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指差すことができない

指差すことができない みんなのレビュー

第19回中原中也賞 受賞作品

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みんなのレビュー3件

みんなの評価4.5

評価内訳

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3 件中 1 件~ 3 件を表示

2014/05/09 23:22

投稿元:ブクログ

18の詩から構成される詩集。
「指差すことができない」「ラ・カンパネラ」など。

(詩の読み方を知らないので)
ずいぶん空想的だと思う。
(言葉と言葉のつながりがわからないので)
なにを差しているのだろうかと、考え考え読む。途中でたまらず投げ出す。
(読み進めていくと)
井伏鱒二の小説や寺山修司の短歌、新渡戸稲造の言葉が引用されていき、原発事故やハリケーンのニュースを扱った作品が続く。現実世界に引き戻された。




その中で気に入っているのは2作品
「夜が静かで困ってしまう」書下ろし
『夜がこんなに静かで 
 ずいぶん苦労してしまう
 闇のなかで桜が咲いていることを思ってしまう(引用)』
と、始まること詩は、読み進めていくと、長い一続きの文章が出てくるのだが、そこがなんともここちよいリズム。
「知らない人と話す」書下ろし
『この人はいまとてもいい空色のぽろしゃつを着ている(引用)』
とてもいい空色のぽろしゃつってどんなだろうと考えているうちに詩を読み終わった。茄子の浅漬けや黄色い辛子、木綿豆腐もでてきて、カラフル。

私にとって、この詩集は、白い木綿のワンピースを着た清潔な女の子が、女性が、風を受けてすっくと立ち、世界と対峙している様子を頭に描かせた。

2014/08/09 15:38

投稿元:ブクログ

 『群像(8月号)』で、高橋源一郎がこの詩集に収められている「夜が静かで困ってしまう」という詩を激賞している。

  夜がこんなに静かで
  ずいぶん苦労してしまう
  闇の中で桜が咲いていることを思ってしまう
  亡霊みたいにコブシが咲いていることも思ってしまう
  昼間歩いた道に変態がいないか気になるし
  ・・・(「夜が静かで困ってしまう」より)

 こんな具合に、夜が静かだと、いろいろなことが浮かんでくるもので、私もかつて「妻のいない夜」という詩を、私にしては珍しく、一気に書き上げてしまったことを思い出す。
 この人の感性は面白そうと、早速ネットで注文して読む。
 期待を遙かに超えて、キラキラ光る言葉たちが飛び込んでくる。詩という形式でなければ表現できないものがここにはある。だから、詩の題にも「指差すことができない」「ここにないものについての感情」「知らない人と話す」と、<ない>が付いてしまう。
 言葉そのものへの根源的な問いを内包した詩「うるさい動物」は、高らかな宣言で始まる。まるで田村隆一が女性となってここに甦ったと錯覚するほどだ。
 
 言葉を信じるな
 「青い空」を信じるな
 「輝く大地}を信じるな
 「希望の光」を信じるな
 わたしはうるさい動物である
 ・・・(「うるさい動物」より)

 この詩の末尾には、こんな言葉も添えられている。

 *言葉は人間がさいしょに被る震災です。言葉は人間が毎日受け続けている暴力です。被災 し、暴力をふるわれて、黙っていることができずに、赤ん坊は言葉を喋り始めます。誰かの言葉はそのまま、誰かの被災のかたちです。何から何までが「今回の被災」なのか、私はずっと、わからずにいます。(「うるさい動物」より)

 「詩が被災した」と言ったのは荒川洋治(『詩とことば』)だが、そもそも言葉そのものが震災だと感じているこの「うるさい動物」は、これからどんな言葉を吐き出すのか、目が離せなくなってしまった。

2015/11/05 11:40

投稿元:ブクログ

私は大崎さん(著者)の否定的な表現が好きです。
という感想を、某SNSで直接著者に送ったら、返事が返ってこなかった。

なので、この感想は、著者の意図とは相容れないものだったのだろう、と思うしかない。

その例を紹介してみると、例えば
『うるさい動物』では
「(略)
言葉を信じるな
政治家の言葉を信じるな
デモ隊の言葉を信じるな
病人の言葉を信じるな
先生の言葉を信じるな
おんなの言葉を信じるな
武士の言葉を信じるな
セレブリティの言葉を信じるな
労働者の言葉を信じるな
わたしの言葉を信じるな

世界中のだれもが被災している
世界中のだれもが罹患している
世界中のだれもが発症している
世界中のだれもが感染している
言葉を信じるな

うるさい動物が都市に分布する
家賃がかかる
食費がかかる
光熱費がかかる
音楽が要る
思想が要る
言葉が要る
ひとつ欠ければ体調を崩す
熱が出る

けれど、薬を信じるな
巫女を信じるな
歌手を信じるな
資本主義を信じるな
キリスト教を信じるな
世界市民を信じるな
愛と勇気を信じるな
耳を、ふさぐな

(以下略)」

とあるように、否定的な表現をもって何かがあらわされている(?)詩が、この詩集にはとても多い。

著者の詩に最初に触れたのも、記憶がおぼろげなので引用ではないけれど、
「産まれたばかりなのに、もう疲れていた」というような詩の冒頭の(!)一片だった。

今はその頃と少し気分が変わってきたので、否定的な表現にその頃ほどは魅かれないかもしれないが、相変わらず魅力的だとは思う。

けど、最初に述べたように、著者から応答がなかったことで、更にこの著者の作品を読み進めようという意欲は萎えてしまった。

ネット文化の功罪か。。

でもこのレビューを書いていて、またこの詩集をもう一度読み返してみようかな、という気にはなった。

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