紙の本
よくぞこの人物を
2024/01/23 16:56
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投稿者:Koukun - この投稿者のレビュー一覧を見る
武家政治の創業者 源頼朝と戦術の天才 源義経 にはさまれた目立たない存在である源範頼 蒲冠者をあえて主人公に取り上げた作者の慧眼に敬意を表したい。歴史ものっぽくない軽い語り口が結構新鮮である。身内や関係者が次々と殺されてしまう鎌倉幕府の内幕を知っているだけに、主人公範頼の悲哀が身にこたえる。ただ気になるのは範頼が義経を評して「雀の体に鳳の軍略がついてしまった」という下りは、司馬遼太郎の「項羽と劉邦」の中で、義経と同じような戦術の天才である韓信を評した言葉とそっくりな点である。
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範頼様は周りの人の気配りや義経への想いとかとても素敵な人だと思います。
小説に出てくる人物がとても生き生きしていて、相手に伝える一言がその後を左右する怖さもあったりと、人間関係や戦の悩みが読んでいて興味深い作品でした。
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義経の行動が可愛いし、頼朝は冷徹だし、範頼様は仲裁や兵糧のこと、義経のフォローなど展開好きでした。
今まで歴史小説は難しいイメージだったのですが、『義経じゃないほうの源平合戦』は喋り言葉や文章が現代風になっていて、読みやすかったです。
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範頼の平凡で人間臭く、現在の中間管理職のような立場に自分と重ね合わすことができました。
才能がなくても、天野殿のように助けてくれる人がいる事で生きていける、そういう仲間がいるだけでもいい、時代が違っても同じだと感じました。
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鎌倉殿の13人で範頼のファンになって読みました。
範頼目線だからか、壇ノ浦の戦いも一ノ谷の戦いも説明書きで終わっていて、範頼の最後までは描かないのだなと少し物足りない気持ちにはなりました。でも範頼の人柄が大事な選択の一つ一つに現れていて、心情もわかりやすく描かれていて、脚色があるのかもしれないけど歴史小説って読みやすいんだと思いました。範頼主人公の本てなかなかなくて、描いてくださってありがとうございます。
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鎌倉殿の13人からの購入。暗黒最終回に魂を吸い取られて大河ドラマの本気をみた。
鎌倉殿ロスから半年くらい寝かせてしまったがようやく読了。
蒲殿(源頼朝の兄、頼範殿)のお話し。大河ドラマは基本的に北条家目線で描かれるが、こちらは兄ちゃん目線。兄ちゃんがなんとも愛らしく、一気に引き込まれる。
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兄頼朝と弟義経に挟まれた感の凡人範頼さんが、一番人間らしく好感もてます。
最後に頼朝にキレた所はスッキリ!
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尊大なる頼朝と傍若無人の天才義経の間で苦慮する、範頼。
源平合戦を背景に、強力な兄弟たちに振り回される姿を描く。
・登場人物
一. 挙兵 二.旭将軍 三. 義仲追討 四. 宇治川の戦い
五. 一の谷の戦い 六. 三日平氏の乱 七. 葦屋浦の戦い
八. 屋島の戦い 九. 壇ノ浦の戦い 十. 造反
十一. 義経じゃないほうの造反
・用語解説
武士の棟梁として冷徹な頼朝と軍略の天才ながら軽率な義経。
この兄弟二人に挟まれ振り回される、凡人の範頼。
まるでワンマン社長とやり手だけど自己中の若手社員に
気を遣いまくる中間管理職のような、感じ。
しかも源平合戦の総大将にされてしまったよ~。
九国まで行かされてしまったよ~。
そんな範頼の困惑な、源平合戦の物語。
共に戦うのはクセの強い御家人たち。
食糧が無い~舟が無い~勝手に動く奴がいる~と、
苦心惨憺で愚痴りまくる範頼だけど、実は成長してるし、
報連相はきっちり。「吾妻鏡」でも記録されてるし~。
心強い補佐をしてくれる天野さんもいるし~。
範頼の視点で現代要素も含めて描かれるのが、良かったです。
しかし、その後は、範頼も天野遠景も更に影が薄くなって・・・。
さすがにこれは書きづらい・・・かと。
あとがきにもある通り、鎌倉幕府、怖いです。
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あまりにも有名すぎる兄・頼朝と弟・義経に翻弄される、範頼の物語。
