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山奥の「私雨邸」に閉じ込められた11人。クローズドサークルで殺人が起き、犯人捜しが各人の視点で展開する。
11人の登場人物中、主に4人の視点で事件が描写される。
名探偵は存在せず、素人同士の推理合戦。
しかしウッザいな~この探偵気取り。(読み進めるほどに推理外れろ!と強く思うようになっていく)
反して一条くんが一番好きなキャラですね。
名探偵がいると謎解きは名探偵におまかせ派の読者ですが、たまに出てくる神視点の一言でページを遡って該当箇所を探したりしてしまいました
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タイトルどおり複眼視点で語られるクローズドサークルミステリー。真犯人を含む登場人物の一人称語りが「嘘含み」であり、事件に関係のないものも含めて「それぞれの語り手が嘘をついている」ことによるミスリードを楽しむ趣向。テキスト(文章)によるミスリードは、テキストであるということをうまく活用したトリックが用いられるが、本書もやはりそこに仕掛けがある。ついついストーリーを早く追いかけたくなって充分考えないで読み進めてしまいがちだが、情景をよく思い浮かべながら読むタイプの人なら、トリックにたどり着けるかも。
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たった今読了。
最近の推理小説らしく、本格推理ものを踏まえて更にひねりをくわえてある。
ミステリーといえば名探偵。
スタンスにそれぞれ違いはあれど、とにかく犯人を突き詰める役を担わされている。
もちろん読者としては、この名探偵こそが推理小説の要で唯一信頼できるからこそ、ものがたりを安心して楽しめる。
でもそこに名探偵がいなかったら?
それがこの作品。
クローズドサークルにおいて起きた密室殺人で、だれかが犯人なのに、信頼できる語り手も名探偵も不在…。
登場するのはそれぞれ個性豊かで、不思議と憎めない人物ばかり。名探偵がいないってことは、読者が自分で犯人を考えながら読むしかないのに、登場人物それぞれの視点ではなかなか犯人がわからない。
それぞれの視点では開示されている情報も、ある人物は知らなかったりするし…。
この感じは「イヴリン嬢は七回殺される」でも嫌というほど味わったな…。これは複雑すぎて「私雨邸〜」に比べると読み応えやばいです。めちゃくちゃ好きですけどね。
読者への挑戦もあり、枠組みはちゃんと本格推理小説してます。
続編あったらつぎは快楽殺人かも?と期待しちゃうラストも面白かった。ヤバイ人を目覚めさせたのか…?
ところで、ある登場人物が言ってた「死ぬ話以上に地に足の着いた話があんのか」ってほかのミステリーでもだれかが言ってた気がします。
たぶん学生アリスシリーズのような…。
思い出せなくてもやもやするー!
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過去にも殺人事件があったという「私雨邸」でまたしても殺人事件が起こり、しかも土砂崩れによってクローズドサークルになってしまった。身内が殺されたにも関わらずどこかしらシビアな視点を持つ被害者の家族。クローズドサークルと密室殺人という出来事にわくわくしてしまう大学生。面倒に巻き込まれてしまったことをひたすら悔いる編集者。それぞれの視点から語られる物語のどこに真相があるのか。いい意味でゆるい読み心地のミステリです。
なんだかどの人も、殺人事件が起きた割には冷静というかなんというか。特に「他人事」感の強い人たちが多い印象でしたが、しかし実際そうなのかも。さらにその状況にわくわくしちゃう二ノ宮……いや、わかるよ。わかるんだけどね。そこまでいろんなことを期待している様子には危うささえ感じてしまいました。そりゃあ一条さんビビるわ。「内なる声」で毒を吐きまくる梗介もなんだか不審だし。読み口はゆるいしコミカルなのだけれど、どうも少し怖い人たちが多いかも。
