紙の本
捜すクモとは何であろう
2023/05/10 16:14
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投稿者:nekodanshaku - この投稿者のレビュー一覧を見る
腋窩リンパ節転移を伴う右乳がんと診断された作者が、その告知の日から、術前化学療法を経て、がんさーバイアとなっていく日々を綴ったエッセイ。化学療法によりCRを得、BRCA2遺伝子異常を有するために両側乳房切除を受けた彼女の生活は激変したかと思いきや、友人らの支援や、カナダの風土が、うまく守ってくれたようだ。しかし、治療中、自分の死を強く意識し、死を身近に感じたことにより、死がもたらす不在の感覚と死に対する恐れに直面し、心の構えみたいなものが変化したようだ。人生に一切の保証がないことを自覚しなくては。
紙の本
トンネルの出口に向かって
2023/05/07 15:32
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投稿者:愛すプラント - この投稿者のレビュー一覧を見る
正に! 同じ癌が見つかり手術待ちの時に、この本と出会った。戦いはこれから。今はトンネルの入り口を少し入ったあたりか。暗いトンネルの中で何度も読み返すんだろうな。癌は十人十色と言われているので全く同じ行程では無いけれど、「出口までがんばろな」と支えてくれそうな一冊。関西弁の明るい会話がシリアスな現実に勇気をくれた。
紙の本
そうか、
2023/04/24 12:42
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投稿者:Lunetta - この投稿者のレビュー一覧を見る
同病ですがまったくダメでした。
孤独と不安の只中で、これらをほどいてくれる言葉を期待してしまった。作家先生なら、これ!という言葉にしてくれるに違いない!と。読み進めるのが苦しくて、逆にキュッと固くなった。
期待しすぎはダメですね。立場や環境や病状によって闘病もそれぞれだということ。弱った心と体には少し強すぎました。
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カナダでの乳がん闘病期。まさか次作がノンフィクションエッセイだとは思わなかった。それでも西加奈子の筆を通して書かれるこの世界は、やはりまっすぐで、ツッコミどころがたくさんあって、愛おしくきらめく。
再読することがあるかはわからない。だけど、たくさんの人に手に取ってもらいたい。そして、生きているそれぞれの自分へ少しでも思いを馳せるきっかけになればいいと、世界の端っこで思ったりした。
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言えないこともあるようだがそこを差し引いても十分すぎるメッセージを発信してくれた
乳首がいるかどうか、考えたこともなかった
そうやなあ、わたしもいらんけど
母が乳がん罹患者なのでBRCA1/2遺伝子検査してみるかな
折り返し地点なので自分を知るいい機会かもしれない
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内容を知らずに、久しぶりの西さんの小説だ〜!と思って読み始めたら、なんか様子が…?
ああ、エッセイなのねと気を取り直したものの、んん?
何これ、ノンフィクション?乳がん?西さんが!?
と驚いて、慌てて内容を検索した…(^◇^;)
コロナ禍に、滞在先のカナダで乳がんになって、コロナにも罹って…そんな治療を終えるまでのあれこれが、西さんらしい語り口で記されている。
でも本当に、西さんらしいな!素晴らしいな!と思ったのは、寛解後の部分。
終わらず続いてゆく日々を、今生きている私が美しいのだ。
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カナダのバンクーバーに行ったことある人なら尚更想いが強くなってしまうのでは。私がバンクーバーに初めて行ったのは2017年。西さんの物語は2019年からはじまっている。当時もすごく感じたカナダ人の、バンクーバー人たちの優しさ、カナダ愛の強さ。本当にびっくりするほどみんな優しいから居心地がとても良い。最後の方に書いてあったけど日本人は情、カナダ人は愛っていうたとえものすごくわかる。
そんなバンクーバーで、さらにコロナ禍な中の闘病生活を綴ったものは読んでいるこっちもハッとなったり、ウッとなったりする。とくに飼い猫の章は涙なしでは読めなかった…元気になってよかった本当。
そのほかは割愛するけど、異国で、移民として闘病するってものすごいことだし、けどバンクーバーで癌治療をできることをラッキーと思うと書けるほどにその国に馴染んでいるのも良かった。
これからもたくさん西さんの言葉が読みたいです。
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西加奈子さんのカナダ在住中に乳がんを宣告されてその経験を通じて感じたことを綴っているエッセイ。
カナダでの生活や周りの友達、病院や看護師の対応の違いなど日本と大きく違う部分が描かれている。
カナダならではの病院とのやり取りや病院との連携がうまく行っていなかったり、、海外生活者は想像しやすい場面が多くあった。日本に一時帰国した際の窮屈さや周りの視線、広告の情報過多などとても共感できた。
コロナ禍で医療関係者不足だったり少し前の状況が描かれていたので当時治療中の患者さんはとても辛くて大変な経験をしたのだと改めて感じた。
抗がん剤治療をしている時に漢方などを摂取しないでほしいと医者から言われても自分の体は自分で守ることが前提だからそれはしたくないと伝えたらすんなりOKされたところがとても新鮮だった。
抗がん剤治療中は日々の生活をなんとか成し遂げて耐えるが、治療が終わった後は直近の目標が急になくなったことによってつらく感じたと書いている部分が1番印象に残った。
