いを受けられなくなる。
まるで吸血鬼だわ。
終盤までの月昂者になったがゆえの理不尽を強いられる展開は読んでいてつらいが、ラスト数十ページの愛のために人生を捧げた彼の行いが読後感を清涼なものにしてくれた。
本屋大賞候補作の中で一番ビビッときたので読んだけど、確かに候補に挙がる力のある作品だったと思う。