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1962年生まれの国際山岳ガイド・近藤謙司氏による著作。
著者は、二十歳過ぎからヨーロッパアルプスで山岳ガイドをはじめ、その後60人近くの8,000m峰登頂をサポートし、2006年には当時最高齢登山者となった70歳の男性をエベレスト山頂に導いた、日本を代表する国際山岳ガイドのひとりである。自らも、2013年に七大陸最高峰登頂を達成している。
本書は、2011年に自らがサポートした日本人女性12番目のエベレスト登頂の記録が、TVのドキュメンタリー番組『エベレスト、登れます。』として放映され、文化庁芸術祭参加作品にもなったことをきっかけに、まとめられたもの。
著者は、子供の頃から、「一人では行かない、必ず誰かを連れていく」、「リーダー役は担っても王様にはならない」、「楽しむことをひたすら」というタイプで、「根っからの山のガイドだった?」と書いているが、その通りに明るくポジティブに生きてきた50年を綴っている。
そして、これからについて、「『行きたい!』という気持ちがあるのなら、僕が絶対に連れて行く。僕が山に登るのは、そこに大好きな『人』がいるから」、「スイスやオーストリーでは、すでに子供たちのなりたい職業の上位に山岳ガイドが入っている。日本・・・の子供たちの憧れの職業に僕はしたい。『おじいちゃんて山岳ガイドだったんでしょ?すげーなー。』って孫に言われることを夢見て」と語っている。
また、専門的な訓練を受けていない人間にも、ヒマラヤやアルプスの高峰に登りたい、登れるかも知れないという気持ちを起こさせてくれて、元気が湧く。
(2014年6月了)