紙の本
専門知の使い方を考える論考
2023/08/04 12:24
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投稿者:nekodanshaku - この投稿者のレビュー一覧を見る
発刊間もない「土偶を読む」を読み終えたとき、面白い本であり、土偶への興味が増したが、思い付きを書き連ねた妄想本の類だと思っていた。そして本書では、考古学者が同署をまな板に載せ、過去に得られた事実を十分に確認せず、不備があるところが、どこであるかを指摘している。アカデミックライティングの手順を守らず書かれている同書が、ピア・れびゅーを受けれなかったことが、専門家から最初に無視というか無関心な対応をされたのは、仕方ないことだっと思う。学術賞を得てしまったことが、現代社会に蔓延する反知性主義の作用かも。
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投稿者:6EQUJ5 - この投稿者のレビュー一覧を見る
タイトルのとおり、多少話題になった書籍「土偶を読む」をしっかり検証した一冊。どう考えるか?推定するか?は自由だとしても、突飛な考え方が新しい・正しいという訳ではない。本書を読み、改めて理性的なアプローチが大切と感じました。
紙の本
結局同じ穴の狢
2023/08/26 00:49
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投稿者:良庵 - この投稿者のレビュー一覧を見る
縄文を読むを真剣に批判するのだと思って、楽しんで読んでいましたが、実験の部分を読んで、結局、本家には勝てないということを実証していて、実に残念。
なんで実験なんかして、自己の非を認めたのだろう。
協力している研究者がかわいそう。
実験結果見て一気に冷めた。
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土偶を読むを読む…を読んで土偶を読むを読んだ時の居住まいの悪さが整理されて座り良くなったし矢張り土偶は面白いなと思う。
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読むべきものは吉田 泰幸氏の項以外は特にないと思われます。吉田氏はきちんと縄文考古学の観点から反証・解説がついており、なるほどなと思う部分は多くありました。これが他にあればよかったのに。
ほかの部分。特に前半は、文章が某匿名掲示板のような程度の低い煽りが多く、読み物としても最低の気分になって、いくら反証本だとしても相手方に対する無礼さしか感じられませんでした。
ただ馬鹿にし、共感した読者(加えて賞を贈ったサントリー)すら貶める。これでは竹倉氏の書いてある通りの排他的で自由性のない考古学学会という事実を見せつけられているようです。
単にセンセーショナルな部分を前面に出した、「土偶を読む」が作り出した流行りに乗っかりたいがための本のように感じました。
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たいへんいろいろ考えさせられました……パブリック・ヒストリーの考えとしてもいろいろ勉強になりました……
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雪かきは重労働だ。しかし誰かがやらねばならない。(「はじめに」より。)
考古学本としては異例のベストセラーとなった『土偶を読む』(竹倉史人)を徹底的に検証した本である。
今までこの手の本に本格的な検証本は出てこなかった。いくつかは「言ったもん勝ち」になっていた。学術者は見事に沈黙を守ってきたのが普通だった。ただ、今回は事情が違ったようだ。2021年のサントリー学芸賞、みうらじゅん賞を受賞、子ども向け図書「土偶を読む図鑑」が全国学校図書館協議会選定図書になった。「土偶は縄文時代の植物をかたどったフィギュアである」ホントにそうなのか?このまま、「土偶の正体は解明された」ことになってしまっていいのだろうか?いや、いいわけがない。
ただ出来上がった本を一通り読んでわかったのだけど、検証本を作るということは、かなりしんどい作業なのだ。
検証論文だけではダメなのだ。
どうしてこういう現象が起きたのか、各界、各人からきちんとした論文を取ってこなくてはならない。本ができてもダメで、本を元に当の本人と公開議論を挑まなくてはならない(結局、本人は拒否したようだ)。それよりももっともっと大事なのは、この本が売れなければならない。そうでなければ、悪貨は良貨を駆逐するではないが、本を出した意味がなくなる。あの、土をコツコツ掘るしか能がない学者たちにどうしてそんな芸当ができようか?
