紙の本
新しい社会には、新しい権利を
2014/07/15 23:17
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:英現堂 - この投稿者のレビュー一覧を見る
NHKブックスの装丁がいつの間にか変わっている。
この人もNHKの『ニッポンのジレンマ』で知った。現在の社会問題をコンパクトにまとめた本になっている。水俣病やハンセン病などの昔からある差別問題(が今も引きずっているもの驚きだが)や、現在新たに起こっている問題を示してくれる。
あたりまえだが、社会が変わればその問題も変わる。例えば監視カメラ。犯罪は減るかもしれないが、自分の行動も監視される。そういうログを<取られない権利>や<消す権利>、逆に<見る権利>。ストーカーから逃れる<縁を切る権利>。<犯罪者にならずに済む権利>。ネットに拡散した不都合な個人情報を<忘れられる権利>。
著者は<新たな権利を考えるということは、いまだ達成されていない新しい社会を構想することです>という。そう考えるとなんだか面白そうだ。
投稿元:
レビューを見る
「なんとかなる社会」、その通りだと思う。人は常に正しく多数派の位置に存在出来るとは限らない。弱い立場、少数派の立場に立たねばならなくなった時に、糾弾されたり廃除されたりしない社会であってほしい。
投稿元:
レビューを見る
具体的論から議論を積み上げてゆく荻上チキの面目躍如の書。
現実にある問題ー監視カメラ、リベンジポルノ、水俣病などなどを題材に、社会の認識やそれに基づく制度の是正を論じる。
これは読む人によってはとても過激な書に映るだろう。現状と折り合いをつけることが、世間を渡ってゆくことだと認識している人には理解出来ない内容かもしれない。
しかし、現実というものは天賦のものではないのだ。荻上も言うとおり、「権利」とは現実を変えようと声を挙げた「変人」が言いだしたものなのだ。最初は受け入れられない「変人」による言説が、獲得されることで現実を変えてきた。
それが現実がいろんな人を苦しめているなら、その原因を除去すればいい。そんな単純な発想から荻上は語っているはずだが、きっとあるスタンスの人間が読めば「左翼」の戯言で片付けられるだろう。かつての自分ならきっとそうしていた。
しかし思想は現実で使えないと意味がない。評論家では意味がないのだ。
だから荻上チキのこのスタンスはとても勉強になる。これを「左翼」で片付けていては状況は何も変化しない。
現実への処方箋。そんな本である。
おまけに。
荻上チキがここまで自分のスタンスを明らかにしたのは初めてではないか?
投稿元:
レビューを見る
○評論家・編集者の荻上チキ氏の著作。
○日常生活における様々な不都合・不合理を解決するため、新たな権利の設定というテーマで、社会問題を明らかにしている。
○本書中には、数々の差別が登場するが、どれも社会の陰に隠れがちで、“フツー”の生活をしていると気がつかないことばかり。そのような陰の部分を積極的に明らかにしているという点で、本書は大変貴重。
○極めてリベラルな立場からの主張であり、思想が異なる人には受け入れにくい部分もあるかと思うが、実際の差別・被差別の事案といった社会問題を知るという意味でも、ぜひ読むべき作品。
投稿元:
レビューを見る
やたらと引用ばかりで、目新しいプロットもなし。
「社会問題を読み解く6つの講義」と銘打たれているが、どの「講義」も「講義」と呼べるレベルにはない。
買わなきゃよかった。
投稿元:
レビューを見る
新しい権利を発見・発明することこそが、未来をつくるのだ。
なんとかなる社会、って良い言葉だな。
当たり前のようでいて当たり前になってない不便さが横行する社会。普通であることが求められるこの社会で、ほんのちょっとだけ世間の普通にくくれない人たちも、普通に普通だと言える社会を。
見えてるようで見えてないこと考えきれていないことって多分たくさんある。
みんななんとかなる社会に。
ありがとう。
投稿元:
レビューを見る
【所在・貸出状況を見る】
