紙の本
男どもをコテンパンに
2022/05/13 20:26
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:咲耶子 - この投稿者のレビュー一覧を見る
文藝春秋の編集者、メチャメチャこき下ろされてますが、大丈夫ですか?ww
新人賞をとったけど次作が書けない新人作家、時代に取り残された昭和ロマンの大御所作家の悲哀、ナイスミドルのつもりで空回りする男などなど、いろんな人間模様をおかしく描きながら、男女の社会的地位の歪みを浮き彫りにしていきます。
そして、コテンパンにされた男たちが取り残されるのだ。
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菊池寛に始まり菊池寛に終わる短編集(連作に非ず)。
日常のようでちょっとずつ不思議な世界。
[図書館·初読·5月13日読了]
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どうしてこんなに可愛い、おとぎ話のような表紙絵なのか考える。
女の子らしい世界?
同一のテーマでまとめられた短編集というのではなく、逆にとてもバラエティーに富んでいる。
そして、女性はみんな頑張っている。
一作目を読み始め、菊池寛の銅像がしゃべる?何これ、ファンタジー?ついて行けるかな・・・と思ってしまったが、菊池寛は距離感のちょうどいいおっさんであった。
男が女に何か与えた時、見返りを求める、求めない、どっち?
女性が頑張っているお話、と書いたが、登場する男たちを観察して比べてみても面白そうである。
女は男が所有するもの、と思っている男どもの世界がガラガラ崩れていく瞬間が面白い。
『Come Come Kan !!』
石頭の担当編集者くんも、個人的には嫌いなタイプではないが。
『渚ホテルで会いましょう』
女性に本気でロマンを求めている、不倫小説で一世を風靡した老小説家と、老舗ホテルに子連れで宿泊するファミレス店長のパパ。
『勇者タケルと魔法の国のプリンセス』
この男だけは・・・キモい
『エルゴと不倫鮨』
ちょっと金のある男が不倫相手を連れ込む、会員制のイタリアン鮨屋。
そこに、抱っこ紐で赤ん坊を連れた女が乗り込んできた。
「エルゴ」というのはハワイ発祥のベビー用品ブランド。
この女性の食べっぷり飲みっぷりが、素晴らしい。
こちらまで血の巡りが良くなってくる。
『立っている者は舅でも使え』
このお舅さん、すてき。
『あしみじおじさん』
少女小説は子供の頃たくさん読んだ。
女の子たちが幸せになるのがうれしく、援助してくれるお金持ちをいい人だと思った。
素直な読者であった(笑)
『アパート一階はカフェー』
同潤会大塚女子アパート。
高収入の「職業婦人」たちが住んだ。
その一階に、女性が一人でコーヒーを飲めるような居場所をと、女性三人がカフェーを開く。
菊池寛が出資してくれた。
仕事に打ち込んだり、結婚しなかったりで自立している女性に対する、男たちの発言に、自分が若かった頃を思い出す。
これは昭和初期のお話だが、昭和末期も、男どもの女を見る目は全く変わらなかった。
「男のものになろうとしない」女に対して、病気なんじゃない?どこか欠陥があるんじゃない?と噂する、あるいは面と向かって言う。
「病気」や「欠陥」は性的なことを意味している。
女性問題もあったかもしれないがそれは別として、男女問わず、頑張る若い人を支援していた菊池寛は、なかなかありがたき存在だったようだ。
そして、女の敵は女とよく言われるが、それは男の支配する世界で生きようとする場合である。
男に支配されずに生きようと思う時、やはり女の味方は女しかいないと思うのだ。
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柚木麻子のついでにジェントルマンを読みました。短編集ですが、どれも面白かったです。文藝春秋から出ているのですが、創設者が菊池寛で芥川賞や直木賞なども作り、直木賞の直木三十五も初めて知りました
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【収録作品】Come Come Kan‼/渚ホテルで会いましょう/勇者タケルと魔法の国のプリンセス/エルゴと不倫鮨/立っている者は舅でも使え/あしみじおじさん/アパート一階はカフェー
分かるし、刺さる…… 救われるかは?
「勇者タケル…」はよく分からないというか、ちょっと気持ち悪い。あとはスカッとするけど、痛みは残る。「アパート一階は…」は、先人たちの生きざまに申し訳なくなる。
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読後、菊池寛についてめっちゃ調べちゃった人は私だけではないはず…笑。
寿司の話どこかのアンソロジーとかで読んだ気がするのだけど思い出せない…なんだったっけなぁー。柚木さんお寿司好きなのかな。
どの話も読みやすく、娯楽としての読書としておすすめ
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「Come Come Kan!!」のちょっとぶっ飛び
気味の女性作家や「渚ホテルで会いましょう」
に出てきたベストセラー作家が以前に読んだ
「私にふさわしいホテル」を思い出しました。
なかなか個性のある作家たちでしたが
「渚ホテルで会いましょう」は人って
置かれた立場でこうも考えが違うのかと
思ったし話の最後のオチのもよかった。
「勇者タケルと魔法の国のプリンセス」の
話はぶっ飛びすぎてちょっと理解が
ついていけなかったww。
「エルゴと不倫鮨」のスカッと感はよかった!
