目次
国宝の政治史 「中国」の故宮とパンダ
- 家永 真幸(著)
- 序章
- 1 問題はどこにあるのか
- 2 本書の目的と意義
- 3 どのような視点で分析するのか
- 4 本書の構成
- Ⅰ 中国の近代国家建設と国宝形成
- 第1章 ミュージアム概念の受容−清末中国における「博物館」(一八四〇年代−一九〇〇年代)
- 1 「博物館」という語の登場
- 2 外来文化としての「ミュージアム」
- 3 清末の博物館創設事業
- 第2章 「保護」の思想と歴史の継承−清朝皇室コレクションの「博物館」化(一九〇〇年代−一九二八)
- 1 清末期の文物「保護」
- 2 北京政府期の清朝皇室コレクション
- 3 「故宮博物院」の成立
- 第3章 文物の移動と「国宝」化−南京国民政府による接収と「故宮文物」形成(一九二八−一九四九)
- 1 故宮博物院の接収と文物選別
- 2 海外出展と「国宝」化
- 3 故宮文物の台湾移転
- 4 毛公鼎の接収−中央博物院との合流
- 第4章 近代的シンボルの創出−南京国民政府期における「パンダ外交」の形成(一九二八−一九四九)
- 1 海外発のパンダ・ブーム
- 2 無関心から禁猟へ
- 3 国際宣伝戦とパンダ
- 4 「パンダ外交」のルーチン化
- Ⅱ 分断国家の国宝をめぐる中台関係の展開
- 第5章 国際冷戦体制下の文化内戦−故宮文物をめぐる国共対立の展開(一九四九−一九七二)
- 1 台中における保管
- 2 中国共産党による北京故宮の接収
- 3 分断国家問題の「文化内戦」化
- 4 故宮文物の海外出展に込められた期待
- 5 「台北故宮」の成立
- 第6章 文化内戦の脱冷戦化と国際レジーム化−中華人民共和国による「パンダ外交」の継承(一九四九−二〇一一)
- 1 首都北京におけるパンダの飼育・展示
- 2 国際冷戦下のパンダ外交
- 3 対日パンダ外交
- 4 パンダの新たな政治的地位
- 第7章 分断の解消、肯定、迂回をめぐる力学−「台湾化する台湾」における中国国宝問題(一九七二−二〇一六)
- 1 台湾の政治変動と故宮博物院
- 2 台湾に対するパンダ「贈呈」
- 3 「分断」故宮の現況
- 終章
- 1 故宮文物とパンダの国宝化過程の共通点
- 2 「国境の存否」を政治問題化し続ける「国宝の移動」
- 3 複数の「国宝」観を並存させる政治
- 4 国宝を国宝たらしめてきた政治力学
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