紙の本
このモヤモヤに覚えあり
2022/02/03 00:01
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投稿者:オムラ椅子 - この投稿者のレビュー一覧を見る
せめて小説の世界では、納得の結末がほしい、と思って読むこともあります。
小説の世界なんだから、めちゃくちゃになれ、と思うときもあります。
でも現実の世界は、納得しないで、めちゃくちゃにもならなくて、終わらず続いていく。
モヤモヤはモヤモヤのまま、納得の結末がないことがほとんどです。
今村夏子の小説は、その感覚に近いので、いつもつい読んでしまいます。
現実にある話とは思いませんが、
このモヤモヤには覚えがある、その感覚が魅力でした。
表紙のコッペパンの写真のように、おいしいのかおいしくないのかよく分からない、不思議な感じが味わえます。
紙の本
不完全燃焼でした
2022/05/26 09:49
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投稿者:kotep - この投稿者のレビュー一覧を見る
七作からなる短編集。どの作品も発想は面白いと思いましたが、結論の不透明さがしっくりこなかったですね。それがいいという読者もいらっしゃると思うのですが、私には不向きな感じでした。作者の違う作品を読んでみたいと思います。
電子書籍
いやいや…
2022/01/24 16:30
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投稿者:みぽこぽこ - この投稿者のレビュー一覧を見る
なんか、うっすらとした「狂った」感じがあり、どれも好みではなかったです。怖いとか変だとか嫌な感じだとしても、味付けのぼんやりした食事みたいで、ひとつも面白さが感じられなかったのが残念です。
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今村さんの作品は「むらさきのスカートの女」を
読んで以来の2冊目です。
可愛らしくほんかわかとする表紙に目を引かれて
この作品を読んでみましたが、それとは違って
以前読んだ作品と同じような作風で独特な世界でした。
けれど一見特独な雰囲気で自分の世界とは別のように
思えていても、ごく日常生活にありそうな生活の
ある一部分が少し異質的に極められているのかなと思いました。
白いセーター
お気に入りの白いセーターを着ようと思っていたのに、
汚れてしまうからと交際相手からなかなか自分の着たい時に着れなかったという不思議な感じでした。
それよりもその義姉の子供さんの子守りをしていたのに、
あることから口煩く文句を言われてしまい、
しまいにはその交際相手から・・・
ちょっとこの女性が可哀想でならなかったです。
ルルちゃん
可愛い人形のルルちゃんを持っていた近所の安田さん。
あるきっかけからこの安田さんと仲良くなって自宅を訪れることとなって色々な話をしていくうちに、時々豹変する安田さん。
こうゆう人って現実にいそうだなと思いながら読んでいたので割と身近に感じられました。
ひょうたんの精
幼い頃から太っていたなるみ先輩。
何をしても痩せなかった彼女が突如として
痩せてしまったことによってあらゆる噂が立つ。
思い切って彼女が痩せたことの真実を聞いてみると
またこれが普通ではあり得なくて奇妙なことでしたが、
何となく可愛らしいことでもあったかなと思いました。
ラストの「これからも輝き続ける彼女達が、
どうか吸い込まれてしまわないように。」というのが
ちょっとくすりと笑えて青春の一コマをさらりと描いて
いるようにも感じられました。
せとのママの誕生日
スナックのママの誕生日ということで、
ママの誕生日を祝おうと家を訪ねていく。
そこへスナックで働いていた女性達が何人か訪れて祝おうとするのだが・・・
どんどんとその仲間達の祝い方がエスカレートしていってしまうのが怖いくらいでドキドキしてしまいました。
結局「生きているの?」「まだ生きている」というのが意味深です。
冬の夜
かっちゃんのお母さんがかっちゃんを産んでからの病室での出来事から自宅に帰宅してその後の様子が描かれています。
赤ちゃんのかっちゃんの様子との様子が事細かく描かれている一方で同居するおばあちゃんのことも描かれています。
かっちゃんのことも凄く気になりますが、
後半になってのおばあちゃんの出来事を思うと
その後おばあちゃんはどうなってしまったのかと心配になります。
椅子がいつもの場所にあったらこんなことにならなったのに?
