紙の本
ベガに導かれる主人公
2022/01/31 16:33
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投稿者:nekodanshaku - この投稿者のレビュー一覧を見る
親と子との縁、関係性は、様々な形を取り、少しの偶然により、親子それぞれの人生は、大きく変わる。時として子供を虐待する親の存在は、悪であるが、そこから子供を救い出すには、どんな手段があるというのだろう。この物語のように、もしすく出された子供は、大人になった時に、そのような状況をどのように振り返り、理解するのだろうか。読み終えて、不思議な哀しみが心の中に広がった。
紙の本
嵐の夜から
2022/04/03 19:30
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投稿者:咲耶子 - この投稿者のレビュー一覧を見る
大型台風災害の夜、ある夫婦の避難の様子から始まります。
そして、休業中の旅館の娘と、宿泊客として現れた青年の幼少期から大学生までの様子が交互に展開されます。
序章の夫婦はどんな関係があるのか、その存在を忘れかけた頃、思わぬ繋がりが明らかとなり、ラストに全てが繋がっていきます。
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前半は虐待シーンや支店の交互する点で読みに草も感じるが、後半は一気。しかし、ありえない展開とは思う。
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台風の日に失った息子と盗んだ息子。掛け違った運命は虐待、養子縁組と問題を呑み込んで元の振り出しに戻ってくる。旅館の娘千遙視点の20歳ごろと裕二視点の過去編。交互に記された文が一つになる時奇跡のように幸せが降り注ぐ。
星空の蘊蓄も良かった。
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休業中の旅館に泊まりに来た謎の大学生・裕二。父親に当たり屋をさせられ、しかし裕福な家の養子になった彼に接近する不審な人物。彼の過去にはいったい何があるのか。そして旅館の娘・千遥との出会いによって徐々に繙かれる物語。不穏な雰囲気がありながらも、優しい読み心地のミステリです。
裕二の子供時代の話がとにかく酷いです。子供に当たり屋をさせる親だなんて……しかしそんな環境にありながらも捻じ曲がることのなかった裕二が健気というかなんというか。なるほど、魅力的な人物に成長するのも頷けます。とはいえ、のちに登場する矢木沢もひねくれてはいるけれど、魅力的な人物なんですよねえ。彼らがこのように育ったことで、あるいは犯罪であったとしても、彼らのような子供たちが救われたのは良いことだったのではないかと思えてしまいました。
序盤で語られる「千里見の七夕崩れ」は物語に何か大きく関わってくるのだろうとは思っていましたが。まさかそういうことだったとは! このあたりの伏線回収は実に見事です。
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台風の最中、乳飲み子の行方不明事件が序章。休業していた旅館清風館の娘千遥と一人の大学生裕二との邂逅からストーリーが動き出す。裕二の生い立ちと養父との関係、千遥との因縁が絡み合って完成度の高い作品へ昇華している。伊岡作品の真骨頂だ。
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父親に「当たり屋」をさせられていた裕二は父の死後、坂井隆の里子になる。大学生になった裕二は静岡の鄙びた旅館『清風館』を訪れ、旅館の娘清田千遥に出会う。
ある時、裕二の前に坂井隆の正体を探る八木沢亨が現れ、裕二自身の過去が露わになってゆく。
読み進めるのが嫌になるほど荒んだ人間関係が多く語られる中、裕二と千遥が星座を見上げながら寄り添う姿に救われる。
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代償を初めて読んで以来、伊岡瞬さんの作品を読み続けている
今回は警察が介入するような事件が起こるわけではなく、男女2人の人物が中心となってそれぞれ1人称で語られていく
2人がどのように関係していくのか
読み進めていくことで明らかになっていく
とても読みやすく、星空が見たくなるような作品だった
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【人は運命に抗うことができるか?】二十年前に町を襲った豪雨。休業中の旅館にふらりと現れた大学生。事故死した父。すべてが一つに繋がるとき、慟哭が読者を襲う。
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2022/01/29予約 18
有村皓広は津田裕二になり、坂井裕二になり、有村皓広になる。
最後に清田皓広となる。
1968年の静岡での豪雨で、製材所を営む有村家は親戚のところに避難する途中、子どもをさらわれる。