火中に栗を拾ったのは、縄文ZINEというフリーペーパーを発行している望月昭秀さんだった。前半の検証論文は大きな筋は既にwebに出ていることの上書きだけど、「図鑑」批判もあり、全体的に精緻を極めている(当然学者たちの査読は済んでいる)。読んで欲しい。因みに、検証するということは、土偶の特徴をおさらいするという事と同義である。結果、(ちょっと詳しい)土偶解説書にもなっている。
「土偶を読む」は偶然か意図的かわからないけど、様々なメディアから好意的に取り上げられた。しかし問題があった。NHK「おはよう日本」で文化庁主任文化財調査官・原田昌幸さんの「‥‥興味深い」とのコメントは、意図とは全く違う切り取りをされたと本人は証言している。その前に「これは個人の思いつきに近いもので、学術的に見るところはない」と言っていたのである。
「読む」を縄文時代の権威的な学者はどう読んだのか。歴博の山田康弘教授のインタビュー記事も載っている。当初は山田氏も、本人がダイジェスト版持って売り込みにきた時「歴博研究報告」の研究ノートに(発想は面白いので)載せるのも面白いかなと思ったらしい。しかし、詳しく読むと「学術的には成立しない」と話は流れた。「読む」批判への批判として「自由な議論ができなくなる」ということがある。このことに対しては「学術研究書として出てくるのでは、それは当たらない」とキッパリ。更には「考古学者のイメージは、変わり者、偏屈な人、世捨て人と見られている。でも、これだけ世間一般に対して門戸を広げている学問分野はないんじゃないか。一般の方が、講座にどんどん入っていって、ごくごく気軽に話を聞ける」と、考古学は閉鎖的だという意見に反駁している(←これは私が自信を持って賛同する)。
本書は全くもって盛りだくさんだ。望月昭秀さんが雑誌編集者なので、サービスしすぎで、写真は多いは、真面目な論文だけでなく、インタビュー、対談、「私もやってみた」企画、まである。詰め込みすぎて、ちょっと専門的になりすぎて、文字ポイントも小さい論文が出てきて、かえって一般人は敬遠するかもしれない。でも楽しい本だ。特に「読む」を読んでいなくても、特に「縄文」に興味なくても、10以上の発見はあると、私が保証する。
おまけ。
小山修三による縄文時代人口密度研究によると、東北(46,700人)、関東(95,400人)、中部(71,900人)、北陸(24,600人)に対して、中国(1,200人)、四国(200人)、九州(5,300人)、近畿(2,800人)だったという。西日本の縄文人口は圧倒的に少ない。これほどとは思わなかった。縄文時代、中国地方でコミュニティ以外の人々が出逢うことは奇跡的なことだったのだ。弥生時代になって爆発的に人が増えていった。もしかしたら「古事記」の、神様がその飛び散った血からさえもポンポンと子供が出たのは、その記述は、案外(当たらずとも遠からず)現実的な表現だったのかもしれない。
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「土偶を読む」の批判検証本。はっきり言って読み物としてもこちらの方が数倍面白くて数倍上質である。「土偶を読む」を読んだ時に感じた「ドンデモ本感」はやはり間違っていなかったと実感。しかりこうなると冷ややかな対応をした考古学者というのが実在するのかどうかまで怪しくなってくるなぁ。「土偶を読む」を読んだ人はもれなく全員この本を読むべし。
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サントリー学芸賞受賞作である「土偶を読む」について、
「そんなわけあるかいっ!」
と言う異論を専門家がガチでぶつけたり、縄文時代に関する研究の最前線を教えてくれるありがたい本。
そう、とてもありがたいのである。
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『土偶を読む』の方は、ある程度評判が出回った状態で、かつ批判的な評判の方を多く目にしてから読もうとしたためか、途中で「あ、自分に合わない」と投げ出した一冊。
何故投げ出したのか、その理由がこの本のお陰で判明した気がした。
発想自体は面白いのに、その後が誠実じゃない。
恣意的な書き方や見せ方をしているので、丁寧な史料批判というか客観視ができていないというか。
読み物としては楽しいけれど、学術的に……になるのは、この『土偶を読むを読む』の検証結果からも致し方ないかと。
また『土偶を読む』は怨嗟渦巻く文章というか私怨交じりな文章が気になって。
そのあたりも、この本では検証というか解説されていたように思う。
今の考古学界に問題がなかったわけではない。
でも『土偶を読む』作者側にも問題は勿論あった。
特に『知の「鑑定人」』を読んだときに強く感じた。
もっと開かれて自由に議論出来ていいはずなのに。
『土偶を読む』は、私怨のせいもあるかもしれないが、専門家の意見を最初から切り捨てている。
うーん……
『土偶を読む』の問題点を指摘するだけの本かと思っていたこの一冊。
検証自体は寧ろ最初に終わってしまって、それ以降は土偶の研究における歴史の解説や対談、結構専門的な話も飛び出してきて内容の濃さに驚いた。
これは『土偶を読む』抜きに縄文好きはぜひ読んで欲しい一冊。
土偶についてのあれこれを、ここまで多角的に掘り下げている本はそうないのではないだろうか。
土偶だけに焦点を当てず、土偶「研究」という分野に話を広げて語られているので。