それぞれが自分勝手に他人を疑い推理を組み立てる中、いったい誰が最終的に謎を解き明かすのか。そして各人がついた嘘とは何なのか。普通ならわりと緊迫感があるはずなのだけれど、淡々とした空気感でさらっと読める作品でした。でもミステリとしてはしっかり。
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「事件を解決するはずの名探偵が…いない!!」
え、クローズドサークルで名探偵がいないって、どうなるの??という疑問と好奇心に惹かれて読ませていただきました。
ある館に集まった人々。そして起こる殺人。名探偵はいないけれど、探偵役を名乗り出るのは、大学のミステリ文学サークルに所属するミステリ大好き二ノ宮くん。でもどうにも頼りない…。いかにも怪しい動きをする人、二ノ宮くんとは別に調査や考察を始めていく人…
緊迫した状況のはずなのに、みんなの正直な気持ちがダダ漏れていて思わず笑ってしまう。
特に推理お披露目の段になって、みんなが持論を語るけれど、どれも決定打にかける。迷走しまくり。こんなんで本当に解決できるの?とソワソワしながら、徹夜で読み切りました。
登場人物たちが個性的で、最終的にヤバいやつ選手権みたいな様相を呈してきて、目が離せなかった。
今までまともだと思っていた人が、最後の最後の独白で、一番ヤバいんじゃないか…と衝撃を受けた。
読者への挑戦もあり、ミステリ好きにはたまらない作品。
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嵐の私雨邸に取り残された11人の男女。
資産家のオーナーは密室で刺殺され、世にも珍しい〈探偵不在〉のクローズド・サークルが始まる。
館に集ったのは怪しい人物ばかり。いったい誰が犯人を当てるのか。各人の視点からなされる推理の先に、思わぬ悲劇が待っている。
探偵は出てこないクローズドサークル。いや、探偵もどきは出てきた。そして、各人の視点で今までクローズドサークルを見たことがなかったかなと思った。いつも探偵の助手の目線もしくは神の目線だったことに気が付いた。
クローズドサークルに巻き込まれた人たちの目線で、少し印象に残ったのが、被害者の家族が感じた「この状況を楽しんでないか」という感情。一緒に閉じ込められたミステリー同好会の大学生。その大学生が、嬉々として事件に首を突っ込んでいく。「ついに人が死んだ!」「何かあったんだ!」って喜ぶの本当…ってなった。
まぁ、今まで私だって「神の目線」でそう思っていましたよ。だけど、自分の家族や大切な友人が殺されてショック受けてる隣で、嬉々とされたらなぁと正直思った。
事件の真相はまさかだったし、その伏線なんていつも通りに気が付かなかった。そして、事件の真相が明らかになったときに、そのページに戻った。確かに…ってなったしな。
大学生の推理が外れて、本当にスッキリした。探偵気取りの人、本当に無理だった。そして、あの子の恨みはすごかった。まぁ、恨まれても仕方ないし、しょうがいないけど、可愛かったなと。
2023.5.20 読了
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嵐の山荘で密室殺人事件が発生するクローズドサークルもの。ミステリーマニアの学生、地元出版社の雑誌編集者、資産家の孫の3つの視点で展開していき多重推理で解決します。
探偵役がいないので多少のグダグダ感はありますが、誰が犯人で誰が解決に導くのかという先の読めない展開で読者を惹き付けます。密室は特筆すべきものでは無いですし、犯人があっさり自供するなど物足りなさはありますが、手の込んだ構成は一読の価値があると思います。
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視点が変わる推理小説は結構あるけれど、その多くは視点を変えて同じ出来事を繰り返し説明するタイプではないだろうか?
