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紙の本

副題の「英語知の追及」が本来のタイトルだったように思える。

2015/10/01 15:50

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投稿者:arima0831 - この投稿者のレビュー一覧を見る

話題になっている二つの英語にまつわる社会現象に反論する、という表題。
そのとおり!とタイトルに強く同意しつつ読んだ。

英語エリート教育の在り方と、文法をきちんと習得することの重要さについては、渡部氏なりの考察が展開されていて面白かった。
英語を実用としてばかりとらえず、素養教養として学ぶ意義については心から同意。
実用的でなければだめだというなら、数学の微分積分なんか無駄の極みということになる。
人間としての知力を鍛えるための意義が、英語という科目でもっと見直されてよいと思う。

本書で渡部氏が語っているのは「日本の文法中心教育は必ずしも間違っていない」という論と「日本人の高度な知力に貢献してきたのは、漢文の素読という究極の訳読方式の追及だった」という話。そして日本の官僚が海外との政治的駆け引きにおいて、英語を駆使して戦えるようになるにはどうすべきか、という提言。

この方が見ているのは、どこまで行っても最低限が上智大学レベルのいわば語学エリート層であって、語学を得意としない中間層以下の学生は視野に入っていない様子だ。
できる層がより伸ばせる環境が未整備なのは現実なので、それはそれで別の議論として、現状の「日本人の英語力を上げる」というテーマにまつわる諸方面での迷走ぶりを軌道修正するインパクトはなかった。

一方で表題の「社内公用語」の問題については、ちょこっと触れた程度でほぼ何も書かれていない。
早期教育についてはそれなりの紙数が割かれているが、基本は他の研究者の論説の紹介で斬新さはない。この方が紹介することで、世により広く知られることに意味はあるだろうが、表題にするほどの内容はなかった。残念ながら看板倒れだ。

副題の「英語知の追及」が本来のタイトルだったように思える。
出版社が話を採録してから、売れそうなタイトルを後付けしたのだろうか?
看板と中身がかなり食い違うことさえ念頭にあれば、参考になる話ではあるので、ちょっと残念・・・。

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