- カテゴリ:一般
- 発売日:2022/01/31
- 出版社: 作品社
- サイズ:20cm/393p
- 利用対象:一般
- ISBN:978-4-86182-883-6
- 国内送料無料
紙の本
張赫宙日本語文学選集 仁王洞時代
かつて植民地期朝鮮の作家として日本語で活躍し、現在「世界文学」として再びその作品に注目が集まる張赫宙の文学選。代表作「仁王洞時代」をはじめ、文学的な価値が高い短編およびエ...
張赫宙日本語文学選集 仁王洞時代
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商品説明
かつて植民地期朝鮮の作家として日本語で活躍し、現在「世界文学」として再びその作品に注目が集まる張赫宙の文学選。代表作「仁王洞時代」をはじめ、文学的な価値が高い短編およびエッセイを収録する。【「TRC MARC」の商品解説】
“忘れられた”世界的作家の珠玉文学選
張赫宙は、かつては、魯迅と相並ぶ、アジアを代表する作家と称された。しかし、植民地期朝鮮の作家として日本語で活躍したため、張の文学は戦後社会に帰属先を失い、長い間、漂流してきた。現在、多文化、多言語における「近代」の急速な見直しが進められるなか、「世界文学」としてその作品は再び注目されはじめている。本書は、代表作「仁王洞時代」をはじめ、文学的な価値が高いものを中心に珠玉の短編を編む。
本書の特徴
1:張赫宙の主要作や代表作のうち、前著の『張赫宙日本語作品選』(勉誠出版)に漏れ、戦後において再刊・再録されることがなかった作品を取り上げ、張赫宙文学をより幅広く紹介することを意図した。
2:商業的目的や政治的意図からの選別ではなく、文学的に完成度の高い作品を取り上げ、全体が俯瞰できるように意図した。
3:張赫宙文学には植民地期の実態や実生活を知る資料的な性質の作品が多い。この点も編集の上で考慮した。
4:本書で紹介する作品は1934年から1941年の夏に至るまでのものである。張赫宙が朝鮮大邱で旺盛な作家活動をし、日本に移住して懊悩し、太平洋戦争の渦に巻き込まれる直前までの作品である。【商品解説】
収録作品一覧
仁王洞時代 | 9−100 | |
---|---|---|
十六夜に | 101−129 | |
一日 | 130−149 |
著者紹介
張 赫宙
- 略歴
- 〈張赫宙〉1905〜97年。日本植民地期に活躍した朝鮮人日本語作家。
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紙の本
勉誠出版の本の「続編」?
2022/02/03 22:49
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:オタク。 - この投稿者のレビュー一覧を見る
勉誠出版から出ていた「張赫宙日本語文学選」と同じ人達が編者となっている本だが、勉誠出版の本が「餓鬼道」や「追はれる人々」のようなプロレタリア文学の影響を受けた初期の作品が主だが、この本はその次の時期の作品を収録している。その時期の作品について張赫宙本人が「嵐の詩」で同胞から否定的に見られた事を書いているから日本人向けの作品だったとしても、東亜日報で3回、連載したというから、それ相応の需要はあった事になる。
「親日」的な文章は除外する事にしていたようだが、「朝鮮の知識人に訴ふ」を読んでみたかった。
勉誠出版の本が出る前に、ゆまに書房から戦時下の植民地出身の作家が日本語で書いた作品群の復刻版が出た時に張赫宙の作品も復刻されたが、勉誠出版の本が出てから今回の本の間で彼の作品で単行本化されたのは復刻版ではなく新組みで出た「李王家悲史 秘苑の花」やゆまに書房から復刻版が1冊出て、集英社の「戦争×文学」などに「岩本志願兵」と「眼」が収録されたくらいだろうか?
今回の本に「春香伝」に収録された「憂愁人生」が収録されている。金史良の「光の中に」とプロットが似ているのもあって、金史良と「光の中に」を持ち上げる為に言及された文章を読んだ記憶があるが、当の「憂愁人生」を読める機会など少なかっただろう。今は逆に、かつては北朝鮮で発表された作品の翻訳も収録した全集まで出ていた金史良の作品が新本で読める機会は限りなく少ないし、彼の研究書や伝記も出ていないはずだ。
昭和20年までに「内地」で活躍していたり、有名だったりした朝鮮人の文化人で、言及される機会が多かったのは東京帝大卒という超エリートで昭和20年に延安に行って、仁川上陸作戦で朝鮮人民軍が敗走した時に行方不明になったという「幸運」が幸いした面がある金史良を除くと大韓民国を選んだ金素雲だけだった時期がある。張赫宙は日本人女性と結婚して日本に帰化した人物として「親日派」としてしか言及されず、崔承喜や永田絃次郎(金永吉)は北朝鮮で粛清されたから触れる事自体がタブー視された事に気がついても嬉しくない。
「朝鮮近代の知日派作家、苦闘の歴史」で熱を込めて言及されている「嗚呼朝鮮」のような張赫宙が帰化する前後に書いた朝鮮戦争ものが新本で読めるようになるだろうか?何でも韓国で「嗚呼朝鮮」と「無窮花」の韓国語訳が出ているというから需要があるようだ。「秘苑の花」が英王李垠の半生を自分自身の分身として「朝鮮はどう生きたらいいのだろうか」と同時代の故国を書いたように、何故、故国を捨てて妻の国である日本に帰化した人物が朝鮮戦争を題材にしたのだろうか?初期の頃の筆致で作品を書いていたら、おそらく張赫宙はいい作品を残していただろう、と思えてくるぐらいだ。