本書は視点を変えながら話が進んでいく点で、珍しい構成な気がした。
犯人も結末も思い至らなかったな。だからと言って、アンフェアな話というわけではない。まあ、こんな動機で人が殺されるのか?ではあるけど。
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タイトルに『各人の視点』とあるように
主観がコロコロと変わっていくので
若干感情移入と状況把握がしにくい気がした。
探偵になることを切に望んでいる人がそれほど実力がなくて
推理を見事に外す、というのは初めてのパターンだったな。
最初二ノ宮くんがおかしくなって犯行に及んだのかと思ったもん。
動機やらなんやらもそうだけど
事件解決してからも結構淡々と進んでいくし、
最後の最後まで、この人の気持ちわかるなぁって人が現れないまま終わってしまった。
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渡辺優さん、初読みの作家さんだったけれども、文体に癖がなく読みやすかった。
個人的に文体というのは大切だと思っている。
プロの文筆業の方に「読みやすかった」というのは失礼なのかもしれないが、特にミステリの場合、個性的すぎる文体は(私の場合は)ストーリーを追う障害となり、文中に示された手がかりを見落としたりするので、飲み込みやすい文体というのは大切である。
さて、内容について。
この作品は、本格ミステリの王道ともいえる「嵐の山荘」「クローズドサークル」ものである。
しかし、明らかな「探偵役」というものがおらず(その属性から探偵役をつとめようとする人物は出てくるものの)、タイトルとおり数名の「視点」によって事件が描かれている。
そして、最後の解決編で各人の視点からの推理が披露され、お互いの推理の欠点を指摘し合って、「合議制」のような形で真犯人が明らかにされる。
一見、読者は「神の視点」を得ているかのように思われるが、視点人物は数名に限定されるため、見えそうで見えない事件の全体像……という部分が面白かった。
また、視点人物の独白によって事件自体に厚みがでて、最後まで引き込まれてしまった。
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複数の視点で謎解きをしていくこのスタイル、今までありそうでなかったような斬新なアイディアなような気がする。まんまと作者の策略に引っかかり犯人は分からず。っていつも分からないんですが。タイトルも尖った感じで良いですね。仮に『私雨邸殺人事件』とかだったらもう少し出足が鈍っていたかもと予想。
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乗代さん初読み。最初の3ページが読みづらかったけど、そのあとはスラスラ。人との距離感が縮まっていくのって、こんな感じだよなぁってのが丁寧に描かれてた。宮沢賢治の溺れる人の話は考えさせられるなぁ。ラストにかけて爽やか過ぎるくらい爽やかだった
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嵐の私雨邸に取り残された11人の男女。
資産家のオーナーは密室で刺殺され、世にも珍しい〈探偵不在〉のクローズド・サークルが始まる。
館に集ったのは怪しい人物ばかり。いったい誰が犯人を当てるのか。各人の視点からなされる推理の先に、思わぬ悲劇が待っている。
本格ミステリーなのに、名探偵らしき人がいないという何とも不安定な状況下で、どう展開するのか新鮮味がありました。
3人の視点が変わるがわる展開していくのですが、最初の段階では、視点が変わるの早くない⁉︎と思いましたが、段々と慣れていくうちに、様々な視点があることによって、立体的に事件が見えてくる感覚があって、楽しめました。
探偵不在ということで、誰が犯人を推理するのか?少々楽しみだったのですが、まさかの人が名探偵だったとは驚きでした。まるで、読者と共に出来事を俯瞰しているかのようで面白かったです。
それに至るまでの様々な推理合戦があったのですが、まぁゴタゴタでした。推理してはハズレ、また推理してはハズレという繰り返しでしたが、3人の視点から見えてくる各々の推理は、ある意味面白かったです。
一瞬そうなんだと信じたのですが、ハズレだったということで、「いい加減にしろ!」と思わずツッコミをしたくなってしまいました。
そんなこんなで、最後の推理は、個人的にズッコケてしまいました。今まで、色んな筋の通るような推理をしたのに、最終的にトリックが「何じゃそれ⁉︎」と目からウロコのような驚きとちょっと失望感もあったので、個人的には期待値が高かった分、拍子抜けしてしまいました。
事件としての面白みもありましたが、登場人物達のキャラも面白かったです。
特に印象的だったのは、一見探偵役と思っていたミステリーマニアの学生です。不謹慎な部分がありつつ、愛くるしさがあって、正直推理が外れて良かったなと思う部分もありました。
そんなこんなで、犯人が誰なのか?
この人なのかと驚きつつ、動機が・・・。何とも身勝手な部分はありましたが、最終的には皆んなの推理を補い合い、丸く収まった感もあって、ちょっとわかりづらい所もありましたが色々楽しめました。
一癖も二癖もある本格ミステリーで面白かったです。
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クローズドサークルもので、探偵っぽい奴はいるがあまり役には立たず、各人(主に3人)の視点を入れ替えながら話が進んで行く。各人の嘘や隠し事も少しずつ明らかになり、、、という感じで、さほど目新しいとは感じませんでしたが、面白かったですよ。
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カラスは言った…の渡辺優さんのミステリー。
途中で「ここまでで全員一回嘘をついている」とか、「ここまでの情報で解ける」とか出てきて面白かった。
そしてポンコツ探偵しかいなくて、面白かった。
犯人は牧という記者。お祖父様の前にいる元同級生が、無知な振る舞いをするのが嫌でお祖父様を殺し、死にたがっていたシェフを殺し、自身も死のうとした。