- カテゴリ:一般
- 発売日:2023/07/05
- 出版社: 集英社
- サイズ:20cm/171p
- 利用対象:一般
- ISBN:978-4-08-771836-2
紙の本
いい子のあくび
著者 高瀬 隼子 (著)
歩きスマホの人を除けるのは、職場で備品を補充するのは、なぜいつもわたし? 不合理な偏りだらけの世の中に生きる女性たちの、静かな心の叫びを描く。全3話を収録。『すばる』掲載...
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商品説明
歩きスマホの人を除けるのは、職場で備品を補充するのは、なぜいつもわたし? 不合理な偏りだらけの世の中に生きる女性たちの、静かな心の叫びを描く。全3話を収録。『すばる』掲載を書籍化。【「TRC MARC」の商品解説】
芥川賞受賞第一作。
公私共にわたしは「いい子」。人よりもすこし先に気づくタイプ。わざとやってるんじゃなくて、いいことも、にこにこしちゃうのも、しちゃうから、しちゃうだけ。でも、歩きスマホをしてぶつかってくる人をよけてあげ続けるのは、なぜいつもわたしだけ?「割りに合わなさ」を訴える女性を描いた表題作(「いい子のあくび」)。
郷里の友人が結婚することになったので式に出て欲しいという。祝福したい気持ちは本当だけど、わたしは結婚式が嫌いだ。バージンロードを父親の腕に手を添えて歩き、その先に待つ新郎に引き渡される新婦の姿を見て「物」みたいだと思ったから。「じんしんばいばい」と感じたから。友人には欠席の真意を伝えられずにいて……結婚の形式、幸せとは何かを問う(「末永い幸せ」)ほか、社会に適応しつつも、常に違和感を抱えて生きる人たちへ贈る全3話。
【著者略歴】
高瀬隼子(たかせ・じゅんこ)
1988年愛媛県生まれ。東京都在住。立命館大学文学部卒業。「犬のかたちをしているもの」で第43回すばる文学賞を受賞。2021年『水たまりで息をする』で第165回芥川賞候補に。2022年『おいしいごはんが食べられますように』で第167回芥川賞を受賞。【商品解説】
芥川賞受賞第一作。
公私共にわたしは「いい子」。人よりもすこし先に気づくタイプ。わざとやってるんじゃなくて、いいことも、にこにこしちゃうのも、しちゃうから、しちゃうだけ。でも、歩きスマホをしてぶつかってくる人を除けてあげ続けるのは、なぜいつもわたしだけ?「割りに合わなさ」を訴える女性を描いた表題作(「いい子のあくび」)。郷里の友人が結婚することになったので式に出て欲しいという。祝福したい気持ちは本当だけど、わたしは結婚式が嫌いだ。バージンロードを父親の腕に手を添えて歩き、その先に待つ新郎に引き渡される新婦の姿を見て「物」みたいだと思ったから。「じんしんばいばい」と感じたから。友人には欠席の真意を伝えられずにいて……結婚の形式、幸せとは何かを問う(「末永い幸せ」)ほか、社会に適応しつつも、常に違和感を抱えて生きる人たちへ贈る全3話。【本の内容】
収録作品一覧
いい子のあくび | 5−122 | |
---|---|---|
お供え | 123−144 | |
末永い幸せ | 145−171 |
著者紹介
高瀬 隼子
- 略歴
- 〈高瀬隼子〉愛媛県生まれ。立命館大学文学部卒業。「犬のかたちをしているもの」ですばる文学賞、「おいしいごはんが食べられますように」で芥川賞を受賞。
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紙の本
いい子もつらいんだ
2023/08/02 17:44
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:夏の雨 - この投稿者のレビュー一覧を見る
他人(ひと)の気持ちなどわかるはずがない。
何故なら、自分の気持ちでさえわからないのだから。
だから、他人(ひと)とどのように接していいのかわからない。
そんなこと素直に言える訳ないのだが、
そんな感情をすっと書けてしまうから、高瀬隼子(じゅんこ)という作家は
読者を引き付ける。
高瀬さんの作品を読んで、うなづいている読者は多いのではないだろうか。
この『いい子のあくび』には、表題作である中編「いい子のあくび」のほか、
短編「お供え」「末永い幸せ」の2篇が収録されている。
表題作「いい子のあくび」は、高瀬さんが『犬のかたちをしているもの』で
2019年にすばる文学賞を受賞後第1作として発表された作品。
つまりは芥川賞を受賞した『おいしいごはんが食べられますように』より前の作品にあたる。
高瀬さんがあるインタビューで、
「むかつきながら書いていた」と述べているが、
そういった作者の感性がストレートに出た傑作だと思う。
主人公は子供の頃より「いい子」として育った直子。
会社員として働き出しても、彼女は「いい子」であり続ける。
しかし、その一方で内面では下品な言葉を発す、時にそれをノートに書きとめたりしている。
直子はスマホを見ながら歩いてくる人間が許せない。
「いい子」の彼女はそんな人間が来たらよけるが、
もう一人の彼女はそんな人間がいたらよけずにそのままあたる。
悪いのは、スマホに夢中に顔を上げない人間ではないか。
そういう「むかつき」は彼女の周りにあふれている。
「いい子」はそんな「むかつき」を隠そうとするが、
直子の「いい子」という仮面はついにやぶれてしまう。
高瀬隼子さんが描く世界は表題作だけでなく、
他の短編もまた多くの共感を呼ぶだろう。
私も、実は、そうなんだと。