目次
バイオ研究のための実験デザイン あなたの実験を成功に導くために
- デイビッド J.グラース(著)/ 白石 英秋(訳)
- 1 実験プログラムを定義する
- 2 科学プロジェクトのフレームワークとしての仮説:批判的合理主義は絶対か
- 「仮説」は「結論」と同じ文法構造を持っている
- 実験は仮説の反証のためではなく,確認を目指して行われる。なぜなら仮説には,「ポジティブ」な結果を測定させようとする要求が含まれているのだから
- 科学者は,仮説を否定しても報われないが,仮説が正しいことを確認すれば報われる
- 科学者は仮説が正しいと証明することに情熱を傾けるものだが,そのような科学者の性向の影響を受けにくいフレームワークもある
- 仮説にかわるもうひとつのフレームワークは,仮説が持っている問題点の影響を比較的受けにくい
- 要約と注意
- 3 仮説が実際的ではない科学研究の例
- 意味のある仮説を立てるためには,その系に関する知識が前もって得られていることが必要である
- 要約
- 4 問題や問いを科学プロジェクトのフレームワークとして使う:帰納的推論への招待
- 帰納的フレームワークのモデル:連続的質問による問題解決法は,どうしたら有効なものにできるか
- 帰納による検証も,仮説による検証も,未来予測によって有効性が確かめられる
- それぞれのアプローチ法の比較
- 科学プロジェクトのフレームワークとしての問い
- 開放型の問いを導き出す
- イエスかノーかの二元型の問いや開放型の問いは,結論とは異なる文法構造をとる
- 問いは,特定の結果を要求しようとはしない
- 質問−解答方式によって,実験者が正しい答えにたどり着くことは保証されるか
- もっと個別的な問いを発する
- 5 問いに対する答えが得られたとき,それが受け入れられるものであると判断するためには何が必要か
- 6 実験結果をもとにして現実をどのように表現するか:モデルの構築
- モデル構築の例:フレームワークとなる開放型の問いから始める
- 帰納空間にアクセスして,実験のための最初の問いを定式化する
- 背景となる情報の必要性:帰納に用いることができる広い文脈を確立して,実験のための最初の問いを形づくる
- これまでに研究されていたものとはまったく異なる研究対象に直面したときはどうすべきだろうか
- 実験プロジェクトに情報を提供してくれる帰納空間を確立する
- モデルを構築する
- 帰納空間が小さくなることは,実験を早く進められる契機になると同時に濾過装置としても働き,科学者が重要な発見を見逃す原因にもなり得る
- 7 実験系を確立する
- 実験に使う系の有効性の確認
- 実験の際の対照
- 8 実験をデザインする:用語の定義,タイムコース,実験の繰り返し
- 用語を定義する
- 実験対象は「典型的な条件」のもとで研究しなければならない
- タイムコース実験と,実験の繰り返し
- 実験の繰り返しとタイムコース実験が,どのように実験の「答え」に影響を及ぼすか
- 実験のやり方を決め,それをもとに繰り返し実験のやり方を決める
- 実験系の有効化と対照の設定
- データを集めて分析し,最初の実験の解釈を行う
- 9 モデルの有効性を確かめる:未来を予測する能力
- 質問−解答のフレームワークでは,未来予測でモデルの有効性を確認できるかどうかを,いつ確かめるのか
- 未来を予測するための基礎としてモデルを使う
- 10 実験プロジェクトをデザインする:実際の生物学の例
- 実験デザインの例:制限酵素EcoRIの切断点の決定
- 帰納空間へのアクセス:実験対象について何がわかっているかを調べる
- 用語を定義する
- 系について既にわかっていることをもとにして一連の問いを設定し,それらの問いに答えを出す
- 実験系を確立する
- 「フライング」,そして,仮説が有効な場合
- 複数のやり方で実験上の問いに答え,必要条件と十分条件を確立する
- モデルを構築し,そのモデルを使って未来に何が起こるかを予測する
- 実験上の問いに答えが得られたことを宣言する
- 11 実験の繰り返し:モデルを構築するためにデータを集めるプロセス
- 統計的に有意な結果を得るのに必要な,測定の数を決める
- 実験の繰り返しの種類
- それぞれの種類の実験の繰り返しについての,生物学上の例
