紙の本
『汝、星のごとく』のスピンオフ
2023/11/08 22:52
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投稿者:くみみ - この投稿者のレビュー一覧を見る
2023年本屋大賞受賞『汝、星のごとく』のスピンオフストーリー3篇。永遠になったと思った物語が、繊細な筆致で再び動き出す。
謎だらけだった北原先生のバックグラウンドが描かれた「春に翔ぶ」。子が親に、親が子に、恋人が恋人に、人が人に求めていい正当な愛情とは何か。誰かの為、と犠牲にし続けた心から溢れ出す悲鳴がとても痛々しく響いた。超現実的な北原先生が、雨でもなく、晴れてもいない、曇り空を割って我が道を突き進んだ意外性も良かった。
本編未読の方は「春に翔ぶ」を先に読んで北原先生を知ってからでも面白いかも。私には絶対に出来ない楽しみ方。
表題作「星を編む」は、櫂の担当編集者男女二人の、作品と作家への愛が詰まった後日談。蓋をされた作品がまた動き出すまでの奮闘と、職場と家庭での男女の役割や権利を、偏りなくフェアに描いた物語。本編での作品が出来るまでの葛藤と、全員の真摯な姿勢を見ていた分、込み上げるものがあった。守る事と庇う事の違いを考えさせられた。
『汝、星のごとく』を綺麗な永遠で終わらせない為の「波を渡る」。今まで見た事のない家族の形を見せられる怖さ。一般的だと思っていたものの選択肢が増える戸惑い。物語は気分によって印象に残るシーンが変わる、これは人への印象も同じだと感じた。自分の心境次第で全てのものの見方が変わる。
本編の櫂の「退屈ごと愛していた」という台詞がとても好きで印象的だったが、今読んだらどのシーンが一番強く残るのか、興味が惹かれた。本編、スピンオフ共に、数年おきに読んで、印象に残ったシーンの変遷から自分を顧みるのも面白いと思った。
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物語は「幸せに暮らしました、おしまいおしまい」
か
「不幸にも〇〇でした、おしまいおしまい」
って感じで終わるのですが、
その先はどうなったんだろう?って思うのは、貪欲な読者の欲。
この本は、その欲のまだ向こう側を提供してくれました。
外出先で読んでいたんですが、早々に「あ、これは外で読んだらだめなやつ。家で読もう」って思って大正解でした。
読み終わって家のティッシュ箱が空っぽで慌てて涙と鼻水でぐちゃぐちゃになりながら補充しました。
でもたぶんこの本が初見です!の方はそうでもないと思う。「汝、星を編む」を読んでからでないと。
前作を引きずって読んだので、もう私の心の基本はできあがってしまっていて、途中で特に悲しいシーンでないのに、涙が表面張力状態で、すこしの刺激で泣くかも・・って。
なぜか途中でみつけた綺麗な色のピンクのスピンにも泣けた。(これはマジで自分でも意味わからんかったけど「あぁ・・・スピンまで優しい色だ・・・」って思ったから?)
「春に翔ぶ」は北原先生の過去。なぜ北原先生と子どもが二人暮らしだったのか、の過去のお話。「汝、星を編む」で北原先生が会いに行く愛人(?)についてわかります。
これだけでもうお腹いっぱいなぐらいのお話でした。
「星を編む」は、櫂と尚人の漫画が絶版になり未完で終わってしまったのを悔やむ、漫画編集者植木と、文芸編集者二階堂の話。
二人の漫画は最終回のプロットがある状態で二人ともこの世からいなくなり、
櫂の小説は書き上げていたけど、校正はどはまだだったので
その二つを世に出すために、とにかく植木と二階堂は文句言われない地位を築くところから始める。
植木と二階堂が、櫂と尚人をちゃんと作家として大事にしていたことが分かって、
しかも大きな才能を失くして失望と後悔と、ここで終わらせない、ちゃんと世に出す!って気持ちに泣けた。
愛されていたんだな・・・って。
「波を渡る」は、「汝、星のごとく」のあとのはなし。
北原先生と暁海の互助会的夫婦と、子どもの結。
そして暁海の父とそのパートナーの瞳子や、結が後々結婚したり、赤ちゃんを産んだり、
植木さんも二階堂さんもでてくるし、
暁海の母もでてくるし、櫂の母は相変わらずっぽいし。
(櫂の印税は櫂の母が受け取ってるんだろうか?それはそれで腑に落ちないけど、櫂はそれでしょうがないなって思うんだろうな)
北原先生の愛人といわれていた明日見菜々も、
とにかく、
みんなみんな。
それぞれがそれぞれの思いをもって、誰かを想って、前に進もうとしていて。
櫂はここにいないけど、
もう昔のような情熱をもった気持ちが暁海にはないとしても、
でも暁海の中には櫂との時間と想いがあってい、人生をすごしてきて・・・
互助会だった北原先生と暁海の生活も、すこしづつ形をかえていき・・・
人は生きてて、いろんなものの形はかわってきて、
想っている気持ちの形も変わってきて、
それは決して悪い事じゃなくて。
でも
せつなくて・・・
本屋さんでしてもらったブックカバーして読んでいたんですが、
読み終わってブックカバーはずして、帯の
「ああ、そうか。わたしたちは幸せだったのかもしれないね」
って言葉にまた号泣してしまった。(って書いてる今も泣けてきた)
もしかしたら、若い人はここまでではないのかなぁ?