と思うと少しミステリーを感じてしまいました。
モグラハウスの扉
工事現場の作業員と子供たちの交流を女性目線で描かれています。
子供たちと女性の交流が微笑ましく描かれて一方で、
女性が作業員へ想う気持ちが不器用に描かれているのが
ユニーク��した。
父と私の桜尾通り商店街
商店街のコミュニティから外れているパン屋を営んでいる父と娘。
父の身体も思わしくないので店を畳もうとしていた所だったけれど、予想外の展開に・・・
一人のお客さんのために毎日美味しいサンドイッチを作ろうとする娘の一途な思いに吃驚です。
そしてその後の展開にも驚かせられましたが、
「商店街にははずれもあたりもないんだよ。
出口も入口もない。知っていた?」という言葉に
こちらも納得させられてしまい物事は考え次第で
いつからでも再スタートが出来ることと、
またこの娘の一途な思いで励まされたような気がしました。
この章が一番短編小説らしかった作品だと思います。
今村さんの作品を全部かみ砕くには難しいかと思いますが、この独特な世界観に慣れていくのもまた面白いと思えた作品集だと思いました。
今村ワールドを味わいたい方にはお勧めな作品集だと思います。
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短編7作
自分の心のままに「一心不乱」
揺るぎない、曲げない部分って誰しもあると思う
そこが彼女たちの発するものにどこか共鳴する
自分を開放したら、、、と思っちゃう
なので中毒性が生まれるのか
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表題作を含めた短編集だったのですね。
ほのぼのとした感じを勝手に想像していましたが、ちょっと不思議な感じで、ゾワゾワとさえした。
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奇妙で少し不穏な空気を残していく、短編集。
過去作「あひる」もそういう空気感だったような。
解説のインタビュー内で、各作の登場人物について「健気で懸命だけれど、傍からみていると「ズレている」と感じさせる人々」「他の人を書いているつもりでも、書き終えたものを読み返したら、いつも同じ人を書いているような気がします。一生懸命さが痛々しいというか、見ていられないです。でもそこが魅力だとも思います」と述べており、あーそれ!それだ!と納得。
一生懸命だけど人とズレていて、そこが少し怖いし苦しくなる、けど目が離せない。
こういう人、たぶん身近にもいるし、実際いたら敬遠してしまうかもしれないけど。
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個人的に盛り上がりが止まらない今村夏子作品。本著も楽しんで読むことができた。人生の何とも言えない場面を切り出して物語化する才能が溢れているのは健在。過去作品と打って変わってかなりファンタジー寄せな「ひょうたんの精」「せとのママの誕生日」という変化球も収録されておりさながら幕の内弁当だった。
とはいえ、やはりメインとなるのは子どもの素直さとそれに対する大人の欺瞞。「白いセーター」「モグラハウス」「父と私の桜尾通り商店街」この3作品はどれも後味が「今村夏子〜」と言いたくなるような話でめちゃくちゃオモシロかった。全部微妙にテーマが違うのだけど既視感のある場面できっちりドラマを用意してくれているのが毎度ながら最高。難しい言葉で難しいことを書くことよりも平易な言葉で簡単なことを書くことの方が難しい。これはよく言われることだと思うけど著者の作品を読んでいると特に感じる。表題作は新規軸だった。商店街で村八分にあっているパン屋の娘が主人公で、父が店をたたもうとする中で起こる逆転。既存の価値観は放り投げて新しい価値観へ進み始める表現としてこんな物語が書けるなんて。。。村社会はクソと誰でも言えるが、そのクソとどう共に生きるのか?その未来の一歩手前で終わる物語の切れ味に鳥肌がたった。
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些細なことから思わずエスカレートしすぎる、危うい女性たちを描いた短編集。
どのお話も現実にありそうなシチュエーションで始まるのですが、話は思わぬ方向に進んでいきます。
出てくる人たちの言動に意表を突かれ、笑いを誘われ、そしてその純粋さに切なくもなります。
「スナックせと」で働いていた女の子たちが、ママの誕生日に集まる話「せとのママの誕生日」は、「こちらあみ子」に収められていた「ピクニック」を思い出させてくれます。
「モグラハウスの扉」や、「父と私の桜尾通り商店街」は小学生の子どもたちが出てくるせいか、無邪気さが一段と増して、異様な雰囲気も漂っています。
「冬の夜」では、産婦人科の病室でカーテン一枚を隔てた、顔も見えず会話だけが聞こえる隣同士で、お互い勝手に想像をめぐらしているという場面があって、今村さんらしい視点だなと思いました。
今村さんの作品を読むのは3作目なのですが、読めば読むほど愛着が湧いてくるのです。
本当に不思議な作家さんです。
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優秀な人だけしか何かを欲しがっちゃいけないのだろうか。
まともな人しか人生を謳歌しちゃいけない?
