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リヒャルト・シュトラウス 鳴り響く落日

リヒャルト・シュトラウス 鳴り響く落日 みんなのレビュー

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1 件中 1 件~ 1 件を表示

2017/01/06 10:31

投稿元:ブクログ

 これまでブルックナーとマーラーの評伝を上梓してきた、ギタリスト/著述家によるリヒャルト・シュトラウス伝。
 序章はナチス・ドイツが崩壊した直後、トーマス・マンの息子クラウスがシュトラウスを訪ねた際のシュトラウス一家の脳天気ぶりを書く悪意に満ちた記述から始まる。「恥知らずのエゴイスト」。確かに彼はエゴイストだと著者は述べる。しかしそれは利己主義ではなく、究極の個人主義である。彼はユダヤ人迫害に荷担したことはなく、迫害に歯止めを掛けていたが、それを喧伝することはない。シュトラウスは常に淡々としている。
 『第三帝国の音楽家たち』のケイターは戦時中のフルトヴェングラーが不当に美化され、シュトラウスが不当に貶められていると述べているが、本書はそれと認識を一に、改めてこの巨匠の姿を検証しようという姿勢で書かれている。ナチ協力者のほかに彼に投げかけられた毀誉褒貶、いや毀貶は、恐妻家、守銭奴、冷血漢などであるが、それは事実のごく一面や上っ面をみているに過ぎないことが検証されていく。
 そして、あとがきで、「シュトラウスの交響詩が嫌いな人には、もう一生聴かなくてもいいから、彼の器楽曲や、ピアノ歌曲やオーケストラ歌曲を、ついでにオペラを聴いてごらんなさいと言いたい。ここにはまだ一生分くらいの楽しみがある」と述べる。まさにその通り。
 シュトラウスの人柄を示す細かなエピソードもよく拾われていること、オペラのあらすじがすべて掲載されていることが、本書の大きな特徴である。

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