紙の本
地図のない場所で眠りたい
2021/11/04 13:01
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投稿者:雄ヤギ - この投稿者のレビュー一覧を見る
高野秀行さんと角幡唯介さんの対談本。どちらも早稲田大学の探検部出身で、先輩後輩の関係にあるらしく、それぞれの本を読んでいてもあまり分からない作者自身のことが客観的に評価されているようで、よかった。
探検部のことや、探検の準備から語学学習のことなど幅広く話されているが、特に文章については力が入れられていてよかった。
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投稿者:なま - この投稿者のレビュー一覧を見る
話題になっている「極夜行」の作者である角幡唯介さんの名前が表紙に大きくあったので読んでみました。どうやって探検家という珍しい職業を選ぶことになったのかなど、読んでいて面白かった。
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期待して無かったけど、面白かった。早大探検部OB同士の対談。どちらも好きな作家だけど、ルーツが一緒だとは気づきませんでした、角幡さんの宮古島漁師の作品、凄く読みたい。
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ノンフィクション作家の高野秀行氏と角幡唯介氏による対談作品。二人には探検をテーマとした作品が得意という共通点がある、なぜなら二人とも同じ大学の探検部出身だからなのだ。
探検部時代のエピソードや、著書の舞台である探検の裏側、執筆に対する姿勢など、普段はなかなか知ることの出来ない話題が満載で非常に面白い。角幡氏のエッセイでも紹介されていた、「剱岳3000m化計画」には改めて笑わせていただいた。
作品の中では流れに身を任せるようなタイプの高野氏だが、対談では先輩らしく振舞っていたのが妙に新鮮だった。いつか二人で一緒に探検に行って、別々の視点で同じテーマの作品を執筆してもらいたいものだ。
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高野さんによると「最初で最後の」対談本だそうだ。どちらもワセダ探検部出身で、辺境探検を本に書くという共通項があり、昨年は講談社ノンフィクション賞を同時受賞した。いかにも「似たもの同士」みたいに見えそうだけれど、お二人の本をどっちも読んだことがある人の多くは、おそらくかなり違うイメージを持つんじゃないだろうか。この対談でも、様々な面での違いがくっきりしていて、実に面白かった。
角幡さんの書かれるものは、それが壮絶な冒険行の顛末であっても、かなり内省的だ。冒険や探検にまつわる「物語」に大きなウエイトがあり、そこに魅力がある。対する高野さんは、探検そのもの、未知のものを明らかにしたいというそのこと自体をどこまでも追求していくスタイルで、自分の内面がどうだとかまったく興味がないそうな。
角幡さんの「雪男は向こうからやってきた」についての話の中で、角幡さんから「高野さんならどういう書き方をするか」と尋ねられた高野さんが、「書き方もなにも、自分で探しに行く」と答えていたのが象徴的。うーん、高野ノンフィクションのユニークさはここなんだな。
一見そうは見えないけれど(笑)緻密に準備する高野さんに対して、角幡さんは意外にもかなりいい加減にスタートしてしまう、ということとか、高野さんはまず現地の言葉をしゃべれるようになろうとするが、角幡さんは英語の読み書きはできるが会話は全然ダメだとか、やっぱりお二人はいろいろ違うのである。
そうは言っても、さすがに共通点もある。探検部出身者のメンタリティとして、自ら道を外れておきながら、本道(アカデミックな研究者とか、登山家とか)に対してコンプレックスがある、というのはなんだかわかるように思う。そういう意味でも「ソマリランド」が賞を取ったことは本当にめでたいと、あらためて思った。
さらに目から鱗の思いだったのは、お二人とも、書く素材で勝負しているように思われるのがとても不本意で、「書く」という行為に重きを置いているということ。「行って半分、、書いて半分」と高野さんは言っている。これはちょっと考えれば当たり前のことだけれど、あまりに「素材」が面白いので、つい忘れがちだ。
実際自分だって、高野さんの文章が好きだから次々読んでるんだよね。おおーっと驚く探検話でなくて、段取りだけして結局行くことができなかったり(「ウモッカ」)、追求するのが腰痛だったり、砂漠のマラソンだったりしても、どれもこれも面白いのは、やはり抑制の効いた文章の力なのだ。高野さんお得意のお笑い要素も、安易なエログロに流れないところが女性ファンも多い理由だろう。
「お笑い要素」はこの対談にもたっぷりあって、読みながらずいぶん笑った。あげればキリがないので二箇所だけ引用。
