紙の本
傑作小説を生み出すために
2023/03/10 20:06
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投稿者:咲耶子 - この投稿者のレビュー一覧を見る
人類滅亡後、何十万年もたった世界。高等知的生命体によって作家たちとまとめ役の女性が傑作小説を作り出すために集められています。
集められた作家たちは有名な人たちをモデルにした架空の人々。あーあの人かなって感じです。10人もいて、ちょっと面倒くさかった。ほぼ読み飛ばした。
文壇の大家たちが集まっても傑作は生まれず、巡稿者メアリは新しい提案をし自分の苦悩を差し出ます。さて、メアリの真の目的は?
唯一の人のためにすべてを犠牲にする女のすごみを感じる。
ま、中200ページは超ナナメ読みしたけどね。
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ハヤカワSFコンテスト大賞作ということで
読んでみました。
俺はこういう何かの賞の受賞作とか大好きなのだ
さて、感想だが、
これはSFなのか
Fがずいぶん強いような
でも、この世界観はよく考えつくな
と感心した
最初は面白かったんだけど、
だんだん、よくわからなくなってった印象
十傑も多く感じた
七くらいで切り上げてほしかったかな
動画を2倍速で観る時代だからね
もう少しシェイプアップして
テンポよくしても良かったかな
正直、万華鏡がどうたらとか言うところは
ようわからんなと思っていたのだが、
選評で、そこがダイナミックだったと指摘している方もいて、
ええっ、そうなん!?
と、そこが一番印象に残った
読むのにめっちゃ時間掛かったし、
特に読書になれていない人にはオススメはできないかな
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面白い、という言葉ではまとめきれない、切実な想いが大切に詰められた一冊でした。小川さんの本を、これからも一読者として(仲間意識を勝手に持ちながら)、手に取りたいと思う作家さんでした。あの、本当に応援してますと、手を取って、ぶんぶん振って、伝えたい、と思っています。
第10回ハヤカワSFコンテスト大賞受賞作、そのタイトルに惹かれて手を取ったのだけれども、ある意味SFであり、ある意味全然SFらしくない作品でした。有名どころの本は手に取ってきた、と思っている本好きの方すべてが"楽しめる"本だと思います。本を愛している人に安心してお勧めできます。なぜなら小川さんはこんなにも本を"愛している"のだというのが痛いくらいに伝わってくるから。
一方、"楽しめる"と、クオテーションマークで囲ったのは、主人公であるメアリの内実が語られるところから、だんだん話が切実になっていくからです。その切実さが、一人の肉体を伴った人物の悲痛な声で、その声に私自身もわかるなと思うところもあり、誰しもそういう悩みを抱えているという、本を通じて得られる連帯意識を、今までの歴代の作家と同じく、感じることができました。これはまさしく「本」なのだと思います。
話の筋や、その説明の仕方など、すんなり読めなかったところもあるといえばあるけれど、それを上回る本への愛や、書く・創作するということに対する想いが熱く伝わってくるので、作家も一人の人間なのだと目が覚めるようでした。
作中にもありましたが、たいして力を入れずに不真面目に世の中に送り出されている本も沢山あるでしょうし、世の中にあふれる消費文化の色が強いものに晒され続けると、どうしても世界に対する構え・否定というをベースに物事を判断・批評してしまうのですが、彼ら彼女らも一人の人間で、日々悩み・変わり生きているのだということを忘れかけていたように思います。
本の最後の謝辞を読めば小川さんご自身の人となりが伝わってきて、このまっすぐな人を応援したいと思いました。いつか出る次回作も楽しみです。
巻末に付けられていた「主要参考文献一覧~または、33+Ⅷを42にするための、最後の一項目~」を順番に読み直すのも良いかもしれない。(オスカー・ワイルドは福田恆存の訳でなくちゃ、と思う自分を封印して)
以下作品の内容に関すること***
・現実に存在する作家をモデルにしている登場人物は、主要登場人物は名前が置き換えられている一方で、ディケンズや三島など(よかった言及されていて笑!)は実名である違和感笑。全部置き換えたら言及のみの作家は誰か誰だかわからないけれど、それなら文人十傑は本名ではダメなの?と思ったり。小川さんであるだろう主人公に、尊敬するカヴァンと自分で名乗らせたいという、オタク心?故なのかしら
・カヴァンの『氷』に出てくるイメージのまんまの舞台なので、むしろすごいと思いました。し、カヴァン読んだことない人は絶対読んでください!!と太字で言いたい
(・あと私はイシグロのイメージにも通じるなと思いました)
・そして太宰治、好きなんだなあと。私は思春期にそこまで太宰にハマらなかった口だけど、太宰好きです!!の熱���思いが伝わってきて、また読んでみようかと思いました。オタクの(熱心なファンの笑)純粋なプレゼンで興味持つよね
・最後の文献一覧を見ても、今回主たるキャラが、オスカー・ワイルドだったことを見ても、小川さんの趣味が自分のそれと近いので、次回作以降も信用できるなあと思います。耽美主義同盟
