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約束の道(ハヤカワ・ミステリ文庫)

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みんなのレビュー4件

みんなの評価3.8

評価内訳

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4 件中 1 件~ 4 件を表示

2016/06/08 16:32

投稿元:ブクログ

ひとつの物語を読み終えて、登場人物たちのその後の人生に思いを馳せることは、実は意外と少ない。主人公の男が娘に宛てたメッセージで完結する本作は、決して湧き上がるような感動をもたらすものではないが、親と子の絆の深さがしんみりと染み通り、彼/彼女らの「それから」が心中に去来する。それまでの親子の道程とこれからを象徴する伝言……「塁で待て」という僅かな言葉に込められた思いが、短い旅路で培われた親子の希望の萌芽を表し、ラストシーンの余韻へと繋がっていく。

プロ野球の人気投手であったウェイドは、死球による暴行事件を機に選手生命を絶たれる。自堕落な生活により離婚、幼い娘二人の親権も放棄したが、その三年後に妻が麻薬の過剰摂取により死亡。娘らは施設に送られるが、突然ウェイドが現れて子どもを取り戻そうとする。だが、身勝手にも自分たちを捨て去り、今は泥棒に成り下がり逃亡中であった父親を娘らが受け入れるはずもなかった。
12歳となった長女のイースター、元刑事で子どもらの後見人ブレイディ、ウェイドが奪った金を追いつつ過去の個人的怨恨をはらそうとする小悪党プルーイット。この三者の視点でストーリーが展開していくのだが、あくまでも中心に在るのはウェイドであり、本来の主人公を脇の人物らが語っていく手法が、社会人としても父親としても失格者でありながらも、つい「負けるな」と応援したくなるよう駄目男の造形をさらに深めている。
父親への冷え切った思いが微かな「愛情」へと変わり戸惑うイースターの感情表現も見事。再会直後にウェイドから教わった野球のサインが最終的に「愛する者」を救うことになるエピソードなども素直に巧いと思わせる作品。

2015/01/14 14:55

投稿元:ブクログ

母親が薬物で死んで保護施設に引き取られた姉妹の元に、真剣を放棄した父親が現れ二人を連れ出した。
父娘の絆は再生されるのか?

サスペンスとは謳っているけど、純文寄りだね。
父娘のギクシャクした避行がメインで、謎はない。
この父親がダメなやつで、まあ色々と疑問に思うところ有り。
淡々とした筆致が野球好きの自分には合わなかったな。
野球の熱気が伝わってこないの。
そこは主題じゃないので、物語的にはこれでいいのかもしれないけど、座りの悪い読書だったな。
あと一人称で主眼がコロコロ変わるんだけど、誰が語り手なのか分かり難くて躓いてばっかりだった。

2016/04/23 18:22

投稿元:ブクログ

母さんが死に、施設に引き取られたわたしと妹のもとに、三年前に離婚して親権も放棄したウェイドが現われた。母さんからはいつもウェイドは野球に挫折した負け犬だと聞かされていたが、ほんとうはもっとひどかった。ウェイドは泥棒でもあったのだ。すぐに彼と盗んだ金を何者かが追ってくる。やむなくわたしたちはウェイドとともに旅に出るが…波乱の逃避行の末に父娘の絆は取り戻されるのか?実力派が描く感動の物語。

ソーサとマクワイアのホームラン競争で沸いた年の物語。元刑事のブレイディ・ウェラーの視点がよい。

2014/12/03 11:08

投稿元:ブクログ

父親が去り母親も死んでしまった姉妹。施設に預けられている彼女たちに、姿を消していた父親が会いにきて連れ出してしまう。初めは反発する姉と無邪気に信じる妹。ダメな父親だけど何とかやり直そうとしているが、何か秘密があるらしい。話は姉や彼らを追う悪人、彼女たちの後見人等それぞれの視点から語られる。ありがちなストーリーだけど、父娘が野球を通じて絆を結ぶ場面は良い。あと父親からの視点がないせいで、想像力を働かせる余地がある点も上手いと思う。最後に後見人が選んだ行動も意外だったし、安直なハッピーエンドではないけど希望の見える終わり方が好感が持てた。

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