私がもう、人生の後半戦にいるから振り返る気持ちとかが重く響くのかもしれないなぁ
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読み終わって、無意識にも本を抱きしめてしまった。
汝、星のごとくもすごく好きで、大切な物語だけども、いや、あの物語が自分の中にあるからこそ、この『星を編む』が響くのだろう。
北原先生の秘めた過去を語った『春に翔ぶ』が好きすぎて、北原せんせえええええええええ!!!!すきいいいい!ってなりました。(語彙力
結局のところ、自分の人生は自分で責任を取るしかなくて、それを何度も何度も別の角度から(時にはぶん殴られるように)訴えてくれる。
外野は好き勝手自分の都合のいいように物語を押しつけたり、縛りつけたり傷つけたりするけども、それをぜんぶ受け流して(スルーして)、暁海も北原先生は生きていったんだなと『波を渡る』を読みながら、じんわりと目頭が熱くなった。
愛に決まった形も色も温度もない。暁海と北原先生の間に恋はなかったけど、でも他の何にも似てない愛がちゃんとあった。
わたしはそれに救われた。
これから何度もお気に入りの一編を繰り返し読み返すんだろうなぁ。
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『汝、星のごとく』のスピンオフストーリー。
という認識はあった。
前作、『汝、星のごとく』は凄く心に刺さった小説だった。
私が買った小説は、隣に住む叔母に回し、それが私の母に回り、私の元に戻ってくる。
家に本が溢れるのを好まない旦那なので、私は全ての小説をどなたかにあげてしまう。
汝、星のごとくは、私の長年の腰痛を治して下さった整骨院の先生に差し上げた(笑)
男性のお若い先生だが、有川浩がお好きだというので、きっと好きになるだろうと思った(^-^)
さてこの作品、またもや単行本を新品で購入。
それだけの期待感があった。
まずは北原先生のお話。
えー!?
そーなの!?そんな過去が!?
もう前のめりになって読み進めてしまう。
北原先生は優し過ぎて、その優しすぎにイライラしてしまうが、私は北原先生が大好きだ(*^^*)
前のめりで読んでいたら突然話が変わる。
え!?これってもしかして、短編!?
ひゃーーー。やっちまった。
苦手な短編を新品でしかも単行本で買っちまった(^◇^;)
二話目は、漫画原作者・作家となった櫂を担当した、編集者二人の物語。
この話は少し読むスピードが落ちてしまった(-。-;
しかし、現役バリバリで働く女性、子供を持つのか持たないのか、家事バランス、、、
この辺は、ずっとフルタイムで働きながら育児をしてきた身には、考えさせられるところが多かった。
そして最後は、暁海、北原先生の後日談。
色々な家族の在り方があって、色々な幸せの形があるよね(*^^*)
私の嫌いな短編でも、これだけ読ませる凪良先生、さすがっす!!∩^ω^∩
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とても好きな汝の続編。
北原先生のお話が特に好き。複雑な感情とともに生きてきた彼の決断が、そのタイミングが、相手が、いい。とても好き。この好きをうまく説明できないのだけれど。
担当編集さんたちの頑張る踏ん張る姿もよかった。それだけじゃないから。でも、最終的に、自分の好きなことやりたいことに戻る、その姿がいい。
そして最後のお話。見守るように読んだ。二人の目線で語られる二人の日々はもちろんのこと、周りの人たちの変化にほっとしていく。
まわりは責任なんかとってくれない。
それは、自分は他人の人生の責任も取れない、ということだ。
自分の足で立つということは、そういうことなのかとしれない。そうありたい。
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「汝、星のごとく」を読んだ人には全員読んで欲しい!
あんなに切なくて苦しくて愛しい物語のスピンオフ。読まないわけにはいかない。
前は切なくてどーしてこの人たちには後から後から辛いことが降ってくるんだろうと心を乱されながら読んでたけど、今回は心穏やかに幸せな心地ちで読めた。
本当に読んでよかった!