没頭の先にある痛々しさ。
不穏と切なさのラテ。
集団行動が苦手な人を集団の中から見つめるような体験。
表題作の切れ味やっぱりさすがだなあ。どこにもいけない。
表題作が白眉ですけどセーターの話とルルちゃんとスナックの話も良い。スナックのラストシーンやば。
あといつも不思議だなあとなるのが、語りが時間の感覚をちょっと超越してて、時を忘れて没頭してる間に人生のいろんなプロセス的なのをパスしちゃってる感じというか、桃から生まれた桃太郎がいつの間にか成人になってる感じや。
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今村夏子を読むのは4冊目。
単行本は2019年刊行。
2022年の文庫化に際して「冬の夜」を追加。
単行本のカバーイラストが美麗だが、文庫版も面白いな。
本には初出が書かれていないので、wikipediaからコピペしておく。
全部読み終えて共通しているなと感じたのは、時間の経過があるから短編にも係わらず厚みがあるな、と。
また寓話的な話もあるので、なおさら時間経過を導入して、ありそうな話にしたのかな、と。
以前の作品がどうだったか精緻に振り返りはしないけれど。
■白いセーター 文学ムック『たべるのがおそい』vol.3 2017年 ★
冒頭数行読んで、あーどこかで読んだな、と思い出した。
よく憶えていたなという意味ではなく、その後の展開をぼんやりとしか憶えていない自分への戒めとしてメモしておく。
「たべるのがおそい」に収録されていたのを2017年に読んだのだった。
ラストの境地に至るまでの細部がもう、辛くて辛くて。
100円均一で買ったあれを見てくれただろうかという一文が利く。
■ルルちゃん 『文芸カドカワ』2017年12月号
不用意に自分のことを喋ってしまうことって、ある。しかも普段になく、熱く。
後に反省するのだが、その瞬間だけは、相手に全幅の信頼を置いていたような気がする。
その無根拠な信頼を、後々思い出してゾッとしたりすることもある。
そこまで計算していないのかもしれないが、登場する女性3人が鏡像関係のようになっていて、繰り返していくんだな、と。
■ひょうたんの精 『文芸カドカワ』2017年10月号
これは不思議な話だ……。
わたしがなるみ先輩について語るのに対して、後輩が( )内でツッコミを入れてくるのにもかかわらず、気にせず語るわたしの姿、がむしろ、どうにも怖いというか。
■せとのママの誕生日 『早稲田文学』増刊女性号
寓話度が高い本作品中でも最も……まるでグリム童話にでもありそうな。
しかし、マッシュルームとかカリフォルニアレーズンとか細部が笑えて、やがて恐し。
これこれ、今村夏子はこれよ、とにんまりしてしまう。
■冬の夜 『文芸カドカワ』2017年8月号 ※文庫化の際に収録
不穏度半端ない。
■モグラハウスの扉 単行本書き下ろし
ズレた中年女性モノ、と思いきや、語り手自身もまたやはりどこかズレていて、「一緒に行きます」と言うが、さて彼女らの駆ける先の未来はどんなものか……。
少し前に王谷晶「完璧じゃない、あたしたち」を読んだ。
全っ然ベクトルが異なる作品なので並べて論じる人もいないだろうと思うが、本作、仄か~にシスターフッドものと言えなくもない、しかし今村夏子がシスターフッドを取り入れたらこんなに変になるという一例かもしれない。
■父と私の桜尾通り商店街 『文芸カドカワ』2016年9月号
正直このタイトルを見て、あー今村夏子も山田太一路線に行ったのかと少し落胆したが、杞憂だった。
本作は、寂しい、辛い、疎外感たっぷり、なのにユーモラスで、ユーモラスなのに危うい、まごうことなき今村作品だった。
語り手の辛辣さがいちいち面白い。
届けられない「さくらお通信」をごみ置き場で拾って読み込む姿勢が、本当は人が好き/本当は人が嫌い、で揺れているようで、それが劇的に奏功する終盤……大変技巧的だ。
「私だけでも大丈夫ー?」と大きな声を上げた彼女は、そして商店街のあの人やこの人やは、いったいどうなったんだろう……闇「たまこマーケット」。
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桜尾通り商店街のはずれでパン屋を営む父と、
娘の「私」。コッペパンをサンドイッチにして
並べはじめたことで、予想外の評判を呼んでしまい…。
表題作のほか、書籍初収録の「冬の夜」を含む、
全7篇の短篇集。
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著者の文章は簡素なのに、どうしてこんなに引力があるんだろう。登場人物たちの無邪気でからっぽな言動にどきどきと胸騒ぎがする。それがホラーを読んでいるかのようにおもしろい。
白いセーターの女の人のクリスマスにお好み焼きを食べに行くことをたのしみにしているシーンの素朴さが、妙にかなしくてあたたかくて胸に残った。
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ザ今村ワールドが詰まった短編集でした。日常を切り取って描かれた物語なのに、どこかズレている感じが私にはどこか奇妙で怖いような……。どの短編の主人公も「え?気にするところはそこなの?!怖い」と思わず突っ込みたくなります。そんな自分の中の常識と物語の中の人物とのズレというか、歪んだ空気が独特な物語でした。
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タイトルと表紙はほっこり系なのに、あいも変わらず、不穏な空気。
じっと見ないとわからない、ほんの少しだけ狂っている人と、狂ってしまいたい人、世界にはその2種類しかいないような気持ちになってくる(子供を除く)。