・読了感は少し不思議で、この本に圧倒された感は、実はあまりありません。でもなんだか、この本は自分の心の片隅にしっかり居場所を見つけて、ふと思い出す切なさや愛おしさの象徴になる気がしています。圧倒された作品でも「すごいものに出会ってしまった」とその時は思うのだけど、心に残り続けるわけではないので、そういう意味では、この本の方が「すごい」もの、なのかもしれない
・ああ本が読みたい、本が読みたいと、そういう気持ちがふつふつとわいてい来る、そんな読了感です。純粋に楽しむ、愛するということへのピントがいつの間にかずれていたことに気が付きました
・まとめると、この本に出合えてよかった!です
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人類の滅びた遠い未来で、謎の球体関節生命体に復活させられた各世代の作家(小説家)が共著を仕上げているという設定がまずぶっ飛んでいます。出てくる作家は過去の作家はモデルがいて、複雑な絡みがなかなかに興味深く、会話が中心の前半はかなり楽しく読み進められました。後半はかなり重い雰囲気で、文章も敢えてでしょうが段落がなく、文字を詰め込むだけ詰め込んだふうで、読み疲れてしまいましたが、今後に期待したいなと思えました。
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遥か先の遠未来。人類最高の文学作品を完成させるために復活させられ、半永久的に執筆させられることになった標本作家たち。筆者と読者の関係、人はなぜ物語を紡ぎそして読み継いでゆくのか。人間が人間であることの不可思議さを描いた、SFであり、ホラーであり、恋愛小説であり、ファンタジーであり、ミステリーでもある紛れもない文学があった。
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第10回ハヤカワSFコンテスト大賞受賞作ということで購入して読むことにした。
そもそも、ハヤカワSFコンテストって昔からある賞なのにどうして今回が第10回なのか、これまでどの様な作品が選ばれてきたのか、審査員が誰なのかも気になった。
Wikiで調べて、全ての疑問が氷解した。
私の知っているコンテストはやはり凄い賞だったのだが、私の大嫌いな神林長平が出て来たころから先細りしてきて、1992年に廃止に追い込まれた。飛びぬけた新人が輩出されないと同時に私もSFから離れて行った。そして「SFが読みたい」ランキングで再開されたものの、私の大嫌いな神林長平が選考委員にずーーっとのさばっている。かろうじて大賞受賞の作家の名前は知っているものの、その他の方はなかなか日の目を見ないままでいる。
これまで受賞作家の作品を読んできたかと問われると、確かにあまり読んでいないというか、大賞だけじゃなく優秀賞、特別賞すら読んでいない。やはり、神林長平が選出した作家には偶然ではあるが興味が湧かない。そして、今回の受賞作「標本作家」、読むのに本当に苦労した。文体はとても平易で読みやいのだが、内容の繰り返しが多く、堂々巡りに陥ってしまう。また、425ページと文字数も多いこともあり読むのに本当に忍耐を強いられた。劇的な結末を迎える訳でもなく、熱力学的に言えば「熱的死」を迎える感覚。つまり、文学的なエントロピー増大作品と言える。あらすじを簡単に数行で表せる内容で、内容密度が希薄な作品とひとまとめにするとファンに怒られてしまうだろうか。
個人的には、R・シュトラウスの「サロメ」に関する内容なのでポイントを沢山あげたかったのだが、ちょっと人(復活人?)を殺しすぎでしょう。サロメの猟奇的なところを利用・強調、もっと言えば悪用したのにはかなりイメージが悪い。出てくる作家が潜在的に求める死を、安楽死的に解決することにもとても賛同できない。人間がかわいそう。
SF界に彗星のごとく現れた「第三の小川氏」。今後もうひとつ本が出たら必ず読むと思う。そこでこの方の評価を決定づけたい。
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SFという舞台装置を使用した創作論であり、作家論であり、読書論でもある壮大な物語。
含蓄がある文章と緻密な構成、高いリーダビリティから作者が丹念にこの作品を手がけたことが伝わってくる。
"読む"という行為の「欲望」や「危うさ」を、そのまま小説のテーマとしており、作者と対話するように読むことで、読書の面白さや豊かさ、そして不可解さや虚しさを心に打ち付けられる。
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この作品は文学というか小説好きな方からすると賛否両論ありそうだなと思いつつ、個人的には大いに「賛」でした。面白そうと感じるものは読んでみたく種々雑多が平気な上に、有名作家の代表作を完読しているわけではないので、今作の物語はとても楽しめた。小説を書くことと読むことをここまで壮大な物語に仕上げられると否が応でものめり込んでしまう。
舞台は西暦80万2700年の人類滅亡後の地球。高等知的生命体「玲伎種」は文化の研究のため多くの小説家を標本として再生する。収容施設内で作家達は執筆を続け、巡稿者メアリ・カヴァンは書き上げた作品を纏める。