- 素朴な実験デザイン
- 少しだけ素朴でない研究デザイン
- データの変動を考慮に入れて研究方法を改良する
- データの変動は,生物学的に,研究している実験系に内在している場合がある
- 実験は,設定された問いを解くための実験でなければならない
- 「マーカー」を用いることによって,問いの対象を調べられていることを確認し,それによって研究を有効なものにする
- 最終的な実験のデザイン
- 12 ネガティブ対照はなぜ必要か
- 撹乱されていない状態としてのネガティブ対照
- 問いが複数の変数を含む場合,それぞれの変数に「Xで撹乱されていない」ネガティブ対照を設定する必要がある
- 組織培養の実験で,「Xで撹乱されていない」ネガティブ対照を設定する
- 遺伝学的な実験で,「Xで撹乱されていない」ネガティブ対照を設定する
- あるタンパク質が組織中に存在するかどうかを,抗体を使って決定する実験における「非X」
- システム内のネガティブ対照
- 「YはXか」という問いに対するネガティブ対照
- システム間ネガティブ対照
- 盲検法を「Xで撹乱されていない」ネガティブ対照として使う
- 要約
- 13 ポジティブ対照はなぜ必要か
- カフェインの研究におけるポジティブ対照
- ポジティブ対照は,研究の対象とは異なる撹乱によって,「実験系が確かに機能していること」を確認するものである
- ポジティブ対照によって,実験系のさまざまな面を検査できる
- 組織培養の実験でポジティブ対照を設定する
- 生化学実験のためのポジティブ対照
- 遺伝学的な実験でポジティブ対照を設定する
- 「あるタンパク質が組織中に存在するかどうかを抗体を使って決定する実験」でのポジティブ対照
- 14 方法論と試薬の対照
- 方法論対照が必要とされる例
- 試薬対照
- 方法論対照はなぜ必要か
- 重要な注意点
- 15 研究対象の対照
- 研究対象は,「普通の場合」だけでなく,「特定の場合」を代表するような形で選ばれることもある
- 反応のある対象を見つける
- 特定の種類の研究対象を用いるときの対照
- 研究対象のランダム化
- 研究対象を一致させる
- 変数
- 純系の動物を用いて得た発見を一般化する
- ヒト以外の動物をヒトのモデルにする
- 「ヒトのモデル」としてのヒト
- ヒトの集団で遺伝学的選別を行う
- 遺伝的な独立変数を見つける
- 対照を厳密に設定することで重要な効果を見逃す可能性がある
- 個体の代替物としての細胞:還元主義対照の必要性
- 細胞の代替物としての試験管内分子システム:還元主義対照がさらに必要になる例
- 16 仮定対照:実験を組むときに入りこむ「仮定」に対する対照
- 実験上の問いに仮定が含まれているとき,その仮定を除去できるようにする対照
- 不適切な演繹を避けるための仮定対照
- 実験の「舞台設定」が典型的なものかどうか決めるための仮定対照:結論に限界を設定することが必要な例としての組織特異性の問題
- 仮定対照としての還元主義対照:被験者の選別の際に行われる還元主義的なモデル化
- 仮定のジレンマの例としての薬剤の投与量の問題
- モデル動物と,そのモデルで得られた結果をヒトと関係づけるための仮定対照
- 単離した細胞でわかったことが生物個体でも成り立つかどうか確認するための仮定対照
- 単離した分子でわかったことが細胞内でも成り立つかどうか確認するための仮定対照
- 実験上のモデルが科学者の思った通りに働いているという「メタ」仮定に対する対照
- 17 実験者対照:客観性の確立
- 客観性の確立
- 開放型の問いを,科学者が特定の答えを出そうとすることに対する対照として用いる
- 評価の基準を前もって確立しておく
- 盲検法
- 異なる評価者
- 客観的な評価者としてのコンピューター
- 外部での繰り返しが,独立性と相互主観性の最終決定者となる
- 18 生物学における経験主義について
- 因果関係を調べ,必要性と十分性を決定することが必要かどうかを評価する
- 必要性と十分性が要求される場合
- いろいろな種類の生物学上の問い
- 「問題の解決」と「問題の原因の理解」
- 普遍的ではない真実を受け入れる
- 19 まとめ
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