女性たちが我に返っていくというか、
あれっ?隣のおじさん・・・ダサい?
なんて思わされちゃうくらいエルゴ紐で
乳児を抱いた女性の無双っぷりが面白かった。
その他の話も面白かったが菊池寛をなんで
こんなに押してるのかと思ったら出版社が
文藝春秋だったんですね・・・
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菊池寛が他の男たちとちがうのは○○なところ…。
なぜか微妙に社会と歯車の噛み合わない人々の
もどかしさを、しなやかな筆致とユーモアで
軽やかに飛び越えていく短篇集。全7編を収録。
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短編集の2つ目の話はすごく重要で、短編同士が関連するのかしないのか?の見極めのための位置づけとなる作品で、独立した短編集であることがわかると、ちょっと残念に思う、可哀そうな立場でもある。
そんな中で「渚ホテルで会いましょう」などと、すっごく良いタイトルを付けられた短編で、普通の話だとショックも大きく・・・
すみません、嫌な読者で。
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短編集。7本中4本面白かった。
文藝春秋のサロンにいたら、作家に菊池寛の銅像が話しかけてくる「Come Come Kan」
女をものにするためよく利用している創作寿司屋に、場違いな女の客がやって来た「エルゴと不倫鮨」
離婚してシングルマザーとして暮らしていたら、義父がやって来て一緒に暮らしたいと言う「立ってる者は舅でも使え」
大人になってから「アルプスの少女ハイジ」や「若草物語」にハマり、そこから学習した女性「あしみじおじさん」
戦前同潤会の大塚のアパートで暮らす女性たち「アパート一階はカフェ」
短編はラストに意外なひねりがあったりするけど、どちらかと言えば設定やプロセスを楽しむタイプだと思う。
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柚木麻子の本を読むのは7冊目で、結構読んでいる方だが、この作品は面白いと思えなかった。作者はフェミニストなのかな?とにかく古い価値観の男性しか出てこず(「立っている者は舅でも使え」を除く)、逆に今どきそんな人いるか?という感じだった。ちょっと極端で、単行本全体としてバランスが取れていないように思った。
「勇者タケルと魔法の国のプリンセス」は、姫=か弱くて守られる存在じゃないよってことが言いたいのかな?だとしたら伝え方が下手だし、終わり方が唐突で意味がわからなかった。テーマは面白いのでもっと伝え方がありそう。
「エルゴと不倫鮨」では子連れママが久しぶりに寿司と酒を満喫する様子が描かれているが、高級寿司店に行く必要あるかな?他の客は寿司そのものだけじゃなく、素敵な空間と接客にお金を払っているのだから、そんな場所に子連れボサ頭が来たら普通にイラつくと思う。このママは授乳中も寿司を控えていたみたいだけど、妊娠中は分かるが授乳中に寿司控えるって常識か?自分も今まさに授乳中だが、自分含め周囲にもそういう人はいないので、共感できなかった。好きなものを我慢してしんどい気持ちはよく分かるが、自分なら子供を預けて友人とゆっくり久々の高級寿司を楽しむ(実際にそうした)。
これらの短編が「オール讀物」に掲載されていたからか、出版あるあるや小説誌関連の小話が盛り込まれているが、こちらは単行本で読んでいるのでノリについていけず、全体的に苦しい読書体験だった。
柚木麻子の女性のドロドロした作品が好きなので、そういった作品が出たらまた読んでみたいとは思う。
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【なぜ、私たちは社会と噛み合わないの?】なぜか微妙に社会と歯車の噛み合わない人々のもどかしさを、しなやかな筆致とユーモアで軽やかに飛び越えていく短編集。
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ジェンダーにまつわる不自由さを軽やかに描く7つの短編。
文藝春秋社へのサービスか、最初と最後に作品に登場する菊池寛キャラクターが実にいい。
「渚ホテルで会いましょう」は、老作家の時代錯誤で独りよがりの思い込みが覆るラストが爽快。
なんと言っても秀逸なのは「エルゴと不倫鮨」で、不倫男たちのとことん身勝手な思い上がりが、1人の卒乳母に鮮やかに斬り捨てられ、若い女たちも目覚めて自分の足で立ち去っていく気持ちよさ。
知らず知らずのうちに誰かが決めた「枠」に囚われ、自らを生きづらくしている女性たちに、「自由でいいんだよ」と軽やかに囁きかけてくれるような作品でした。
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不思議なお話もあったけれど、どれも面白く読めました。登場する男性が基本あまりよろしくないあたり、タイトルのギャップを感じてしまいました。
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かわいい表紙、ジャケ買いされた方もいるだろうなと思った。私は図書館本(すみません)。特に「エルゴと不倫鮨」がよかった。最初はそれはちょっと場違いなのでは…と私も思ったけれど。その人物がハッキリキッパリしていて途中から逆に気持ちいいなと。それにその気持ちわかるなぁと。妊娠中や授乳中は気にかける事ばかりだし、私の場合は子どもが大きくなっても夜に外食する事はほとんどなかったし(個人的に)。「立っている者は甥でも使え」はなんとも不思議な関係だった。うーん、私には無理だなぁ。