紙の本
呪縛から逃げろ
2022/07/31 19:54
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投稿者:GORI - この投稿者のレビュー一覧を見る
第一部はミサエの子供時代から結婚して子を失うまで。
子供時代は吉岡家に引き取られ、使用人として過酷な時間を過ごし読むのが辛い。
根室に戻って保健師として活躍しやっと報われる人生が得られたと思ったが、結婚してからがまた大変。
特に道子との関係がきつい。
第二部は養子に出した雄介の出番。
吉岡家、小山田家に巻き込まれながら、北大に合格した雄介。
本当に卒業して吉岡家に戻るのか?
残念ながら直木賞は受賞出来なかったが、読み応えがあり、一気に読んだ。
紙の本
締め殺し
2021/12/06 20:13
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投稿者:earosmith - この投稿者のレビュー一覧を見る
「締め殺しの樹」といういかにも重そうな題名ですが、内容も重苦しく読んだ後に苦しくなるような本でした。悲しさややりきれなさ、理不尽さが胸に迫り、読み応えがあります。
紙の本
つらい……
2022/03/29 01:25
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投稿者:エムチャン - この投稿者のレビュー一覧を見る
読んでいて辛くなることや苦しくなるシーンが多すぎて……。今の日本の発展は、こういう辛苦をなめて生きた方々の上にあるのですね……。ちょっと……読み返す気には、ならないです
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結構な力作。釧路を舞台にある女性の一代記。嫌な奴がたくさん出てきて、そういうやつと正面から対決すればいいのにと思うけどとにかく耐えているし、その環境から早く逃げだせばいいのにって思うけど、なぜか戻ってきてしまう。血と地による縛りがあるのか、それらが絡み合って絞め殺しになるのか。毒の強さがあるけど、読み応えのある作品だった。
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両親のいないミサエを優しく撫でて、背負ってくれたのは祖母だった。
祖母が亡くなり産まれた土地の根室へ戻ったのは10歳のとき。
引き取られた吉岡家ではこき使われたが
それでも、ミサエを救う人たちもいた。
根室から札幌へ。
そこで保健婦免許を取得。
過酷な運命を辿るミサエの行先が気になってページを捲る手が止まらない。
辛い人生ではなかったか。
彼女は幸せだったのか。
とても気になる。
それほど心に残る作品だった。
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書かれているのは主人公を取り巻く人の悪意。
そして悪意を撒き散らす世間のしがらみ。
その悪意に立ち向かう雄介に希望を見た。
しかし作者は、よくここまで書けたと感心した。
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戦後の北海道を舞台に、しがらみと多難の中で生き抜く主人公の姿が描かれている。
著者は三浦綾子文学賞を受賞していることに納得できる内容であった。
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読み応え十分でした。読むときには心の余裕が必要。相変わらず、どうしようもなく理不尽で不愉快な登場人物が多いのだけれど(苦笑)、この世界観とか景色とか視点とか、考えさせられることが多いです。
2022/3/31読了 2022年の24冊め☆
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タイトルがもう只事ではないですよね。仏教というか仏陀にまつわる逸話から取られているらしいことが本書の中で語られますが、タイトル見たときにもう「しんどい話だから覚悟して読めよ」感がまざまざ伝わります。
…それにしても河﨑先生はどうしてこんな話が書けるのかと毎作毎作本当に驚かされます。
まるで大河ドラマのようです。血の因縁、地縁の因縁が息苦しいほどに読み手に絡まって来て後半出てくる絞め殺しの木の話と相まってこちらが絞め落とされそうになります。
二部仕立てにしたことで重厚感も半端でない。
北海道の歴史を絡めた物語の種は先生の中にまだまだありそうです。これからもすべて読みたい。
序盤から出てくる代々の白猫の存在に救われますね。先生の猫好きを感じさせる描写が辛い物語の、救いや清涼剤に感じられました。
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2世代にわたる”波乱万丈”もの、とでもいうのでしょうか? 以前読んだ「パチンコ」という小説を連想したのですが、昭和のある時期に、すごく苦労して時代を生き抜いた人のお話、でした。
最初、活字を全部追うのがちょっとしんどくなってしまい、少し斜め読み気味に捲っていったら、途中から案外面白くなってあとは最後まで一気読みでした。
読み応えはすごくあると思うのですが、内容的にちょっと直木賞は難しいかなあ。。。
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以下、ネタバレの内容です。読む前の方はご注意ください。
河崎秋子さんの最新刊。
毎回楽しみにしているけれど、今回は、河崎さんにぜひ描いてほしいと願っていた、待ちに待っていたテーマだった。北海道の人たちがどんな人生を送ってきたか、北海道に根を下ろし、その土地で何世代も生きてきた家族を持つ、河崎さんに描いてほしかった。ほぼ一気読み。
