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誠実なレポルタージュ
2022/05/08 20:55
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投稿者:しょひょう - この投稿者のレビュー一覧を見る
みずほ銀行のシステム障害についてのレポート。
金融機関のシステムに係わった経験があったのと、システム障害が起きていた頃に前作(MINORIをかなり持ち上げた内容)を複雑な思いで読んでいたのだが、その日経コンピュータが障害をどう評価しているのかにも興味があって通読。
読了した感想としては、かなり良かった。
事実を事実とし、原因分析もステレオタイプを排して地に足が着いていると感じた。
誠実な叙述に好感を持てた。読んでよかった。
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みずほ銀行の一連の障害についてとてもわかりやすく纏められている本。自分の職業柄、涙と冷や汗なくしては読み通せなかった……
特に2022年2月の大障害(ATMにカードが吸い込まれ続けたやつ)については、事前の開発時にも運用手順でもたくさんの「たら、れば(防げたのに)」網があったのに、全て突破してしまった結果なんだなと。人の振り見て我が振り直せ。
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日経コンピュータは"みずほ銀行システム統合、苦闘の19年史 史上最大のITプロジェクト「3度目の正直」"を出版してしまったという黒歴史も踏み台に、120%の検証報告書を見事に作りあげて出してきました。
「マルチベンダーが必ずしも悪いわけではない」とはあるけど、やっぱりマルチベンダーは悪だよね。
でも根本原因は第一勧銀と富士の間で「どっちのシステムが良いか」を現場でベンダーも巻き込んで延々と議論させた挙句に政治的決着で処理した当時の上層部じゃないか?というのが感想。
にしても通帳やカードを飲み込んでも吐き出せない仕様のATMとか英国かよ!?と。
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「SREが再生の第一歩」って言っているけど、そういうシステム的なところだけに問題があるわけではないと思う。
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システム開発に携わる立場から見ると、要件定義やプロジェクト進行のみならず、リリース後の監視・運用保守体制がいかに重要であるか痛いほど伝わる事例集となっていた。
システム障害の事後検証報告ということもあり、IT業界の人間でなければ文中に出てくる用語や仕組みの理解を深めるのは難しいものと思われる。
しかしながら、本書では障害発生時における顧客対応・危機管理面において、みずほ銀行の組織態勢不備が大きな課題として挙げられている点にも注目したい。
「積極的に声を上げることでかえって責任問題となるリスクをとるよりも、自らの持ち場でやれることをやっていたといえるための行動をとる方が、組織内の行動として合理的な選択になってしまう」(システム障害特別調査委員会の調査報告書より)
このような悪しき企業風土は、一定の規模感をもった組織であれば、どこでも発生しうる可能性は多分にあるだろう。日頃から部署間の連携やコミュニケーションをスムーズに行える体制づくりをすべきだということを、改めて思い知らされた一冊である。
失敗から学ぶ文化の醸成は、もはやどの組織でも必要不可欠な要素となっている。本ポストモーテムの知見が広く共有されることで、自らシステムの課題発見や解決方法の模索ができる人材がひとりでも多く育成されることを願っている。
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しっかりと中立的に書かれている印象。マルチベンダやレガシーさが障害を呼んだのではなく、システム運用やシステムへの軽視が根底ということがよくわかった。
システム技術のリテラシーや勘所がある人が企業トップにいないとダメだと思う、、システムは利用するのは簡単だが、とても複雑でそれを開発運用できる人材はポコポコいるわけではない、ということを経営者たちは本書を読んで理解するべきだと思う。
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最近の仕事で、みずほ総研(MHIR)の方と一緒に働いているのですが。
有名なみずほFGの各障害が詳細に記載されていて
その原因追及や、根本原因などの分析が秀逸
SEとして読んでいて、よく理解できて、
身につまされる内容。
さらに、今の関連しているPJTと悪い部分が非常に
よく似ている。
今回のPJTでも、なんなりの障害は発生しそうである。
関連者に読んでほしいと思われます。
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2020年にみずほ銀行システム統合史を上梓した日経コンピュータが、2021年から起こったみずほ銀行のシステムトラブルを整理した一冊。IT業界にみをおくものとしては読んでいて居た堪れなくなってしまうが、前書よりも価値のある一冊と言える。
みずほで起こったトラブルを淡々とインシデント分析を繰り返し、問題の本質に迫ろうとしている。往々にして、みずほのトラブルは三行の体制によるガバナンスの効かなさが生み出したものと語られがちだが(場合によってはドロドロの情念を絡めた読み物として)、情実的な部分を排除してあくまでシステム的観点から分析している。
