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商品説明
慶応4年。花山院家理という公卿を奉じた「花山院隊」が長州藩兵に「偽官軍」として鎮圧された。勤王の志士たちはなぜ葬り去られねばならなかったのか。九州における「偽官軍」事件の真相を読み解き、歴史の本質に迫る。【「TRC MARC」の商品解説】
幕末の慶応4年(1868)、討幕へとつき進んだ戊辰戦争の状況下で、九州の幕府領を制圧し諸藩を佐幕から勤王へなびかせる計画を実行するために形成された花山院隊。彼ら勤王の志士たちは、なぜ「強盗」呼ばわりされ、「偽官軍」として葬り去られねばならなかったのか。
あの赤報隊「偽官軍」事件よりもまえにおこった初めての「偽官軍」事件の真相を、現地(宇佐、日田、天草、周防大島、下関、筑豊・香春)の踏査と史料から読み解いた画期的な幕末維新史‼◆花山院隊事件関係者(66名)名簿付き【商品解説】
目次
- 第1章 花山院隊事件前史―二豊(豊前・豊後)の草莽たち
- 第2章 御許山騒動―幕府領 豊前四日市と宇佐御許山
- 第3章 御許山騒動と周辺諸藩―杵築・日出・中津
- 第4章 花山院隊事件と九州―幕府領 日田
- 第5章 天草富岡陣屋襲撃事件―幕府領 天草・長崎
- 第6章 香春鍋屋騒動―田川郡香春
- 第7章 花山院隊壊滅―下関・周防大島・室積
- 第8章 花山院隊事件の残党たち―熊本藩豊後鶴崎
- 終章 花山院隊事件とは何か
著者紹介
長野 浩典
- 略歴
- 〈長野浩典〉1960年熊本県生まれ。熊本大学大学院文学研究科史学専攻修了(日本近現代史)。歴史著述家。元大分東明高等学校教諭。著書に「ある村の幕末・明治」など。
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紙の本
維新史の忘れものとして再検証が必須の事件
2021/12/25 12:45
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:浦辺 登 - この投稿者のレビュー一覧を見る
幕末維新史における「偽官軍」事件といえば、慶応三年(一八六八)一月に起きた相楽総三の「赤報隊事件」が著名だ。官軍の魁として危険に身を晒したにも関わらず、突然、「偽官軍」として身内に討伐された。後世の人々は、この新政府の理不尽な対応に怒りを覚えた。同時に、維新の一翼を担った相楽総三らの名誉回復、慰霊、顕彰にと思いを致した。その思いに応えたのが長谷川伸の『相楽総三とその同志』だが、これは、多くの日本人から称賛を浴びた。
その赤報隊の「偽官軍」事件よりも一か月ほど早く起きた「偽官軍」事件が「花山院隊事件」だ。本書は、その事件の全貌を解説したものだ。これは、従前の固定した維新史に、新たな一石を投じることになるだろう。実際に『幕末維新全殉難者名鑑四』のページをめくると、赤報隊の次に「花山院隊党」として事件関係者の名前が綴られている。この花山院隊とも花山院党とも呼ばれる集団は、花山院家理という公卿を擁し、九州の幕府所領を制圧するという目的で編成された。九州における幕府の所領としては、豊後の日田、長崎、天草の富岡などがある。花山院隊は、慶応三年(一八六七)十二月六日、天草の富岡を襲撃。続いて、翌年の一月十四日に豊前宇佐の四日市陣屋を襲撃した。襲撃にあたっては、賊の幕府を制圧、いまだ佐幕か勤皇かを決しかねる九州の諸藩に勤皇を迫る目的があった。しかし、官軍としての制圧にあたって、各陣屋に蓄えられたカネやコメを強奪したことから、盗賊の仕業とみなされた。これが、「偽官軍」の烙印を押される由縁となった。更に、官軍であれば天皇の勅書を携帯していなければならないが、これが無い。いかに位の高い公卿を頭領に戴いても、「官軍」とは認められない。ここの事情は、滑稽でもあり、哀れでもある。
最終的に公卿である花山院は騙された、担がれただけとなり、保護される。他は討伐という名の下に処分されて終わり。「草莽崛起」として吉田松陰が身分の低い武士や町民、農民を鼓舞したが、結果的に利用されるだけで、結末は使い捨てだった。
このような使い捨ての事例は他にも多いが、ふと想起したのは、海援隊の坂本龍馬、陸援隊の中岡慎太郎の襲撃事件である。彼等もまた、無用の輩として葬られたのではないか。
歴史の襞に押し込められた、維新史の陰の部分は、実に悲しい。参画した人々の志が、純粋で、高いだけに、なおさらだ。
本書には、事件関係者の詳細な名簿が付されている。ここからさらに、事件の本質の深堀が可能だ。例えば、喜多川重四郎は後の「秋月の乱」鎮圧において斬殺された穂波半太郎である。まだまだ、何か、隠れた真実があるのではないか。維新史は「知っている」つもりでも、小説の域を超えていない事が多い。本書を読了し、維新史の大きな忘れ物を見せられた気がした。
紙の本
花山院にも政権への色気があったのではないか
2022/11/01 16:27
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ふみちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
長州藩にとって邪魔な存在だった花山院隊、突然「偽官軍」に仕立て上げられ身内に討伐された。その全貌をこの本がで明らかにしてくれる。官軍である証拠の勅書がない、盗賊のような輩もいる、それでは「官軍」とは認められないと長州軍は冷たい。花山院は騙されただけだったのか、花山院にも政権への色気があったのではないか