北海道を開拓してきた1世は、本州から移住してきた人たちである。明治から戦前、戦後、さまざまな時代に移住してきた。根室で生まれたミサエが、事情があって、新潟へと引き取られ、10歳の時再び根室へ帰される。時は昭和10年。そこから始まる物語だ。
その家、吉岡家は明治時代に屯田兵として開拓に入った。屯田兵は政府から北の守りとして道内各地に派遣された。1世である大婆様は、その誇りを失っていない。ミサエは、かつて祖母がそうであったように、この家の下働きとしてやってきたが、その本当の理由はミサエ同様、まだ我々にも明かされない・・・・。
だんだん、読み進むのが辛くなる。ミサエを取り巻く環境の厳しさは、寒さや労働の過酷さだけでなく、ミサエの背負う運命の重さでもある。作者のことだから、どこかにホラーな展開があるかと読み進むが、それよりも重たい現実だけがのしかかってくる。読み進むうちだんだんドキドキしていくる。いろいろな伏線が張り巡らされていく。白猫、大婆様から頂いたもの、そして俊之の正体・・・。それぞれが物語に織り込まれていく。この辺りはミステリやホラーを得意とする作者の真骨頂だ。
ミサエはチャンスを掴んで学び、縁のあった人の助けで根室を後にする。しかし、その人のために、また根室へ戻ることになる。結婚もするのだが、しかしそこにも悲しい性(さが)が付きまとう。それでも自分の人生を築き上げていく。そして晩年になって、ふっと、ミサエの人生の描写が途切れる。
世代が変わり、ミサエの息子雄介。決して幸福な少年時代ではないが、雄介も自分で人生を切り開き、ミサエに負けないくらい勉強して根室から抜け出していく。雄介の時代は明るさが見えてくる。若者らしい学生生活もホッとする。(事件はあるが)しかし雄介もまた、根室へと帰ってくるのだ。母のいた根室の人々や、人間関係は変わっていない、あの根室へ。そんななか、母の晩年の人生と、母にまつわる人々との謎も解かれていく。
新しい世代の雄介が、それでもここで何ができるのか、どうやって生きていくのか、雄介の物語はこれからだ。
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読み終えるまでずっと辛かった。
子どもの頃から奴隷のように働かされて、運良くやっと勉強し労働の対価をもらえ、看護師の資格を取り自身のために生きることができるようになったのに、結婚によってまた誰かに搾取される人生に。
時代だから?女だから?
ミサエに投げ掛けられる暴言に、私も傷つけられて読むのが辛かったけれど、ミサエのように辛かった女性が沢山いたんだなと思い知らされた。
雄介にはミサエと道子の分も正々堂々と根室で酪農家として成功してほしいと。
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「おしん」の再来??
からの、立身出世
ただ、親としての姿はちょっと疑問
もっとこの人の作品が読みたい
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昭和の人は意地悪だったなぁ…と思い返しました。
あの時代が大変だったのはわかるのですが、この路線はただの苦労話になるかもっと壮大なものを描けるか、難しいのでしょう。これは読むのが苦しい系の話に思えました。この手の話はもういいかなと思ってしまいました。
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第一部は昭和10年、10歳の主人公ミサエが、根室にある元屯田兵の吉岡家の元に下働きとして訪れるシーンで本作は幕を開ける。
冒頭から不穏な空気を感じつつ読み進めるが、予想通りミサエはこの家族に冷たくあしらわれながらこき使われることに。昭和の時代性を鑑みてもちょっと酷い扱いだと思ったのだが、実はこの程度の試練はまだ序の口だった。
ミサエはその後一時的に根室を離れたものの、結局は戻ってきて再度吉岡家と関わるようになる。その後お見合い結婚をして子供にも恵まれたのだが、思いもよらぬ悲劇が起きてしまう。
後半の第二部は昭和55年、吉岡家に養子としてもらわれてきたミサエの息子・雄介が2人目の主人公である。
こちらもミサエ同様にこき使われ、将来は家業である農業を継ぐように義父から叩き込まれている。彼自身もその運命を受け入れていたのだが、次第に明らかになる母ミサエの実像と事件の真相。
それを知った雄介のとった道とは―――。
実に読み応えのある重厚な大河小説だった。
たぶん多くの読者同様、吉岡一族やある男のクソっぷりは読んでいて腹が立ってしょうがなかったのだけど、これは元をたどれば日本の昔ながらの家庭および地域コミュニティーにある、因習としての差別意識や同調圧力が根底にあるように思う。本作はそれを乗り越えることがテーマになっているのだと読み取った。
主人公たちは傍から見るとかなり過酷な状況にあるのだが、厄介なことに当事者たちにとってはいじめや虐待の意識は無く、それが逆に現代でも形を変えて身近にありそうで、ある種の怖さも感じる。
まあ、読者の多くはこんなところからさっさと逃げちまえばいいのにと思うであろう展開ではあり、なおかつ第二部の主人公雄介はミサエの時代とは異なり、ある程度自分の意志で今後の道を決めることができる環境にあるのは確かだ。しかしそれにもかかわらず、ラストであえて苦難から逃げずに向き合い続けるという、その覚悟の強さは読後非常に強く印象に残った。
それにしても、二部構成で2人の主人公の半生を描きつつ、それなりに事件や起伏のある展開がありながら、この程度のボリュームに収めたのは結構凄いことなのでは。いわゆる作品の「密度」はかなり高いように思う。
文体も結構好きで、読んでいて何となく感じるであろう部分を絶妙なところで先回りして書いて読者の共感を得るというテクニックが多用されているように感じる。本作を読んでいて思い出したのは選考委員である角田光代さんの文体。どちらも本物のプロだなあと思う。