この書は、みずほのトラブルに学ぶことはもちろん、インシデント分析の実施の仕方についても深い見識を与えてくれる。
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20220519-0604 多発するみずほのシステムトラブルを、日経コンピュータ社員も被害にあった当日のドキュメンタリーが生々しい。こういう記憶は(事故や災害でも)日々薄れていくものだから、アーカイブとして残していく必要性を痛感した(だからこそ「動かないコンピュータ」の連載は続くのだろう。)糾弾・告発からは一歩引いて冷静に分析している。報告書って感じ。
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2019年に満を持してリリースされた新システムが2021年2月からの1年間で計11回のシステム障害を引き起こしてしまったみずほ銀行。その事後検証報告からの学びを目的として書かれた一冊。前著に当たる『みずほ銀行システム統合、苦闘の19年史』がプロジェクトの進め方の話が中心だったのに対して本書はかなり技術寄りの内容。非エンジニア職の人にはハードルが高いと思われる。その分エンジニアには多くの学びを提供してくれる。また、後世に残す記録としても重要。冷笑・嘲笑でネタ的に消費するのではなく(みずほ銀行を笑えるITエンジニアは真に優秀か超の付く能天気のどちらかだろう)自身の担当システムで本質的に同じ原因の問題が起きないか考えながらじっくり読みたい。
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2021/2-2022/2の11回にわたるシステム障害について書かれている。
面白かったのは2・4・5章(≒障害発生回数)。
事実が書かれていることと、内部精通者がいるのか?というくらいに詳しく書かれていて面白い。
銀行システムを担当するエンジニアは全員読んだほうが良い良書。逆に、銀行システムを担当していても、システムを触ったことがない担当者だと、描いてある内容でわからない部分は多いような気がする。
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ー 金融庁はこうしたシステム上やガバナンス上の問題点が発生する「真因」として、「①システムに係るリスクと専門性の軽視」「② IT現場の実態軽視」「③顧客影響に対する感度の欠如、営業現場の実態軽視」「④言うべきことを言わない、言われたことだけしかしない姿勢」があると指摘する。
この中でひときわ目を引くのは「④言うべきことを言わない、言われたことだけしかしない姿勢」だ。金融庁は具体的な例を2つ挙げている。1つはみずほ銀行でシステム障害が発生した際、経営トップが障害の第一報を受けても、具体的な指示を出さなかったことが問題だとした。もう1つはみずほFGの取締役会でシステム障害について提言や意見が述べられても、執行部門がそうした提言や意見に基づいて具体的な行動をとらなかったことが問題だとした。 ー
なぜ、12ヶ月で11回のシステム障害が発生したのか。原因、背景、真因を徹底的に検証した作品。
15個の「なぜ」とか、読んでいて止まらない面白さ。知的興奮を呼び起こす作品。
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専門用語も多く、システム素人の私には難しいところもあったが、システム障害の全体像・問題点が分かりやすく整理されている。いくらみずほFG・みずほ銀行が対外公表している資料を読み込んでも、理解はできないだろうが、本書のおかげですっきり分かった。
旧3行のシステム駆け引きから、すでに不幸が始まっており、何度も障害を繰り返しながらも抜本的なアクションがとられなかった。唯我独尊で、他のメガバンクや海外の動向から学ぶことはあろうに、忖度や馴れ合いの結果、不確実性を増していったということだろう。
私が一昨年まで暮らしたシンガポールのネットバンクは、UIが良く統一感があり、大変利用しやすい。一方、みずほ銀行(だけでなく他の邦銀)は、非常に操作しづらい。みずほの歴史は日本の停滞の20年と重なり合う。
本書「おわりに」で紹介されている、みずほの窓口でのやりとり。令和の時代に昭和を引きずり、一部IT機器が出てきたかと思えば、iPadではなくMINORIタブレット。。。そんなみずほもGoogleと提携したとのこと。しがらみをかなぐり捨てて、飛躍してほしい。(一口座保有者として希望。)
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みずほ銀行で1年に11回発生したシステム障害の内容、原因と再発防止策がまとまった一冊。冒頭から、読んでいると具合が悪くなる大規模障害の話題で、五千件を超えるカード・通帳がATMに取り込まれていく経緯が緊迫感あふれる様子で描かれる。
直近の大規模システム改修に問題があったというより、運用手順が不明確、組織の連携が遅い、障害レベルを人が判断…など障害発生後の対応が後手に回ったことが障害影響を拡大させたことが分かる。
特に恐ろしかったのが、為替送金の取引遅延障害で、遅延を取り戻すためにAML(資金洗浄防止)システムを省略しても問題ないと最高コンプラ責任者が判断し省略した結果、外為法違反した一件。現場だけではなくコンプラ責任者がこの判断をしたということで、他の業務でもちゃんと法令遵守しているか疑いたくなる。
100を超える再発防止策が形骸化しないことを願う。
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みずほ銀行のシステム障害に関する検証結果をまとめたもの。内容は読み応えあってエンジニアの自分にはとても役に立つ内容だった。
ただそれ以前に、みずほ銀行ダメだこりゃ。