紙の本
江戸を舞台にした美味しい作品ばかり
2023/03/31 20:52
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投稿者:a - この投稿者のレビュー一覧を見る
人情ものの時代小説アンソロジーのシリーズもので、どうも今作は食を題材にしたもので、第2弾という位置づけらしいです(第1弾は「まんぷく」)。
紙の本
食には人生がある
2023/02/18 14:55
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投稿者:トマト - この投稿者のレビュー一覧を見る
アンソロジーということで、いろいろな作家さんを知る機会にもなります。
今まで手にしてこなかった作家さんでも、自分と波長が合い、新しくファンになることもあります。その面白みがあります。
泣いても笑っても人はお腹がすく。どうせなら美味いものを食べたい。気が滅入った時でも、美味しいものを食べると「もう少し頑張ってみようかな」となるときもある。
やはり、人の体はその人が食べたものからできているのだな、と思える。
そして、いろいろな人生が絡んでくると物語になるのだな、とこの本を読んでいて感じました。
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今回もどの作品も面白かったです。
その中でもミステリ作家でもある近藤史恵さんの『猪鍋』が気に入っています。こちらはシリーズものだそうなので、次に本屋さんへ行ったときに探してみようかなと思っています(´∀`*)ウフフ
南町奉行所定町廻り同心の玉島千蔭。それなりにいい年なのに、女性の影など全くない人物で、己が見合いした相手が父親の後妻収まる始末。
その後妻・お駒がめでたく懐妊。だが、悪阻が酷く、ほとんど食べることが出来なくなってしまった。困った千蔭は知り合いの役者である水木巴之丞に相談。彼が紹介してくれたのは、『乃の字屋』という猪等の肉を食べさせる店だった。
ですが、お駒も家族も全員、料理に満足して、お駒の悪阻もよくなってくるのですが……。
その翌日、『乃の字屋』で刃傷沙汰が起り、そして食中毒が起ってしまうのです。
そのわけは……。
ミステリと美味って相性がいいなぁと思いながら読んでました。そして千蔭の新たな見合い相手が面白い人物で(笑) 楽しく読ませていただきました。
五十嵐佳子さんは初読みの方でしたが、この方の『桜ほろほろ』も素敵な作品でした。大店の薬種問屋の娘だったさゆは旗本の池田家の奥方に仕えて、五十五歳の時に退いて実家へ戻るのですが、大事にしてくれるけれども、毎日が退屈。
そんな彼女は旧友に出会ったことで茶屋『蒲公英』をやることに。値段も安くて、美味しいお団子もつくという店は繫盛するのですが、ある時、彼女は漆器屋の『光風堂』のおかみ・きよと出会うのであるが、口うるさい姑と夫に死なれた切なさを抱えたきよにさゆが差し出したものは……。
この話を読んで、人には誰にもこうした料理が一品でもあるよねとしみじみ。
そして白玉粉でつくるお団子のおいしそうなこと! 作ればいいんですけどね、手間のかかる料理は今はつくりたくなーい!
だれか食べさせてくれないかぁとか、思いながら本を閉じたのでした。
ごちそうさまでした、どの作品も大変おいしゅうございました(*^^*)
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江戸の食生活を知りたくて読んでみたけど
そんなことはあまり書いてなくて
言葉の違いとか
意味とか理解するのに時間がかかった。
上方訛りならまだしも
江戸の役職とか、
分かりにくくて
詰まった。
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何となくそそられて手に取りましたが、時代小説アンソロジー、シリーズになっているんですね。いろんな作家さんのぎゅっと詰まった心づくしが味わえて満腹になれました。
まかてさんの「福袋」だけどこかで読んだ記憶がありましたが、その他は初見。五十嵐佳子さんの「桜ほろほろ」が沁みる。近藤史恵さんの「猪鍋」もユニークな家族構成で好き。
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福袋:朝井まかて/びっくり水:中島久枝/猪鍋:近藤史恵
桜ほろほろ:五十嵐佳子/糸吉の恋:宮部みゆき
はらぺこにはうまいもの。その周りには上手い話。美味しいものと面白い読み物があれば、それだけで嬉しいのさ
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勿論どれも面白かったが、企画ものの弱さか寄せ集め&中途半端感が否めない。宮部みゆきと朝井まかての納得の安定感。近藤史恵作は登場人物の組立がピカイチだったが(「はらぺこ」企画だから当たり前なのだが)食べ物に絡む謎解きが中心になってしまって、唐突な終わり方がとても勿体ない。
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桜ほろほろ…五十嵐佳子
初めて読んだ作家さんだと思う。良かったです。他の本を探して読んで見ようかな。
猪鍋…近藤史恵
糸吉の恋…宮部みゆき
どちらも面白かった。ちょっとミステリーっぽいところが好きです。
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女性作家 5人の時代小説!