ただの土偶解説本ではないのだ。
ちょっと難しい内容の話もあるが、その分勉強になった。
面白かったのは、検証としてハート形土偶を『土偶を読む』論法に基づいてサトイモに例えた話。
正直こちらの方が説得力あった気がする。
でも結局は……という。
だから着眼点や発想は面白いのだ。
問題は、そこから先。
後書きにあったとおり、われわれ現代人は縄文人に事情聴取は一生できはしないのだから、その分史料批判や検証は丁寧に誠実に行われるべきなのに……
読んでいて面白い本の方が受けるのかなあ、結局は。
それはちょっと悲しい事実かもしれない。
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面白かった!縄文についてもっと知りたくなって、連休後半に読んだことを後悔。内容が少し難しくて分からないと思ったところがあったが、それを分かるふりではなく、色々と学んで理解出来るようになれたら良いと思った。そういうふうに受け取った。それからまた読んだらまた楽しめるだろうな。
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竹倉史人著『土偶を読む』に対する具体的な反論が本の半分で望月氏によるもの。それだけで十分なのだが、残りの半分でいわゆる「専門家」による現在の考古学の置かれている状況が書かれている。これが竹倉氏の専門知批判への間接的回答ということか。これだけでも十分考古学を知るための参考になる内容。
まあ、もともとの「読む」の方がちょっと史料の扱いに恣意的なところがあり、「読む」を読んだ時に私でももう少し土偶の数を見ないと論を立てられないのではと思ったぐらいなので、ここで時代や植物の広がりを指摘されると「読む」の論は破綻していることがわかる。
あとは専門知云々だが、最後の菅豊氏の論で書かれている通り。そこで言及もされる昔の梅原猛氏による『隠された十字架』問題と似ているかもしれない。あの時も歴史学会はほぼ沈黙だった。ただ、違うのは梅原氏の論はなかなか歴史的実証がしにくい問題だったのに対し、今回の竹倉説は前述の通り他との比較や考古学的研究で認められて来た状況などで十分否定できるということ。
ということで竹倉説の当否はともかくこの反論本で考古学界の状況をある程度知ることができたというのは収穫だったのではなかろうか。ただ、もちろんこれで土偶とは何かが分かったわけではなくそれは今後の課題。どう考えていくべきかがおぼろげに分かったというところか。
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土偶が好きになる一冊。
『土偶を読む』が面白かった方はぜひ読んでいただきたい。『土偶を読む』がいかに突っ込みどころの多い不誠実な内容かよくわかります。
竹倉氏にはぜひ本書に対して反論してほしい。いとうせいこうさんとかも。
最後の『知の「鑑定人」』はものすごい価値のある一章ではないだろうか。ここもぜひ、竹倉氏。
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ある意味で話題となった本の検証本。『土偶を読む』は考古学界からの批判を読み逆に読みたくなり読んでみたのですが…専門外の私でも僅か数分で読むのを諦めたくなる内容(もちろんそれを楽しむ人がいるのは知っています)。本書は丁寧に考古学の現在(いま)を解説しています。
専門知との対立を焚き付けあたかも詳細に検証したかのような文章は人を惹きつけてしまうのかもしれません。『土偶を読む』が起こした騒ぎからこのような良書が生まれたのは私としては嬉しい事です。前半は批判ですが土偶の歴史から最新の見地まで幅広く学べる一緒のガイドブックともいえます。
批判書ではありますが『土偶を読む』の良い点もあげています。ただひたすらに批判するのではなく良い点は評価し、検証結果から間違っている点や研究姿勢を追求することに好感が持てます。読み方として正しいかは分かりませんが批判文が私の思った事を悉く網羅していて非常にスカッとしました。
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こういうジャンルを読むのは初めてだから分類わけが難しいんだけど、いわば「批判書」と呼ばれるもの…なのかな?
少し有名になった『土偶を読む』を色々な学者がその正当性を検証する…のだけど、その俎上に上げられないほど「おいおい…」となっていたらしい。おいおい…。
『土偶を読む』の正しさはともかくとして、この『土偶を読むを読む』の一貫性は検証だけであり、もうちょっと読み物として工夫しても良かったんじゃないかなぁ、とも思う。検証だけで言えば最初の望月さんの部分だけでよいし、学者が変わっても同じことを言っていることがあり(それだけ共通の認識なのかもしれないけど)後半はちょっと暇だった。まぁ編集の仕方が雑誌的なんだよな…。
面白かったのは山田先生のインタビューあたりで、民俗学と考古学という繋がりはたしかに言われると納得する部分もあったり。
土偶に関しては正直、呪術的役割があった…ぐらいの認識しかなかったのだけど、読んでいくとそれも一枚岩ではなく、色々な意見があって結構面白かった。こういう批判書もいいけど、「土偶とは何か」という一般書を出していくのもいいんじゃないんだろうか。
しかし、正しいだけでなく、そのことを(エンタメ的に)面白く書かなければならないというのは難しいなぁ…。もちろん、そこが逆転してはいけないんだけども。