モーツァルトを聴く人 谷川俊太郎詩集 （小学館文庫）

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投稿者：みなとかずあき　-　この投稿者のレビュー一覧を見る

1995年に自作朗読とモーツァルトの音楽を収録したCD付き（！）で刊行された単行本をもとに、楽器メーカーのPR誌に発表されたきりになっていた絵本「ピアノのすきな王さま」を収録し、さらにモーツァルトと音楽をめぐる詩24篇を加えて文庫化されたもの。
単行本はパウル・クレーの絵をカバーだけでなく挿画にも使用しており、さらにCDのジャケットもクレーで、本と合わせて箱に入っているという豪華な感じだったけれど、今回は堀内誠一の絵が添えられているし、絵本の方も堀内誠一でこれはこれで贅沢な感じがするので、文庫の小ささがもったいなく思えてしまった。
というわけで、なんとなく音楽にまつわるような詩が集められているように思えたのは先入観のなせる技かもしれないが、でもやはり他の谷川俊太郎の詩より音楽を感じさせるような気がする。と言うより谷川俊太郎の詩が音を出すことに馴染んでいるのだろう。以前から自作朗読をしていたり、何人ものミュージシャンに歌詞を提供（アニメ『鉄腕アトム』の主題歌の歌詞もそうだった！）していたりして、目で文字を追うだけでなく、耳で音として楽しむ詩が多かった人だから。
なので、この本も出来れば声に出して読むとより楽しむことができるように思う。そこに堀内誠一の絵があると目も楽しませてくれるということだ。
惜しむらくは、本の中程に収められている例の絵本が文字が横書きで左開きになっているので、途中でページのめくり方を変えなければいけないのがある種の流れを変えさせられてしまったところだ。どうして中程に収めたのだろう？　いっそ巻末に収めて裏カバーを絵本の表紙にすれば良かったのに。あっ、でもそうするとバーコードの収めどころがなくなってしまうか。いろいろ理由はあるのだろうけれど、こういう時にもバーコードが邪魔になるのか（と、かつて和田誠がバーコードを嫌っていたことを思い出してしまった）。