全員関西弁で話しているところが愛おしさとカジュアル感も増して良かった。
多分3回ほど泣いた。⭐︎は3.8。
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朝ドラを見た後のあさイチに西加奈子さんがゲストで出てらした。初めてテレビで拝見させていただいたのがこの本の紹介場面。明るくお話されているけれど、病気の話だよね外国で治療を受けてる話だよね。と??いっぱいで見終わった。思い出せば、テレビで紹介していた本を読もうと思ったことが無い私だった。
なのに、なのに、本屋さんでこの本を見つけたら……買ってました。
何度も読んで、思ったことは、
「いつでもどんな時でも前向きでいよう」
「いつでもどんな時でも明るく生きよう」
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カナダで癌になった西加奈子さんの闘病記。
ではあるのだけれど、想像していたものとちょっと違っていた。カナダと日本の人や文化、医療の違いだったり、乳がんという病気で瀬戸際に立たされた西さんが感じた日常やコロナ禍、そして世界情勢など様々なことに話が及ぶ。
闘病記でもあり、西加奈子という人の思考をなまなましく垣間見たような気がする。
カナダ人の和訳が大阪弁のため、何だか賑やか。
そして。
「私の身体のボスは加奈子自身。だから、加奈子が自分で(自分の責任で)決めればいい」
「周りの目を気にしなくて良い。」
病気でなくても、この言葉はすべてに当てはまるのではないだろうか。
あなたはあなた自身、あなたの心身もあなたのもの。だからあなたが選択したことは間違っていないと、強く背中を押された気がした。
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読み終えてから数日経ったけど、レビューする言葉が思いつかない。すごい本であるこたは間違いない。一生そばに置いておきたい本であることも間違いない。
人間の愛と情。生きること。選ぶこと。そこに自らが責任を負うこと。
そして何より、共に生きること。シンプルだ。どうせなら使い果たそうぜ。
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こんなにも赤裸々にご自身のことを書いてくれたことに感謝。感動、希望、不安、共感、私が私として感じられることの全てがあった。
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このエッセイには書かなかったこと、気持ちももちろんあるとは思うけれど、どうしてだろう。何かが染み入るような心持ちでページをめくった。
今、入管法の問題に関わるあれこれに心が痛く、ミールトレインなどなど友人たちがあれこれ力を貸してくれること、それを西さんも言えることなどなど、そして、どこの出身かに関係なく無料で医療を受けられることが素晴らしいなと思った。
このタイミングでこのエッセイを読むことができて、本当によかった。こちらもまた何度も読んでいくことになる1冊になると思う。
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ときどき、この積読の山をなんとかするには、ほどほどの病を得て入院でもする他ないのではないかと不謹慎な願望が頭をよぎる。とはいっても、病気で気力や体力が奪われたら読書が捗るなんてこともなさそうだしな…と打ち消すわけだが、この作品は著者が異郷でガンに罹患し治療のかたわら本を読むことでいかに救われたかつづられているということで、読んでみたくなった。
読み始めてみると、前々から関心は持っていた多文化共生の国カナダ、移民の街バンクーバーでの暮らしぶりや人々の考え方が詳しくわかって興味深い。
自国で暮らしていたって病気ともなれば心細くストレスも多いのに、コロナ禍でマスク派と反マスクに分断されたり病院の現場が逼迫したりといった中で、言葉が十分通じない土地で幼子も抱えてどれほどたいへんだったろうとおもうし、実際文章からも絶望的に深刻でつらい状況が伝わってくるのだけれど、一方で、カナダのほどよく適当でリラックスしたあかるい雰囲気と人間関係にずいぶん救われていることもすごく伝わってきて、自分を縛っているのはこの日本社会なのか、それとも自分自身のいらぬ規範意識なのか、見極めねばと思えた(私自身の意識もまたこの窮屈な日本社会を構成している一部だから、ある意味コインの裏表なのかもしれないが)。
そしてまた、この本の読みどころは8ヶ月続いた治療が一段落したところから先だった。クライマックスのあとのエピローグというにはたっぷりと、寛解後の先も続いていく人生についてつづられている。私は読んだよ、読んで受け止めたよ、とテレパシーを送りたい。何らかの形でだれかを支えられるような自分でいたい。入院でもして積読の山を崩せたらなんて夢見てないで、この日常の中でなんとか本をもっと読もうと思うし、季節をちゃんと味わいながら暮らしたい。自分の体、自分の時間なのだから。万が一、体調をくずしたり本どころじゃなさそうな災難に見舞われることがあっても、本や運動などを通して自分を保てるような自分でありたい。
巻末にまとめられた(本文中に引用された)本と楽曲のリスト(翻訳もの多め)を見て、読んでみたい本をいくつかメモした。こうした本を送った河出書房新社の編集者にも、どのようにしてどんな思いで送る本を選んだのかいつか聞いてみたい。
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あさイチの西加奈子さんのインタビューがとても面白くて、本書を手に取りました。
TVで明るく話す西さんそのままの部分もありつつ、もっと深く潜って底の底まで沈む部分、社会情勢や世間への思いなど、読んでいて感情が忙しかったです。
自分の人生に責任を持って選択して、周りに助けられつつ、その分自分もしっかり返す。
誰しも大なり小なりしんどさを抱えていると思いますが、西さんの「祈り」は確実に読み手に届くと思います。