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  • カテゴリ:一般
  • 発売日:2022/04/12
  • 出版社: みすず書房
  • サイズ:20cm/866p
  • 利用対象:一般
  • ISBN:978-4-622-09078-6
  • 国内送料無料

紙の本

黄金虫変奏曲

著者 リチャード・パワーズ (著),森慎一郎 (訳),若島正 (訳)

遺伝暗号の解読に迫る若き科学者レスラー。4半世紀後、なぜか科学界から忽然と姿を消した彼と出会った若い男女は、その人柄に惹かれ、彼の人生を暗号のように解読しようとし…。現代...

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黄金虫変奏曲

税込 5,720 52pt

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商品説明

遺伝暗号の解読に迫る若き科学者レスラー。4半世紀後、なぜか科学界から忽然と姿を消した彼と出会った若い男女は、その人柄に惹かれ、彼の人生を暗号のように解読しようとし…。現代アメリカ文学の鬼才パワーズの初期長篇。【「TRC MARC」の商品解説】

たった四つの文字から「畏るべき豊穣」を生む遺伝情報と、バッハのゴルトベルク変奏曲。その二つの構造の不思議なまでの符合を鋳型にして、精巧なロマンスとサスペンスが紡ぎ出される。
1957年、遺伝暗号の解読を目指す若き生化学者スチュアート・レスラーに、一人の女性がゴルトベルク変奏曲のレコードを手渡す。25年後、公立図書館の司書ジャン・オデイは、魅力的な青年フランク・トッドから、奇妙なリサーチの依頼を受ける。夜ごとゴルトベルクを聴きながら凡庸なコンピュータ・アルゴリズムのお守りをしている、恐ろしく知的で孤独な同僚の正体を調べたい、と。長い時を隔てて存在する二組の恋愛が、互いを反復し、変奏しながら二重螺旋のように絡み合う。なぜレスラーは20世紀生物学の最大の発見に肉薄しながら、突如歴史から消えたのか? その謎が解かれていくとともに、芸術、言語、音楽、愛、そして生命の継承の意味までを巻き込んだ語りが縦横に拡がってゆく。
34歳の若きパワーズが持てるすべてを注ぎ込み、小説の四隅を押し広げようとした長編第3作にして、全著作のなかでも屈指のマスターピース。Time誌ブック・オブ・ザ・イヤー(1991)、Publishers Weekly誌ベスト・ブックス(1991)などに選出、全米批評家協会賞(1991)最終候補作。【商品解説】

著者紹介

リチャード・パワーズ

略歴
〈リチャード・パワーズ〉1957年アメリカ合衆国生まれ。イリノイ大学で修士号を取得。「エコー・メイカー」で全米図書賞、「オーバーストーリー」でピューリッツァー賞を受賞。ほかの著書に「オルフェオ」など。

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みんなのレビュー7件

みんなの評価4.4

評価内訳

  • 星 5 (3件)
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紙の本

全てはゴルトベルク変奏曲から始まった

2023/01/30 10:54

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:kapa - この投稿者のレビュー一覧を見る

カバーにJ.S.バッハJSBの「ゴルトベルク変奏曲」楽譜、そしてGoldbergをパロったGold Bugを使ったポーの推理小説のタイトルを思わせる「黄金虫変奏曲」。ゴルトベルク演奏・解釈史に衝撃を与えたグレン・グールド生誕90年没後40年を記念した出版と思って、著者の前知識もなく、読んでみた。
本文二段850頁、訳者の忠告どおり「少し余分に覚悟が、忍耐が、気合が必要かもしれない」であった。読了後完読したぞ、と思わずドヤ顔になった。後で知ったが、現代アメリカ文学の鬼才パワーズ1991年長篇。
進化と遺伝、言語と翻訳、情報とコンピューター、歴史、音楽、美術と多種多様なテーマがてんこ盛りの小説で、それが「余裕・覚悟・忍耐」が必要な理由。そしてその中核は、カバーに使われている二重螺旋構造のDNAの「遺伝暗号」(本書では「コード化問題」)の解読と、アリア主題のバスをもとに複雑な変奏曲30曲が展開するゴルトベルクの理解であり、両者は似たような世界として扱われる。1950年代科学界の大問題であった「生命の設計図」と言われるDNA二重螺旋上に並ぶアデニンA・チミンT・グアニンG・シトシンCの四種類の塩基の組み合わせが形づくる長大な暗号文が何を語り、いかにして生命を設計していくか、という「遺伝暗号」解読がこの物語の起点。
本書はゴルトベルク」をBGMにして読むことがお薦めだが、DNAの深い知識は必要ない。「暗号」という点で共通する構造を持つDNAと「数秘術」的暗号が散りばめられているJSBの音楽は、物語の骨格にすぎない(最初と最後はアリアで真ん中に30章の構成は、ゴルトベルクと同じ)。簡単にいうと、時代の異なる二組の男女のロマンス、そして1957年遺伝暗号解読の大発見に迫りながら、突然舞台から降り、今では夜勤でコンピューターのデータ保守をしている元生化学者がなぜそうなったのか、というミステリが絡み合った人間の物語として読めばよいのである。
人間、生命とはなにか、を突き詰めた時、現代科学の答えはATGC。世界は全てこのATGCの連なりから生まれた多種多様な生物が群れ集う場所。本書は人間とは何かを追求する小説なのだ。しかしATGCと我々の世界を物語でつなぐために、登場人物の人間ドラマに、分子遺伝学、進化論、情報科学、音楽、文学、歴史、絵画などの知と想像力と言葉で埋める必要があったのだ。
遺伝学で世界を語り、音楽で遺伝を語り、コンピューターで音楽を知り、美術で地政学を語る、などといった専門用語のやり取りは、音楽さながら即興的に四方八方に奇抜な比喩が繰り出されていく。その中を飛び回る著者/語り手の頭の運動神経がすごい。読む側は、理解しようとするのではなく、なるべく大きく構えて必至に食らいついていくことしかない。それでもついていけない場合にはただ戸惑うこと、そして驚くことしかない。グールドへのオマージュではないが、作中1956年録音、そして遺作の1982年録音が登場する。この間が生化学者の謎の人生と符合している。また同僚の経済的困窮を救うために、DNAアルゴリスム解読経験を活かして、人事管理システムをハッキングして今でいうウィルス、システム「バグ」を入れ込む話もあり、「黄金虫」も回収されたことになる。読み終えてよく考え抜かれたタイトルであることがわかった。
「ゴルトベルク」パロディCD二題。英国作曲家ロビン・ホロウェイ「金ピカ・ゴールトベルクGilded Goldbergs」Hyperion盤、オリジナルとジャズ風編曲のコラポ、「金色-山-作品GOLD. BERG. WERK」墺Preiser盤。映画はアリア主題が使われた『地球が静止する日』(2008)DNAはどこからきたのヒントは『ミッション・トゥ・マーズ』(2000)

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2022/05/02 22:13

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2022/07/01 17:31

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2022/07/28 10:08

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2022/09/21 10:22

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2023/05/21 13:27

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2023/03/20 22:39

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