ショパン：ピアノ・ソナタ第２番、幻想曲、ベートーヴェン：悲愴ソナタ、モーツァルト：ピアノ協奏曲第２３番、他　バティス（ピアノ）、メキシコ州立室内管（２ＣＤ）【CD】 2枚組

爆演指揮者エンリケ・バティスのピアノ演奏！
ショパンやバッハでまさかの名演！

メキシコの名指揮者エンリケ・バティス[1942-]がピアノを演奏した録音ですが、これは決して単なる指揮者のピアノ演奏と片付けてよいものではありません。バティスは1960年代までは卓越したピアニストとして活動しており、指揮者としての名声を得てからも彼はしばしばピアノを弾いています。このCDにはバティスの近年のピアノ演奏会のライヴ録音が収録されています。
　バティスは、時に瑕も厭わず音楽に感情を激しくぶつけますが、ただ情熱的なだけではなく、作品全体を見通した構成はさすが大指揮者と思わせるほどよく練られたもので、幅広い表現が決して独りよがりにならず、説得力が強い演奏となっています。特筆すべきはショパンの葬送ソナタ。第１楽章から思わず拍手が出るほど燃え盛っており、有名な第３楽章の「葬送行進曲」では胸が破裂するような主部と夢見るような中間部の対比が極めて激しく、その壮絶さゆえ不気味に駆け抜けるフィナーレが付け足しになっていません。実に見事な演奏といえるでしょう。一方でバッハのパルティータは、感情を豊かに盛り込みつつ端整さを決して失わない、ピアノによるバッハ演奏の理想形。バティス・ファンはもちろん、ピアノ・マニアも外せないCDです。（TOBU）

【収録情報】
『エンリケ・バティス ピアニストとして証し』

● ショパン：夜想曲 ハ短調 Op.48-1
● ショパン：幻想曲 ヘ短調 Op.49
● ショパン：ポロネーズ第5番嬰ヘ短調 Op.44
● ショパン：練習曲 ロ短調 Op.25-10
● ショパン：練習曲 イ短調 Op.25-4
● ショパン：練習曲 嬰ハ短調 Op.10-4
　録音：1965年、ワルシャワ

● ショパン：ピアノ・ソナタ第2番変ロ短調 Op.35『葬送』
● バッハ：6つのパルティータ（第1番変ロ長調 BWV.825／第2番ハ短調 BWV.826／第3番イ短調 BWV.827／第4番ニ長調 BWV.828／第5番ト長調 BWV.829／第6番ホ短調 BWV.830）
　録音：2003年、メキシコ・シティ、ベジャス・アルテス宮殿

● ショパン：幻想曲 ヘ短調 Op.49
● ベートーヴェン：ピアノ・ソナタ第8番ハ短調 Op.13『悲愴』
　録音：2009年、ニューヨーク、カーネギー・ホール

●モーツァルト：ピアノ協奏曲第23番イ長調 K.488
　録音：2009年、サラ・ネサウアルコヨトル

　エンリケ・バティス（ピアノ、指揮：K.488）
　メキシコ州立室内管弦楽団（K.488）