目次
〈色盲〉と近代 十九世紀における色彩秩序の再編成 (視覚文化叢書)
- 馬場 靖人(著)
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はじめに
序 章 視覚玩具としての石原表――色盲の両義性
1 〈できる/できない〉の配分体制
2 石原表の両義性――〈できる/できない〉の転倒
3 石原表の「起源」――十九世紀の生理学と色盲
4 石原表の遊戯性
5 色盲者の〈昼〉と〈夜〉
第1部 「青」の時代――色盲の前近代
第1章 ジョン・ドルトンの「青」――色盲者の言語の発明
1 ドルトン以前の色盲
2 ドルトンによる色盲の観察報告
3 「青」の過剰――色盲者の言語の発明
第2章 ゲーテの「青」――色盲者の色世界の可視化
1 ゲーテと「青色盲」
2 ゲーテの色盲観察法
3 「青」の欠如
4 『色彩論』における「青」と「青色盲」の位置
5 ロマン主義の「青」
第3章 シャルル・メリヨンの〈青〉――色盲者の記憶の寓意
1 ベンヤミンのまなざしを通してメリヨンを見る
2 色盲の病跡学
3 地層化する記憶
4 〈青〉の消失と色盲の近代の夜明け
第2部 十九世紀における色彩秩序の再編成――知覚と言語の弁証法
第4章 色盲の「名」をめぐる論争――DaltonismeとColour Blindness
第5章 ショーペンハウアーにおけるカント哲学の生理学化――「経験的=超越論的二重体」としての色盲者の誕生
1 ショーペンハウアーによるカント哲学の生理学化
2 ショーペンハウアーの色盲論
3 ショーペンハウアーと生理学の発展
第6章 ヘルムホルツ対ヘリング――生理学的な「原色」の探究
1 生理学における色盲への関心の増大
2 ヤング=ヘルムホルツ説とヘリング説の対立
3 次世代への矛盾の継承
第7章 ラーゲルルンダ列車事故の衝撃――ホルムグレンの方法をめぐって
1 ラーゲルルンダ列車事故とホルムグレン羊毛法
2 「現行信号システム」の正当化
3 「ラーゲルルンダ伝説」の再検証
4 ホルムグレンの「ペテン」
第8章 カント主義の哲学者としてのシュティリング――知覚と言語の対立から仮性同色表へ
1 ヘルムホルツ対ヘリング論争におけるシュティリングの立ち位置
2 シュティリングのカント主義的色盲論
3 シュティリング表の誕生――文字と色彩の綜合
第3部 石原表と「近代」のほころび
第9章 石原忍体制の成立――戦時科学と色盲
1 ヘルムホルツ説とヘリング説の「綜合」
2 戦時下の規律と三つの身体モデル
3 『日本人の眼』における色盲の位置
4 総動員体制と職業制限の崩壊
5 新国字研究と「健康上完全無欠な眼」
第10章 いかにして色盲を「治療」するか――「補正練習法」と規律の技法
1 「色盲治癒言説」の回帰
2 精神から身体へ――「練習」の布置の変遷
3 補正練習法の空間構造
第11章 石原表のゲシュタルト崩壊――石原体制の内破
1 「数字の流動」の経験から出発して
2 石原表の中心化/脱中心化
3 草間彌生の水玉、石原表の色班、新印象派の絵具
4 世界の色を塗り替える
終 章 色盲者の言葉を取り戻すために
1 色彩の流謫と帰還
2 色盲者が「飛ぶ方法」
参考文献一覧
あとがき
事項索引
人名索引
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