高野「俺は高校までは優等生というか、まじめで協調性があると言われていて、それがもうほとほとうんざりだというのもあったんだよね。その場に見合った行動を取るということが身に付いていて、今に至っているわけだけど」
角幡「え?」
高野「そうなんだよ。行く先々ですごく溶け込めるというのは、そういう能力があるか���だと思うよ」
角幡「ああ、そうかもしれないですね。協調性を発揮する場所が社会と同調していないだけで」
高野「俺が(大学)5年生くらいのときに、マツドドンを探すとかいうやつがいたんだよ。千葉の松戸にマツドドンという謎の未知生物がいるそうで、『そんなもんいるわけねえだろ』って言ったら、『高野さんにそんなこと言われたくない』って言い合いになって(笑)」
角幡「そりゃそうだ(笑)」
高野「『そう言うならコンゴにだってムベンベなんかいるわけない』『松戸にいないという根拠はなんですか。説明してください』とか言われて困っちゃって。『常識で考えろ』って言い返したり(笑)」
他にも、「角幡さんは『鈍感力』があるから新聞記者色に染まらなかった(高野さんならつい適応してしまっただろう)」とか、「俺自身はやっぱり文章を書かないではいられないんだよね。それは、自分に欠けているものがあるということなんだよ」という高野さんの言葉には、なんだかしみじみ考えさせられた。
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高野秀行さんと、早稲田大学探検部の後輩である角幡唯介さんによる対談本。いつもとは少し違った、なんというか“先輩っぽい”高野さんを垣間見れて、面白く読めました。高野さん…普通に見ると十分おかしいけど、この人と話していると探検部というのはこれが普通の世界なのかも、とうっかり思いそうですが、多分角幡さんもおかしい人なんだろうなとか。
恥ずかしながら角幡さんの本は未読なのですが、この二人の探検観や、探検に行くにあたっての準備やら現地での話から、それを本にまとめるということまでじっくり読めたのも興味深いものがありました。二人とも探検は楽しいからしていることで、自分は物書きとしてプロフェッショナルだと考えているというのは、納得というか。こういう話をしっかりできる相手って、きっと二人ともほかにはいないんだろうな、なんて思うので、貴重な一冊なのではないでしょうか。
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2人とも僕が好きなエンタメノンフの著者だ
同じ海外で冒険を繰り広げ本にしている著者たち
だが対談することで立ち位置の違いが明らかになり
面白い
こんなことを考えながら冒険して本を書いているんだな
と興味をそそられる
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話のネタではなく話の技術で評価されたい、という後半にすごい熱量を感じた探検家対談。
多分、冒険家だと評価されたい軸が逆になるのかな?植村直己の文章とか、そんな匂いがする。
しかし、ソマリランドの続き、沖縄のマグロ漁師の話、是非読むか聞くかしたい。
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本屋で見かけてフラフラと買ってしまった。『空白の5マイル』で衝撃のデビューを飾った角幡唯介と我らが辺境作家高野秀行の濃密対談集。実はこの二人、早稲田大学探検部の先輩後輩の仲。西木正明、船戸与一なんて大先輩もいる。東京の大学に行きたいなんて考えたことは一度もないけど早稲田大学探検部には憧れる。それにしても好きなことしながら大学に裏表八年通って人気作家になれるとは才能の賜物とは言え羨ましい。学生時代の体力なら末席を汚す程度のことはできたかも?そしたら両名の先輩か...でも西木・船戸大兄の後輩になる自信はない。
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早稲田の探検部先輩後輩対談。いかに旅するかの話がメインなのかなと思いましたが、いかに書くかの話がメインだったような気がします。いずれもなかなか自分では真似出来ない行き先を選ぶ二人なので、やはりいかに読ませてくれるのかに熱心であることは、私もこれから読書が楽しみです。
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私はノンフィクションが好きなのだけれど、事実を知りたいと言うよりは(もちろん創作では無いと思っているけれど)、作者から見た世界を見たい、知りたいと思っているのである。そういった意味で作家性のあるお二方の対談は非常に興味深く面白かった。
1作目から読みたくなる。そして幕間に書かれているノンフィクションも読みたくなる。読みたい本減らないな……。
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大好きなお二人、高野氏と角幡氏の早大探検部OB対談?!これは必読でしょう!
