越境を経験する デンマーク公共図書館と移民サービス

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早くから移民の受け入れと図書館サービスを行ってきたデンマークの公共図書館。デンマークのコミュニティにおいて、公共図書館が移民を対象に提供するサービスを移民サービスとして取り上げ、公共図書館が担う役割を、3者（公共図書館サービス提供者、移民の背景を持つ図書館職員、移民の背景を持つ図書館利用者）に分け、解明することを目的とした図書。
結論として、移民は公共図書館の資料やサービス、イベントによって、移民の出身者会と移民先の社会の越境、移民先の社会と移民コミュニティの越境、異郷出身者同士の越境を経験し、多様な生き方を支えられていることが判明した。
とはいえ予算は厳しく、デンマークの移民サービスは資料の充実からプログラムの充実に移行している。面白いと思ったのは移民の出身社会では、教育歴が公共図書館利用を妨げる障壁として存在していたが、国境を越える経験によって図書館利用の障壁を取り外す契機となっていたところ。公共図書館は「知りたい」と思えばだれにでも門は開かれているもの…、何かのヒントになりそうというか、面白い。