3人は、毎度、楽しみに読んでいた作家!
新しく読む中島久枝氏と五十嵐佳子氏!
題名の『はらぺこ』から、料理にまつわる話と思いながら、本の扉を開ける!
「福袋」これは、以前読んだことがある!
しかし、主人公のお壱与。
食べっぷりに惚れ惚れしてしまう描き方!
本当に、テレビ番組でも、食べ方や箸の持ち方も綺麗な所作で、顔色一つ変えないで、食している姿が、脳裏に浮かぶ!
そこに、出来の悪い弟。
仕事もせずに、妻帯者なのに、他の女に現を抜かす。
姉の方が、自分の培った家の味、香り、味覚を武器に、自分で、人生を切り開こうとしている点が、小気味よい感じであった。再読。
「びっくり水」
一昔前、料理番組を見ていた時に、びっくり水を入れて!と言われた若い方が、蓋を取り「わっ!」と、叫んでびっくりした!
びっくり水の事を知らなかった見たいで、後で笑い話みたいと、感じた!
でも、これを読んだ人も、知っていない人もいるかも…と、老婆心ながら思った次第である。
この話も、出来の悪い男。
見栄えも良い、仕事の和菓子の餡子を炊くのも上手いのに、気儘で、余り仕事もせず、外で遊んでいる。
家庭で、ぎりぎりの生活になると、仕事をするけど。
それでいて、外面が、良いのだろう、家の蓄えも、他人に貸してやる。
子供の事も全然気にしてないわけでないから、このような男の相手は大変だと思いながら、読み終わって何が書きたかったのだろうと、思ってしまった!
「猪鍋」
武士社会、家督相続は、長男。
自分より一回り下の女性が、父と、再婚、そして妊娠!
難しい家系であるが、嫌みも何も無く、おおらかに過ごしている。
そして、つわりの酷くて食の細くなった義理のは母を案じて、猪鍋に連れて行く!
主人公の千蔭の大らかさと、見合い相手のサバサバした対応。
そんな中、この猪鍋の店での秘伝の味にまつわる話が、挿入されて旨い物には、危ない物が、含まれるというおちに!
「さくらほろほろ」
初めて読む作者であるが、風景などの描写が、上手い!そして、さりげなく、祝い膳をする還暦、古希、喜寿、傘寿…の話も、若い方にも、わかるように記載されている。
この当時の 行儀見習いに 武家屋敷に奉公の主人公。
お屋敷に暇を告げ、実家に戻るが、ここでは、皆 優しい人物ばかり。
でも、じっとしていられない主人公
さゆが、始めたお茶と団子の店。
そんな中で、縁で知り合った漆器屋の女将。
故郷の味を、さりげなく出す里の優しさ。
いいねえ!
シリーズ物になって欲しい作品である。
「糸吉の恋」
回向院の茂七のシリーズだった。
岡っ引きの話であるが、好きになった女性が、菜の花畑を見て、その悩みを打ち明けるのだが、…
複雑な事情が、絡んでおり、その女性の精神疾患が、もたらす思い。
糸吉は、ほぐしてやれるのだろうか?
菜の花料理が、登場するが、お浸ししか、口にしたことがない。
菜の花も、見る機会が、少な���なって来たと思いながら、本を閉じた!
再読した本もあったけど、楽しく読んだ一冊である!