対談の中身は推して知るべし、お二人の著作でも知られる辺境探検(ただし、高野氏は「自分は変なところに行くのは好きだが危険は避けたい!だから探検しているつもりは全くない!」とのたまっておられる)の思い出話(?)から、探検部matter、物書きとしての矜持などなど、彼らの本を愛読している向きには、どれもこれもが舞台裏話でたいそう興味深い。
もちろん妙に笑える。
意外にも実は周到な準備で臨むのが高野氏で、行き当たりばったりなのが角幡氏、文化人類学的な興味の深い高野氏と秘境辺境人跡未踏そのものに惹かれる角幡氏、など、思いがけず二人の違いが浮き彫りに。
逆に、そういう地に行くことそのものが重要なのかと思いきや、それと同じくらいの比重で書くことも大きな目的の一つというのは両氏共通であった。
対談本文の面白さもさることながら、注目はそれぞれで書いているあとがき。
高野氏が角幡氏の名言「探検は土地の物語、冒険は人の物語」とか「ノンフィクションは事実を書き、小説は真実を書く」なんかを指して「昔の文学者か!」と持ち上げ(?)つつも「実はバカじゃないか」と大真面目に切り捨てたり、角幡氏が、世間と探検部の価値観の逆転を嘆いたり(嘆いてるかな…??)と、あとがきの面白さも格別。
探検部出身者に作家や写真家が多いという事実(本多勝一に始まり、西木正明、船戸与一、星野道夫など錚々たるメンツ。あの高山文彦も早大探検部出身だとは!)も興味深い。
また、探検を知る一冊として別コラム風に紹介されているコーナーでは、挙がっている5冊の本が全て、既読か読みたいと思っていた本で、改めて自分が探検冒険系の本が好きなことがわかった。道理で両氏が大好きな訳だ…。
この10年くらいに読んだ本の中で最も面白いと思っている『ピダハン』も挙がっていたし。
対談なだけに読むのもすいすい。楽しくてワハハと笑いながらお二人の魅力に再度取りつかれた私なのであった。
あ~面白かった。
余談。
高野氏が、ナウル共和国の話で本なんか書けんだろうと言っているけど…あるよね~これが。薄いけど、一冊は一冊。
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探検・冒険ライターであり、早大探検部の先輩後輩でもあるふたりの対談集。高野秀行の「謎の独立国家ソマリランド」を読んだとき、この人を動かしているのは間違えてもジャーナリストとしての使命感ではないな、と思ったが、やっぱり探検なんだな。だから悪いわけでも、良いわけでもないが。
ただし、二人の対談を読んで、なるほどだから二人は探検にこだわるんだ、と思うかは微妙。ガンダムオタクの対談集を読んだら、ガンダムの魅力が理解できる、わけではない。
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早大探検部幹事長の先輩後輩で探検家(と思われている)2人の対談がコンパクトにまとまっている。どういう視点で活動してきたよくわかる。文章家>探検家は共通してる。独自性のある人同士の対談は味わい深い。
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話題のノンフィクション作家の対談である。二人とも早大探検部OBという共通点があり、探検というフィールドは同じものの、文体、考え方、行動様式、など異なるところの方が多いが、それは本書でもより明確になった。それは、あとがきにも記されているように本人たちがいちばん分かっているのだろう。
書名は内容とは何ら関係なく、最初から最後まで対談である。けっこうまじめな文学論というかノンフィクション論である。
本書は、ふたりのファンのための書である。ファン以外には退屈かもしれないだろうし、ファンにとってはだいたいは知っていることまたは想像通りで、驚くようなことは少ないと思う。