http://sistlb.sist.ac.jp/mylimedio/search/search.do?target=local&mode=comp&category-book=all&category-mgz=all&materialid=11400264
投稿元:
レビューを見る
20160112 排泄権は面白かった。男女平等と言われるけど、トイレの数は平等ではなく女性のほうが多い構造で良い。
投稿元:
レビューを見る
これからを生きていく上で、どんな権利に対して無意識でいるか考えさせられる。
声高に叫ぶためではなく、個々の意識に問いかけるための、権利。
投稿元:
レビューを見る
社会に対して論理的で感情もある提言をするチキさん、やっぱり好き!話題となるテーマも生活に根差したもので読みやすかった。子育ての話はチキさんの怒り具合につい笑っちゃったなぁ(笑)
投稿元:
レビューを見る
「社会が抱える問題」を考えるとき、正直なところ何から手をつけたら良いかわからない、と私自身戸惑いがあった。
新聞を読むのが手っ取り早いかと思うと、意外ととっつきにくくて難しい。
新聞はもちろん読んだ方がいいけれど、そこに書いてあるのは基本的に「現場はこう動いてますよ」という経過報告だ。
政府がこういう法案を決めようとしている、とか、ある国で紛争がおきて難民が出ている、など。
そういった報告を読んでも、じゃあ自分にとって社会はどうあって欲しい?という「疑問」に直結するわけではない。
そんな時、他の人の打ち出した「疑問」をなぞることで、考えを深めていけることもある。
本書はそういう意味で、とても助けになってくれる本だった。
文章は読みやすいので、中学・高校生でも読み通せると思う。
著者の6つのテーマのたてかたはユニークだ。
トイレに行くことも権利、睡眠をとることも権利。という、身近すぎて疑問を抱かなかったことに気づいたり、また公害病やハンセン病などのテーマについては、改めて考えるところがあった。
取材にもとづく「証言」や、実際に書かれている条文を引用として盛り込んでいるので、身近な疑問を考えることから初めて、社会問題につなげていくことができると思う。
こういう本はもっと沢山読みたいな、と思った。
投稿元:
レビューを見る
これからの世界、こういう権利があるといいんじゃないの、既存の権利もこういうふうになっていくといいんじゃないのというのをチキさんが講義形式(?)で紹介する本。実はちょっと粗製的な感じのする本で主張としてはあまいかなーという感じがするところもところどころ。現状の不便を実例を引いて紹介したうえでこうなるといいよねということをちょっと紹介しているんだけど、こうなるといいよねという部分がおおかたうなずけはするんだけど、どうも説得力というか根拠に欠ける感じ。思いつきとまでは言わないけどとりあえず言っとくみたいな。材料は挙げるからその先は読者が自分の頭や行動でつくり出してってことかもしれないけど。
リバタリアン(自由意志主義者)であるリチャード・セイラーとキャス・サンスティーンの『実践行動経済学』での主張をヒントにした結婚制度の民営化(p.143)という提案が、実現の可否・要否はとりあえずおいといて、面白いと思った。
結婚って行政に届け出るからいってみれば国家資格ってわけだよね。それを民間の認証にしてもいいじゃないかというもので、まあ、国家資格を必要としなくて事実婚という人たちもいるし、宗教のおゆるしを得ないと結婚できないなんていうのは(行政にも届け出るかもしれないけどそれ以上に)宗教という民間組織に認めてもらってこその結婚ってことで現在でもあること。それをたとえば同性どうしを認証するような団体が認めるようなことになればというわけ。さらには、結婚相手はキャラクターとかでもいいんじゃないとか書いていて、とりあえず言ってみるということでは面白い。自分としては、そんなに結婚の幅を広げるより結婚なんて制度そのものをなくしてしまえばいいのにと思うけど! でも、結婚ってなんで「国家資格」なのかっていうと、せめてそのくらい縛りがないと人の気持ちは移ろいやすく、気持ちだけに任せていられないってことでの現状なんでしょうね……なんてことを思った。