櫂がいなくなった後の暁美の人生が幸あるもので本当によかった
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#読書記録 2023.11
#星を編む
#凪良ゆう
「先生、暁美さんは生きているんですよ」
菜々が北原先生に語ったように、「汝、星のごとく」の鮮烈なラストから、当然曉美たちの人生は続いている。「トトロ」では、エンドロールに重ねて「その後」が描かれていたけれど、凪良さんは「その後」を、これ以上ない贅沢な物語にしてくれた。
文章がどうとか言葉がどうとか、感想を書こうと思っていたけれど、読み終えたら涙と一緒に流れ出たようで、どこかに消えてしまった。
本作で溢れる涙は、他の作品でのそれとはちょっと違って、「感動」とか「悲しい」とか「辛い」とか、涙の名前が見つからない。
ただただ、心の深いところに沁みこんで、涙が止まらなかったよ。
#読書好きな人と繋がりたい
#読了
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北原先生の過去が描かれた『春に翔ぶ』
編集の植木さんと二階堂さんのその後が描かれた『星を編む』
北原先生と暁海のその後が描かれた『波を渡る』
の3編のスピンオフ。
小説現代に掲載されたときから気になっていて、待っていました!
登場人物の中でも、特に北原先生が好きなので、
過去やその後が知れて本当に良かった。
いつも北原先生の言葉に泣いてしまいます。
『汝、星のごとく』が素晴らしい作品なのはもちろんですが、
さらに物語の完成度が高まる3編でした。
これが今年の100冊目の読了。
偶然ですが、なんだか嬉しくて幸せな気持ちです。
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本編が素晴らしかっただけに期待半分、不安半分といった感じで恐る恐る読み始めたが、スピンオフとして最高でした。
世界観
壊さず新しい驚きまで!
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汝星の如く もそうだったけど、何気ない一文がとても心に突き刺さる。
登場人物がみんな何かと不幸だったりするのに、自分で自分の進む道を選択していて力強い。
私も子どもが二人とも家を出て、夫と犬との穏やかな生活が始まっているので、彼らの生き方がとても参考になった。
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前作「汝、星の如く」の続編という情報のみで読み始めました。
通常「続編」となると多少の「繋げた感」、「執筆時期や季節の違い」等で微妙な歪みがあるはずなのに今収録の三話とも前作との接合部が見えないくらい見事に一つの物語として繋がっています。
「汝、星の如く」と「星を編む」は映画「ゴッドファーザー」からの続編「ゴッドファーザーPartⅡ」の様な完成度の高い作品です。
ページを捲る度に痛みが伴った前作に比べて今作は痛みを伴わずに次へ次へとページを捲る欲求が抑えられませんでした。
そして最後は視界を霞められて読了。
感想も言葉では伝えきれないくらいに次々に言葉が溢れてきてしまい収集がつきません。
購入者特典のフリーペーパーは本編の先か後かどちらから読むのが正解だったのだろうか。
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汝,星の如く
があってこそ,ではあるのだけど,読まねばならない一冊だった.
物語は…とかく主人公の人生は濃厚に描くけど,その他の人についてはあくまでも「舞台装置」だったりして,そこに薄っぺらさを感じてしまうこともある.
2冊を読んで,互いに補完し合い,重層的にストーリーが組み立てられて,なんとも言えない立体感と「時間」を感じられる作品になっていて,「誰もが人生の主人公」だと,当たり前なのにフィクションの中ではつい意識されなくなることが,なんとも鮮明に浮かび上がって…またもや,やられた!と.
ただし,この一冊だけではどうだろう?あくまでも「汝〜」あってこその一冊,と言うことで星は3つ!
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『汝、星のごとく』のスピンオフ3編、編集者2人の奮闘を描くどのお話もわくわくドキドキのお話です。前作以上の感動の連続、『汝、星のごとく』のファンなら絶対におすすめです。
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素晴らしい作品でした。
「汝、星のごとく」の続編。
櫂と暁海を取り巻く人達のお話。
本編も好きだったけれど、こちらもとても好きな作品になりました!こんな素敵な作品と出会えるなんて、改めて本好きで良かったと思いました。
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文庫本の方が荷物にならないし手軽に読めるんだけど、
やっぱり私は単行本の方が好きだ。
美しい装丁に読むことの幸福感が増す。
この本を手に取って改めてそう感じた。
曖昧な記憶をたどりたどり読み進めたけど
なんて素敵なんだろう。
人にはいろんな背景がある。
とても良かった。
前作をもう一度読みたくなった。