さらわれた先で、津田裕二になり、本当の父でない男にとんでもない虐待を受ける。子どもの背を押し、何度も交通事故にあわせ、賠償金目当ての生活を送る。子どもを金づるにしてまで。
4度目の事故のあと、施設に引き取られ、そこで裕福な坂井隆に引き取られ、養子になる。(ここの地名の二子玉川園、という地名がとても気になった)
その後、八木沢に待ち伏せして出会わされ、自分の過去を知り始める。
自分は有村家のさらわれた子どもだった。
本当のことを、知っている限り、今まで良くしてくれた養父の坂井に話したところ、この
タイミングで坂井は事故に巻き込まれ帰らぬ人となる。
それを機に、有村皓広に戻り、残りの大学生活を続ける。
そして自力で大学を終え、千遥と結婚し、清田皓広となる。千遥の実家の清風館を再開するにあたり、有村の母親も一緒に清風館に移り住む…
星が好きで、得に織姫星に惹かれる裕二。(その時は裕二だった)その理由は最後にわかる。
登場人物が多いのと、関係性を掴むのに時間がかかり、わかった頃にはほぼラスト。
虐待がたくさんの場面で現れる。
読んでいて辛い。最後が納得の行くラストなのか、なんとも判断できない。
前後の行間から読み取るべきなのだろうがエピソード一つ一つ、メインになるところはぼかしてある。
こうなるのかな、と思ったら次ページでは、すでになっていた、とか。
泣くこともなく、なんともあっけないようなラストに思えた。少しだけ消化不良。
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3.9
序章…
1968年7月7日。
静岡県のとある危険区域に住む若夫婦を、数十年に1度という規模の台風が襲う。
乳児を抱え避難する夫婦を度重なる土砂崩れが襲い…
20年後。
その地区に古くからある旅館へと舞台は移る。
一年前、交通事故で主人を失って以来営業を休んでいる母娘の旅館に、過去に世話になった人物を通して一人の青年が宿泊に訪れる。
以降、
その青年・裕二と旅館の一人娘・千遥…
二人の過去と今が、それぞれの視点と時間軸で綴られて行く。
幼少期、父親から壮絶な虐待を受けていた裕二は、度重なる交通事故(父による当たり屋詐欺)から遂には命を落としかけるが、
入院中に父親が急死し母親も死亡していた事が判明し施設送りとなる。
すると、間もなく最後の交通事故の際に関わった弁護士絡みの人物・酒井隆が里親になりたいと申し出るのだった。
裕二に突然降って湧いた夢のような生活。
だが、少しずつ見えてくる里親・坂井の不可解で得体の知れない側面…
やがて…
自分以前に全く同じ境遇から坂井に引き取られ、同居した後に他の人物に養子縁組された若者・八木沢了がコンタクトを取って来る。
そして、坂井隆の正体を暴くのに協力しろと持ちかけるのだった。
唯一ハマった天体観測の集まりで知り合った大橋香菜子という女子大生にどんどん惹かれていく裕二。
だが、その正体は…
一方、千遥は、
父の死という不条理、恋人の裏切り、狭い田舎町の閉塞感の中で、母親を残しての(父の死で引き伸ばしにしていた)東京の大学進学を言い出せずに居た。
そんなある日、千遥にとって特別な場所に一人佇む裕二と出会ったのだった。
そして、
もう一度この場所で一緒に星を見る約束をするのだが…
坂井隆の正体…
裕二の出自をめぐる衝撃の事実…
千遥と裕二の浅からぬ因縁…
とは。
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伊岡瞬さんの作品は本作品で四冊目だ期待通りの展開でとても楽しく最後はニコニコ至福感にしたることが出来た。小生は子どもみたいに単純なのだろうか?なんて思ってしまった。そういえば今日は三月三日雛祭りだ。
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大袈裟な帯広告が印象的だったので最後は何かあるんだろうなと思っていたが、300ページまでは長編の前書きという印象。物語が動いてから終わりまでが短すぎた。
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恋愛小説。
最後の結末に至るまで一気に読ませられる。ただし、話の流れからある程度の想像がついてしまうのは残念。また、小説の設定が古く、現代にはあり得ないものになっており、若い人たちには共感を得られにくいのではないだろうか。
次回作にきたする。
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面白かったが、エピローグはいらない派。海辺の旅館に1人の青年がやってくる。旅館は休業中だが特別な紹介で宿泊することとなった。穏やかだがどこか陰のある青年。旅館の娘はそんな彼が妙に気になる。いつもの伊岡作品がジェットコースターなら、本作は観覧車という感じ。じわり、じわりと全貌が見えてくる。「星」がキーワードになっているせいか、悲しくもどこか美しい世界観に思えた。良いわ~と思ったが終盤から話がバタバタしだし、出木杉すぎるエピローグへ。かぁー惜しい!想像と余韻が欲しい。でも一風変わった伊岡作品として楽しんだ。