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投稿者:かい - この投稿者のレビュー一覧を見る
ジムの中の描写概論多いですが、めちゃくちゃうまく表現されています。筋肉と人間の感情の関係が面白かたです
紙の本
内面から美しく
2022/11/02 07:34
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投稿者:Todoslo - この投稿者のレビュー一覧を見る
ストイックなはずのボディービル大会で、女性らしさを求められてしまうのが皮肉ですね。自分の好きなことに打ち込む姿は、男女を問わず素敵だと思います。
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(『すばる』2021.11号)
第166回芥川賞候補作。
ボディビルというニッチな世界を描く。30歳手前にして「別の生き物になりたい」と心に誓った主人公の女性。日頃からジムで体を鍛えていたが、ひょうんなことからボディビルダーを目指すことに。
ボディビルというと、筋肉ムキムキのどちらかというと「男性性」のイメージがありますが、女性がそれを目指すという世界について、戸惑いながらも興味津々と読み進めた。「男性性」の中に「女性性」(見た目の美しさ)も求められる。そこのズレに主人公は気づき悩む。常識が覆された。
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第166回芥川賞候補作。
事前情報で、“筋トレ小説”と知る。
会社にも筋トレにはまり、「今日は上半身の日」と話し、風呂上がりにタンクトップを着て、日に日に大きくなっていく自分の筋肉を鏡越しに見てはポーズを決めて頷き(本人談)職場で血管が見えてきたのでちょっと見てくれと腕を捲って見せてくれる子がいる。
筋トレは、ハマると病みつきになるらしく、やればやるだけ結果がついてきて快感らしい。確かに制服がはち切れそうなほどパンパンになっていた。
シュッとしていた彼は、ひと回り大きなそれに近づきつつあった。『別の生き物』に。
「火曜は脚の日だ」という一文から始まります。
通っているジムの知り合いから誘われて、ガチなボディビル大会に出場するまでを描いた作品。
『別の生き物になりたい』と出場を決意するものの、ボディビル大会について知らない人からすれば、筋肉ムキムキで、肌も黒く、“女らしくない”と見えるそれは、蓋を開けてみれば、髪を長くし、ピアスをあけ、ヒールを履きこなし、笑顔を作り、優雅なポーズをし、アクセサリーをつけ、派手な化粧をするなど、筋肉と同じくらい『女らしさ』も必要だった。純粋に筋肉だけで勝負したいのに、筋肉と関係ないものが評価される、男と女でまた違ってくるという違和感、心の葛藤が描かれている。
何が面白かったかといえば、文章表現だ。
◽︎スヌーピーの言う通り、我々は配られたカードでゲームするしかないのだ。
◽︎ああ、遂に。私は、ゲロったのだった。それは正しく、カツ丼を前にした容疑者が犯行を白日の下に晒す心境だった。
◽︎翌日、私は近所の歯医者に行き、げん担ぎのように即席のホワイトニングをした。サンプルを持ち出され「新庄・清原クラス」の二段階手前の色合いを選んだ。翌朝、起き抜けの白湯が歯に染み、飛び上がった。
等々、クスクス笑える文章に、次作も読みたいと思わされた。
ちなみにタイトル『我が友、スミス』のスミスは、スミスマシンという筋トレの器具の名前からきている。
装丁も、純文学ではあまり見ない雰囲気で興味をそそられた。
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新たなる筋肉文学の誕生に乾杯(プロテインで)
ふむ。
筋肉文学ってなんだし。
ダンベル何キロ持てるか筋肉漫画ならこちら、筋肉小説。
いや、だから筋肉小説って何だし。
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芥川賞候補作と、印象的な表紙に惹かれて読んだら、ボディビルの話!