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2022年第1刷、PHP研究所のPHP文芸文庫。5編。宮部みゆき『糸吉の恋』元の「初ものがたり」の中では後半の作品。ラストに向けての少し休みの2編のうちの1編だった気が。この作品もそうだが、「はらぺこ」というタイトルなのに、食事、食品が中心になっているのが少ないような気がする。食事を出す店の話とか、豪商とか武家の宴を舞台とした話などがあると思うのだが。ただ『糸吉の恋」を改めて読んで、「きたきた」と屋台の親父を繋ぐ(かもしれない)一言を発見できてよかった。
掲載作:『福袋』朝井まかて、『びっくり水』中島久枝、『猪鍋』近藤史恵、『桜ほろほろ』五十嵐佳子、『糸吉の恋』宮部みゆき、解説:細谷正充、出典:「福袋」(『福袋』講談社文庫)、「びっくり水」(書き下ろし)、「猪鍋」(『寒椿ゆれる 猿若町捕物貼』光文社文庫)、「桜ほろほろ」(書き下ろし)、「糸吉の恋」(『〈完本〉初ものがたり』PHP文芸文庫)
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【収録作品】「福袋」(朝井まかて)/「びっくり水」(中島久枝)/「猪鍋」(近藤史恵)/「桜ほろほろ」(五十嵐佳子)/「糸吉の恋」(宮部みゆき)
「福袋」は『福袋』、「猪鍋」は『寒椿ゆれる 猿若町捕物帳』、「糸吉の恋」は『〈完本〉初ものがたり』からの一篇。「びっくり水」と「桜ほろほろ」は書き下ろし。
新旧取り混ぜたアンソロジー。旧作品は久々に読んで懐かしかった。
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近藤史恵さん、宮部みゆきさんと二大好きな作家さんが収録されていたので手に取りましたらが、どちらも既読作品でした。五十嵐佳子さんは初めて読みました。今度、別の作品を探して読みたくなりました。
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時代小説のアンソロジー
どの話しも読みやすかった
糸吉の恋 宮部みゆきさん
町の色、雰囲気、ほどよいお節介が伝わってくる
描写はさすが
宮部みゆきさん作品のファンにはたまらない
人物も出てきてにんまりした
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何処かで褒めていたのでなんの気無しに手に取ったハズでした。どれも美味しい話なのかなと思いつつ。
佳作揃いでしたが、中でも「猪鍋」は食に絡めたミステリー小説として秀逸。更に「桜ほろほろ」は食に絡めた人情時代小説。越前名物「古沢庵の煮物」を食すシーンで不覚にも泣いてしまいました。
年々涙腺が弱くなっている事は自覚していましたが、まさか沢庵で泣けるとは。
自分に呆れつつ最後まで美味しい時代小説でした。
うーん。「美味美味。」
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出汁は土佐の鰹節、昆布は松前、醤油は銚子の亀長、大根は練馬の産、大納言はたんば、砂糖は琉球の黒、青海苔は浅草、、、
乾物屋の娘お壱与は、不器量で鈍重で、おまけにやっと嫁いださきから「大食い」のため離縁されるという始末であった。唯一の特技「大食い」という特技を活かして、弟のため賞金稼ぎをしていたが、お壱与の食べ方は“食べ物を粗末にする“食べ方ではなく、ひとくちひとくち、産地を言い当てるほどに味わう。
朝井まかて『福袋』
「小豆の一番おいしいところはさ、皮の近くなんだ。鮭だって、皮のところごうまいだろ。それと同じだよ。そのおいしいところを、上手に使っているのが粒あんだ」
中島久枝『びっくり水』
「あの猪鍋が美味しかったのも当然でございますね。あれは食べてはならぬものだったのですから」
河豚と同じで、危ないものは上手いのだ
『猪鍋』近藤史恵
長年女中として武家の料理を取り仕切り、辞したあと、還暦近くなって、一代決心をして、お団子とお茶だけのお店を開いたさゆ。お代は少し高いが、心を込めて蒸したお団子とひとりひとりに合わせたお茶のおもてなしが評判を呼ぶ。
『桜ほろほろ』五十嵐佳子
菜の花の黄色は眩しく、その茎のお浸しはほろ苦い。まるでどうにもならない初恋のよう。
『糸吉の恋』宮部みゆき
見栄えが悪くても癖があっても噛めば噛むほど味のある女。毒“と“美味“が裏腹の人生。そしてそれは“食“と同じ。美味しい、江戸時代小説のアンソロジー。