平家討伐の総大将として教科書に載っていたはずなのにちっとも記憶に残っていない。大河でも描かれるほど華やかな実績を上げ続ける義経の影で地味〜に生きる彼は、実は中間管理職さながら調整や報連相に追われていた、という歴史エンタメ。
お人好しで気配りができて、少々優柔不断。そんな人間くさい彼が生き残れたのはただの偶然ではない。
でも、あとがきどおり範頼の最期を検索してみたら……なんだかやるせない気持ちになってしまった。
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あとがきを読むと、歴史の資料をあさって、資料が不足している部分に想像力の翼を羽ばたかせて、空隙を埋めることによりドラマを創り出せるのが小説家のすごいところだということがよくわかる。
判官びいきという言葉があるように、民衆にとっては義経は常に英雄だった。
しかし、この小説を読んでいると、大局的な視点に立てず、自身の感情の赴くまま動き回る子どもに天才的な戦術が宿ってしまった不幸が伺える。
もしも、義経が屋島急襲ができていなければ義経と頼朝の関係は変わっていたのかもしれない。
そして、レビューでもわき役となってしまう範頼氏の哀愁に思いをはせる。
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源範頼のお話。
大河ドラマ「鎌倉殿の13人」では「なよっ」としていた人物であったが、この物語では至って凡人で、でも冷静で、とても現代人ぽく描かれていた。
ついつい我が身に重ねて、自分を考えてみるきっかけになった。
文章も、そして何よりも紙の質が良くて、さらさら読めた。
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読まずに避けていた歴史小説。
でも真面目なカタイ話でなく、なんとも範頼の率直な心の声が現代風でおもしろい。
クスッと笑えて、終章では涙を誘う。
史実は変わらないけれど、視点が広がることで、源平合戦が新たな感覚で読めた。
範頼は繰り返し、「凡庸」「凡人」「普通」と自分を卑下するけれど、「辛抱強さはピカイチ」と印象を抱いた。
歴史上の人物はどこか遠い存在のようで、つかみどころがなかったが、軽妙な語り口で戦の苦労や戦国の猛者たちの様子が語られるので、歴史上の人物も今と変わらない「人」なんだよなぁ、と感じられた。
頼朝視点、義経視点、の源平合戦の歴史小説も読んでみたくなった。
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源平合戦をテーマにした書籍は数あれど、源範頼という人を主役にしたものは初めてではないか。覇王頼朝や英雄義経を描いたものは数多く、また昨年の大河ドラマでは北条義時が主人公と、源平合戦で総大将を務めたにもかかわらず源範頼を取り上げたものはほとんど存在しない。
それもそのはず、吾妻鏡や平家物語といった当時の文献において範頼の扱いはほんの少しであり、突如登場して頼朝の名代として総大将に祭り上げられ、実際の戦闘においては義経に後れを取り、凡庸な中間管理職といった評価が大半であるからだ。
しかし、3万騎もの源氏軍を鎌倉から京、さらには山陽道を通り九州まで平定し、壇之浦の戦いの戦後処理をするといった一連のロジスティクスから論功行賞を含めた調整は、凡庸な武将では決して務まらないだろう。とくに独断専行の義経軍の動きに対して、広く布陣することで敵軍の逃亡を阻止するといった戦場全体を俯瞰したやり方は、むしろ範頼でなければ務まらなかったと考えられる。
そして源平合戦が終わった後に、曽我兄弟の仇討ちによって謀反の疑いがかけられ、伊豆の地に流刑となった範頼は失意のうちに没したと言われている。生まれた環境が違えば蒲御房の代官としてのんびり暮らせた彼の人生は、不世出な兄弟たちの存在によって短くドラマチックになったことは確かである。
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人間性が現代でもよく理解できる文体で鮮やかに描いてある、秀逸な歴史小説。ワクワクとかハラハラとかじゃなく、そーだよなーの親近感で歴史がちょっと、好きになる。範頼ー頑張ったなー、辛かったなー。
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マイクロマネジメントな頼朝と、天才肌で実績はあるがホウレンソウができない義経という部下との間に挟まれてさあ大変。
義経は華があり目立つけど、自分は兵糧の調達と輸送、部下同士の諍いの仲裁と、頼朝へのレポートで忙しい、というのがまさに中間管理職で苦笑してしまう。共感しかない。範頼と愚痴を言い合いたいよ!軽く読めるのに内容はしっかり。とてもおすすめ。