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商品説明
【歴程賞(第60回)】いつまでも 月が現れない日に 枕もとに落ちていた 蟬の翅は もう返事を書けないひとからの手紙 かすれた消印に ふれると いちどだけ訪れた 南の葡萄畑の匂いがした(「消印」より) 詩集。【「TRC MARC」の商品解説】
通りすぎてゆく
夢から覚めたあとにはきまって、母から離れ、うまれてはじめてひとりで歩いた朝の小道を思いだします。つもったばかりの粉ゆきのうえにはちいさな生きものの足跡。小鳥、野兎、栗鼠、子狐。
(「ひとりあるき」)
みずからの居場所などはじめからもたずにてん、てん、と、かりそめの読点のように、非情な月日を通りぬけてゆくために。祈りのような歩行。5年ぶりの新詩集。組版・装幀=片桐寿子、装画=サカモトセイジ【商品解説】
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