前半は主要作家(実在作家をベースにした偽名キャラ)の人物像や作品が描かれていて、作家それぞれの書くことへの思いと各作品の書評のようで、興味深く楽しめた。その後はメアリの願望や苦悩、人間に対する心の持ちようなどか詳らかになり、そこからは一転して穏やかならざる展開になる。この辺りも読み応えがあり、どんな結末になるのかと惹き込まれていく。劣等感や自己否定が強くても、他者の犠牲の上に成り立つエゴや欲望を持ち合わせるのは少し分かる。無意識の狂気にも感じるが純粋な愛のようにも思う。最後にメアリは満たされたのだと思うと、なんだか読んでいるこちらも救われたような気持ちになった。
冷めやらぬうちにアンナ・カヴァンの小説を読もう。
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すみません、標本作家(生物などの標本を作成する人とかTaxidermistとか)が出てくる本かと思って、タイトルだけでわくわくと読み出してしまった、全く違う!!(笑)
標本なのは人間で、8027世紀、西暦802700年人類は滅亡、地球世界は朽ち果て寸前、玲伎種という宇宙人というか、人間ではない存在が、人間種の中でも人間世界的超有名小説家を標本としてコレクトしていて、不老不死というよりも、なんか私には想像もつかないようなデジタル技術のナナメ向うから降ってくるようなテクノロジーで延々と再生させられるというか、データの存在になってるというか、そんな復元された有名作家に小説を書かせ続けている、というような話。そんなもん、かけるかいな、、。800000年やで、、おんなじパーソンで似たような体験と経験をし続けて、創作し続けるて、どんな拷問を考えだすんよこの作家は!と、思いながら読み始めたが、まあ、実在の有名作家の名前をちょいもじっただけで(検索されても大丈夫なアレか?!ちがうけど、笑)、その作家の作風とか考えると、やっぱり拷問だわ、と、存外これはSFホラーなのでは?と感じて読んでいた。ホラーやねぇ、、。時間牢獄的な何か。
ワイルドはともかく、作家チョイスが私のツボとかなり違うというか、趣味の違いがあり、そこらへんが微妙にいれこみづらくなったというか、ここはあの作家にしてほしかった、、、という「ぐぬぬぬ」感というか、このハズしぐあいが絶妙かもしれんが、、まあ、ゆうても高校生の頃に読んでたら、めっちゃ好き!って思ったはず。
高校時代の私の好みのSFで
現在の私には結構ホラーだった。
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テーマも文章も悪いことは何もない。
ただただnot for meなだけで、これがSFと呼ばれるのであれば私にはかなり敷居が高いかな、と。
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人類が上位種である「玲伎種」によって滅亡させられ、人類の文化や情緒を研究するため古今の著名作家が不死を施されたうえで蘇生させられ。そして「異才混淆」という技術によりみんなの精神が混ざり合った状態で合作を続けさせられる。
SFにあんまり造詣が深くないので・・・題材としては面白そうだなって期待したんですがいまいちピンときませんでした。なんだろうな。もっと作家性みたいなものを押し出して・・だと思ったんですが、どちらかというと「人間の生き方とは」みたいな根源的な話に終始された印象。
自分がこの面白さを理解できないだけで「つまらない」と切って捨てることはありませんが、ちょっと自分にはあわないかな、と。
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人類滅亡後、知生体により再生された10人の英国の作家たち、不死処置を施され収容施設で、異才混淆という名の共著の執筆を続ける。原稿をまとめる、読者でもある巡稿者が、共著をやめひとりで書くことを提案する。
はるか未来という状況を作って、過去の作家・作品への愛を語る。作家にとっての読者の存在の重要性もほぼ並列に語られているところが興味深い。
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幻想的な純文学SF。人類が滅びた世界の新たな知性体(玲伎種)によって、小説を書くためだけに標本化された作家たちと巡稿者。書くことと読むこと。書く者と読む者。献身の裏にある身勝手な要求と渇望される側の重圧。”彼は書き上げてから死ななければならず、私はそれを読んでから死んでゆかねばならない” “人類最後の創作物を生み出すための、番いとなった奴隷” クレアラを選べなかったメアリ。そんな彼女とセルモスの関係が究極すぎる。いいものを読んだと思う。
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とても面白かった。SFが苦手な私だが、この作品は文系の人向けと言っていいのかも。ただ、私自身きちんと読めているとはとても思えず、モデルになった作家たちも知らない人が多く、それでも楽しめたと言わせていただいていいだろうかと控えめに…
GWの読書としては最高だった。
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SFにしては、人類の後の生命体がすごい技術を持っている、というだけであまり理論立てられていない。どちらかといえばファンタジーだと思った。
生命体を満足させるため、小説を書き続ける標本となった作家たち。
この作家のモデルがどれだけ分かるかで、この作品に対する面白さが変わってくるように思う。実に深い小説讃歌。