別世界のことが垣間見えたのと、スミスが何か分かってあっという間に完読。
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途中までは「新しいことを始めた(しかもフィジカル系)自分発見」的な話かと思っていたが、そう来ましたかと。それも女性だととても得心が行く内容。男性はどう思うんだろ。ふーんって感じで終わっちゃうのかな。
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第166回芥川賞候補作、女性OLを主人公にした筋トレ小説、石田夏穂さんの小説は初読み。最近は漫画「ダンベル何キロ持てる?」や、YouTubeでも筋トレ女子を見かけることが多い、本書の主人公はスミスという筋トレマシンを愛用する女性で、ふとしたきっかけでボディビル(フィジーク)大会出場を目指すことになる。大会出場の過程では、単に筋肉を鍛えるだけではなく、肌を磨いたり、ピアスの穴をあけたりと「女らしさ」を求められることもあり、それを一つ一つクリアしていく主人公が生き生きとしていてすごくいい。
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ハードボイルドな?筋トレ小説。
テンポ良く無駄なく読みやすい中編だけど、
筋肉マシマシの長編化や映像化も面白そう。
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芥川賞候補作。これは面白い。ボディビルダー歴1年の女性がボディビル大会に初挑戦する物語。以前に『ボディビル掛け声辞典』を読んでいたという下地もあって興味深く読んだ。主人公は真面目な気質ゆえコツコツと己の体をいじめ抜き、着実にビルドアップしていく。それにしてもボディビルの体に悪そうなこと。筋肉が毎日悲鳴を上げ、増量した後は水抜き&塩抜きで減量。それでもボディビルで別の生き物になりたい、と願う主人公。単なる筋肉小説ではなくジェンダー問題も根底のテーマだ。アメコミの様な装丁も好き。ストイックな方にお勧めしたい。
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Gジムにあしげく通うU野さんがひょんなことから女子ボディービルの大会にエントリー。
プロフェッショナルとしてそこで筋肉とは無関係な美意識や順応性を試されることになる。
クレバーな息遣いが聞こえそうな濃密な140ページ。
大いに愉しみ、大いに胸打たれた。
そこには没頭があった!!
わーすげー、めっちゃおもしろかった!!!
ボディービルダーらしい?ちょっと大袈裟でパワフルでユーモラスな言い回しが終始愉しくて
主人公の即!実!践!な行動力と生真面目さに惚れ惚れ。
勝手に課された曖昧な社会的役割への違和感とか、外見に関するある羞恥心の部分は僕も同類だったし、とかく至言で溢れてた。
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ひょんな事から、同じジムに居合わせたO野からの誘いを受け、ボディビル大会に出場すべくトレーニングに励むことになった主人公、U野。日頃はジムのトレーニングの時間を捻出すべく仕事に打ち込む会社員である。
化粧っ気もなく、ジムでトレーニングした後の多幸感を求め、仕事を早く終わらせようと集中する様子に共感。
ストイックに打ち込むにつれ、女性ならではのポージングとは何か、ボディービル大会への練習や、会社での同僚や先輩、上司からの扱いも絡めながらジェンダーの定義の狭間で悩み抜いたU野が取った行動とは。
ところどころクスッと来る表現は楽しめたのだが、随所に「あれっ、この表現の使い方、合ってるんだっけ…?」と、やや気になる箇所もあった。
それでも一つのショートストーリーとしてはとても楽しかったし、あちこちに出てくる筋トレ用語の数々に、手近にあるダンベルを触りたくなった。
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ジムに通っていたことがあるので、想像できる。
筋トレは、1人でやるのは私は辛かった。
お腹シェイプのクラスでみんなで頑張ったり、トレーナーの人に見てもらってやると頑張れる。辛いょ。
目標があれば頑張れるのかも。
ボディビルの大会へ出るまでの話。
「ジムあるある」がわかる人は楽しいと思う。
スミスはマシーンの名前。
主人公が成長していく様子にわくわくする。
何かにチャレンジしてみようと思うきっかけになる本。
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文芸誌すばる3月号で著者と岸本佐知子氏で対談をしていた。著者の程よい気抜け感と純朴さがとても好印象で、この本を手に取る。岸本氏もかなり推し褒め。
まずはボディビル女子を題材にする、その企画力に個人的にそそられてしまう。
筋トレからボディビル大会にチャレンジする主人公U野の気持ちが独白で綴られ、U野の気持ちの変化や周囲の様子など、現実味があって浮いてない。わかる、わかるー
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全然期待せず読んだのに、とても面白く引き込まれた。
全然知らなかったボディ・ビルの世界。私も主人公と同じく、「世間とは別の」世界がボディ・ビルだと思っていた。しかし実際は、「世間の鏡」。実は「女性らしさ」を際限なく求められる世界で、「女性らしさ」に無頓着であったはずの主人公は、30手前にして初めて脱毛し、化粧水を買い、髪を伸ばし、どんどん「女性らしく」なっていく。
最後に彼女はボディ・ビルという世界からは去るのだが、その世界を完全に拒絶したわけではない。筋トレは続けるし、ボディ・ビルの世界で知ったあらゆることは、彼女の世界を広げた。かつては「別の世界」の住人として蔑視することで安心を得ていたはずのS子へのラストの心中の言葉は、とてもすがすがしいものだった。
わかりやすく面白い作品でした。